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Voice of Asia - Second Edition

~デジタルエンゲージメントによるアジアの経済成長と発展~2017年5月

アジアは全世界人口の約60%を占めており、世界における多様性とイノベーションの中心的な役割、またグローバルビジネスにも大きな影響を与える存在となっている。「Voice of Asia」シリーズでは、現在そして近い未来に、アジア地域が直面する課題や、チャンスについて考える。アジア各国間の相互関係を検討し、アジア全体としての可能性を探る。本稿では、デジタル化におけるアジアの経済成長と発展に焦点をあてる。

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グローバル経済はアジアに向けて重心を移動しつつある。アジアは今や世界で最も急速に成長を続けている地域であり、グローバル経済成長の強力なけん引役となっている。今後10年間で、アジア地域は世界の経済的アウトプットの半分近くを占めるまでに成長することが見込まれているが、次から次へと登場するテクノロジーをうまく使いこなすことが、アジアが次なる成長の波に乗れるかどうかを決定づける重要な要素となる。

Voice of Asia Second Edition May 2017(PDF, 925KB)

第1章:競争をリードするアジア

イノベーション、成長、ネットワーク環境のレースをリードするアジアとデジタルエンゲージメントの力

昨今のテクノロジーの進化のスピードは、しばしば革命的とも感じられるほどである。最先端のテクノロジーが短期間に大勢の人へ普及し、それは個人、企業、政府において、物事の処理の仕方を変え、多くの場合、さらなる効率化をもたらした。デジタル化によって、先進国ではフロンティアの開拓をさらに推し進めることができ、新興国においては、これまで先進国がたどってきた歴史的な発展過程を一挙に飛び越えることのできる可能性をもたらしている。

今回本レポートにて、グローバルレベルでの比較分析をした結果、アジアの経済と社会はこの変革の最前線に立っていることがわかった。アジア各国の政府の多くが、現在の経済的課題の克服と繁栄の実現に技術開発が重要な役割を果たすという認識を持つようになっている。これらの国々の政府は、テクノロジーの進化の波の最先端をいかにして取り入れるか、積極的に探り続けている。本章ではデジタル化世界の中でのアジア経済の立ち位置について言及する。

第2章: デジタルエンゲージメントとは

アジアが世界をリードする

デジタルテクノロジーの積極的な活用はアジア諸国の成長戦略の要だ。デジタルテクノロジーは潜在的に経済や社会を劇的に変化させる力を持っているが、デジタルテクノロジーがもたらすメリットを享受するためには、エンゲージメントが重要なカギとなる。

ここでいうエンゲージメントとは政府、企業、および個人が、デジタル化世界に積極的に参画することである。エンゲージメントの水準は世界各地様々であるが、デジタルエンゲージメントに関してほぼすべてのアジア諸国が世界平均を上回っており、世界の他の地域より進んでいる。

シンガポールや香港は世界トップクラスであり、日本もネットワーク整備レベルの高いグループに属していて、デジタルテクノロジーの高度な活用がそのまま経済的効果にもつながり得ることがわかる。巨大な人口を抱える中国やインド、インドネシア、ベトナムといった国々には、今後大きなチャンスが待ち受けている。本章では、アジア各国の地域的特徴を参照しつつ、各地域でのデジタルエンゲージメントと課題について言及する。

第3章:アジアにおける経済成長と発展

デジタルテクノロジーの持つ影響力

デジタルテクノロジーは、うまく活用すれば、アジア諸国の経済成長の強力なイネイブラーとなりうる。アジア各国の高いデジタルエンゲージメントを活用することで、新興国は経済成長と発展を右肩上がりに維持していくことができる。デジタルインフラへの投資は、その他のインフラと同様に生産性の向上に貢献し、また、その生産性の向上と新たな商業チャネルの開拓により、経済成長をさらに加速させることができる。

すなわち、デジタルツールは、政策課題の解決をサポートし、企業や消費者、そして政府が新たな機会を捉えて成果を上げることを促進するものとなる。本章では、企業や消費者のエンゲージメント、各デジタル技術の観点からアジアの現状と発展について言及する。

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