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汚職行為

ビジネスキーワード:ファイナンシャルアドバイザリー

ファイナンシャルアドバイザリーに関する用語を分かり易く解説。本稿では「汚職行為」について概説します。

汚職行為の形態

汚職行為とは、一般的に公務員等の特定の地位にある者が、その地位や職権等を利用して収賄や個人の利益を図る等不正行為を実行することをいう。企業による第三者への支払いやその約束が汚職行為として認定されるリスクがある。汚職行為には贈収賄、キックバック、不正入札、利益供与の強要、違法な謝礼等の様々な形態があり、何が汚職行為になるか、また、どのような場合に発覚しやすいか等を理解することは、汚職行為を防止するための有効なコンプライアンス体制を確立する上で重要になるであろう。

 

発覚の特徴と取引の形態

汚職行為は、競合他社の告発や、現地当局の贈収賄の調査、M&Aにおけるデューデリジェンスなど、他の不正・不祥事に比べ外部で先に発覚することが多い。これは、汚職行為が通常は企業の上級管理者等の公務員等の共謀によって実行され、企業の内部統制や内部監査では発見し難いからである。

さらに、汚職行為は、公務員等に対して直接行われる場合だけでなく、代理人やコンサルタント等を利用して行われる場合もある。したがって、代理人やコンサルタントと契約をする際には、相手方のコンプライアンスに対する意識を検証するとともに、デューデリジェンスを実施し、リスクの兆候に留意する必要がある。 

 

 

国際的な動向

近年、OECD贈賄防止条約締結により、「公務員等に対する汚職行為は習慣では済まされない」ということは国際的にも認知されてきており、主な国際機関においても反汚職行為における活動が行われている。

OECD贈賄防止条約:OECDにおいて1998年に採択された国際商取引における外国公務員に対する贈賄の防止を目的とする条約。同年12月に日本を含む33ヵ国が署名し、1999年2月に発効した。2009年8月現在、38ヵ国が署名および加入している。

国際連合(UN) :従来は、発展途上国の抵抗もあり、進展は見られなかったものの、1996年12月「国際商取引における汚職及び贈賄に対する国連宣言」として全会一致で承認されている。各国に対して拘束力を持つものではないが、広く支持を得たことにより、将来さらなる措置を講じる可能性がある。

世界貿易機関(WTO) :2009年9月現在、加盟国は153ヵ国(独立の関税地域を含む)。1996年1月に「政府調達協定」において、手続上の安全保護措置と異議申立権のほか、腐敗行為の発見に効果のある一般的な透明性要件を規定している。

国際通貨基金(IMF) :2009年6月現在、加盟国は186ヵ国。IMFは世界銀行の活動と連携し、世界銀行においては汚職を持続可能な発展を妨げる問題とみなし、これに取組む意思を表明している。 

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