ナレッジ

「信念を曲げずに、誠意をもって正しいことをする」CP人材紹介:下田千恵

デロイト トーマツ タレントプラットフォーム株式会社(DTTP)のコントラクトパーソネルサービスに従事する下田千恵は、多彩な事業会社の経験から、実務だけでなく業務プロセスやコミュニケーションの課題を解決します。

監査法人と税理士法人を経てクライアント常駐型の業務へ

デロイト トーマツ タレントプラットフォーム株式会社
シニアマネジャー 下田 千恵(税理士)
 

私のキャリアは、監査法人で会計、税務、人事、監査、税務申告など、一通りの業務の経験を積むところから始まりました。その後、税理士法人へ転職し、税理士として税務の業務に従事しました。現在のようなクライアント常駐型の業務を始めたのは、税理士法人からオーストラリアへの派遣を終えて帰国した後の、2004年からです。

ワークライフバランスを考えて働き方を選択した

ちょうどそのころ、監査法人での元上司がスピンオフして独立することになり、それまでの経験を買われてクライアント業務の依頼を受けたのがきっかけでした。当時、私は出産直後であり、ワークライフバランスを考えてオファーを受けることにしたのです。

期間は数カ月の短期から年単位の長期まで、クライアントは日系企業から欧米系企業まで幅広く、業種も、製造業、IT、金融などさまざまでした。会計のほかにも、人事や税務など広範囲にわたって経験を積んできました。ですから、私はファームで経歴を築いてきたにもかかわらず、事業会社での実務経験が長いという、ちょっと変わった特徴があります。

ずっと感じていた課題をDTTPなら解決できると思った

そんな中で私が興味を持ったのは、オンサイト型のクライアント業務を請け負うデロイト トーマツ タレントプラットフォーム株式会社(DTTP)を、植田比呂志さんが中心になって新しく立ち上げるという話でした。というのも、私がそれまでにプロジェクト型のオンサイト業務を提供してきた中でずっと感じていた課題を、法人化することで方針を定めて体系化することによって、解決できるのではないかと思ったからです。

税理士法人や会計事務所などのファームでは、知見の共有化が行われています。クライアント先で得た知見をファームに持ち帰って蓄積し、ほかのクライアントにもより良いサービスが提供できるようにツールとして活用するのです。しかし、プロジェクト型のオンサイト業務を体系化して行っているファームは少なく、「せっかくクライアント先で得た知見がほかに活かされないのはもったいない」という思いを私は抱き続けていました。

クライアント先で得た知見を仲間で分け合えば、より良いサービスを提供できる

私は、アサインされたクライアント先では求められた業務をこなすだけではなく、業務の効率化のための提案をします。それは、必ずしも税務や会計などの専門的な部分だけではなく、コミュニケーションのコツなどの対人的な部分も含まれます。

クライアント常駐型の業務は、「どのようにすれば業務の効率化が図れるのか」を知るのには最適な環境です。そこで学んだ知見をプロジェクト終了後に持ち帰ってファームの仲間同士で分け合うことができれば、より付加価値の高いサービスをほかのクライアントに提供することができ、ファームとしてのサービスの質も成長が期待できます。クライアントとファームのどちらにもWin-Winのサービスを法人として提供できることに将来性を感じて、DTTPへの参画を決めました。

 

現場でコントラクトパーソネル(CP)が求められる理由はさまざま

私は、DTTPに参画する前にも、10社以上のクライアントでオンサイト業務を提供してきました。特に、会社の変革時に、経理部長や税務担当課長、ファイナンシャルコントローラーなど、重要なポジションの人材が急に辞めてしまうのはよくあることです。急な退職者の業務の一時的なサポートだったり、専門性の高い会計の一部の業務だったり、合併や子会社の買収による連結やシステムの統合のための短期プロジェクトのサポートだったりと、依頼される目的はさまざまでした。

時には会計部門ではなく、人事部門での業務を依頼されたこともありました。そのとき求められたタスクは、外国人の社員の入社時・退職時に日本の社会保障制度と税金制度や退職金などの説明を英語で行うこと、社内の人件費や福利厚生費などの予実管理や将来予測をすることなどです。しかし、それらのタスクを遂行するには、人事制度や社会制度にも精通した上で、経理や会計の経験やスキルも必要になります。これらの業務は、単純にアウトソーシングしようとしても困難です。そのクライアントには、セキュリティの観点から人事部門を独立させる必要があり、社内では対応できる人材がいないということで依頼されました。

社員が定着しない職場には共通の課題がある

オンサイトでの経験を積むうちに、社員が定着せずにすぐ退職してしまう職場に共通して見られる課題があることがわかってきました。それは、スキルギャップと職場内のコミュニケーションにおける課題です。

スキルギャップは、採用した人材のスキルや経験が、与えられているタスクを遂行するために必要なレベルに達していないことが原因で、退職につながります。根本的な原因は、採用する側の業務内容の理解不足にあります。スキルギャップの結果による人手不足を補う依頼を私が受けた場合、帳簿やレポートなどのタスクをこなすこととプロセスの効率化の提案に加えて、役員に業務内容の説明を十分に行い、理解を促すようにしています。

例えば、IT業界のスタートアップ企業では、上場するときやM&Aで買収される段階になって深刻なバックオフィスの問題点が明るみに出ることがあります。エンジニア主導で規模を拡大してきた場合、バックオフィスの体制がおろそかになっていることはよくあるのです。

そうしたケースでは、「会社の成長のためにはバックオフィスが重要である」ということを経営陣に説明して、理解を促します。それから、十分な資金とリソースをバックオフィスに配分して、プロセスを改善することを提案します。私が2年間フルタイム対応を行ったクライアントでは、社長や役員の理解と協力のもとに状況が改善されたため、現在は大半の業務をアウトソーシングチームへ引き継いで、私は30~50%程度の関与でスポット対応をしています。

 

誠意をもって「クライアントの業務をより良くしたい」という思いを伝える

私はクライアントのところで業務を行う上で、「信念を曲げずに、誠意をもって正しいことをする」ことを大切にしています。このマインドセットが形成されたのは、前職のファームからアサインされた、あるクライアント先での経験がきっかけでした。

いつもどおりに他部署の社員とコンタクトをとりながらタスクをこなそうとしていたところ、そこでの業務が円滑に進まない理由として浮かび上がってきたのは、コミュニケーションにおける課題だったのです。突き詰めると、根底に潜んでいたのは、ボトルネックになっている人物の存在でした。

一連の課題について私から常務へ意見する機会を設けてもらいましたが、その常務にかわいがられている人物について報告することは勇気が必要でした。しかし私には、「クライアントの業務をより良くしたい」という純粋な思いがあったからこそ、おそれずに指摘しました。結果として意見を聞き入れていただき、とても感謝されてプロジェクト終了後に別のクライアントを紹介してもらうことができました。誠意が伝わり、それをしっかりと受け止めてくれたクライアントの懐の深さに感動した出来事でした。

プロセスの効率化やコミュニケーションの改善という付加価値も提供

クライアントのところに常駐して業務を行うということは、社内の問題に関わる機会も、社内の人たちと同様にあるということになります。どのクライアントにも何かしらの課題はあるものです。最初は全体像が見えなくても、経験を重ねるごとに、クライアントのところへ出向いたら課題が見えてくるようになってきます。

クライアントが私に依頼してくださったからには、求められた業務を単純にこなすだけではなく、さらなるプロセスの効率化やコミュニケーションの改善など、クライアントに付加価値を感じてもらえるものを提供できるように、誠意をもって行動することを心掛けています。

転校生になったつもりで社内に溶け込んでいく

新しいクライアントにアサインされたときの心掛けで大切にしているのは、初期の段階では先入観を持たずにクライアントをよく知るための努力をすることです。近しい業界や業種の経験にあてはめて先入観を持ってしまうと、現状の本当の課題が見えづらくなってしまいます。
まずは転校生になったつもりで、社員の服装や昼食のとり方など、クライアント内におけるコミュニケーションのパターンをまず学びます。そうすることで、社内の雰囲気にうまく溶け込んで、「外部の人」という認識を持たれないようにしています。

「話しやすい人」と思ってもらえることが強み

現在、私は3社のクライアントを掛け持ちしていますが、できるだけ溶け込むように、就業中の服装はクライアントごとに毎回変えています。クライアントの制服を借りて着用したら、「どうしてうちの制服を着ているんですか」と、ほかの女性社員と打ち解けるきっかけになったこともあります。昼休みには、社員食堂に行ったりお弁当を食べる仲間に入ったりして、他部署の人たちとも話をするようにしています。

そうした業務外でのコミュニケーションが実は大切で、社員の人たちが警戒心を解いて気軽に話をしてくれるようになると、業務上のフローや社内全体のコミュニケーションの改善につながって、お互いに仕事がしやすくなります。

「話しやすい人」と思ってもらえることは、私の強みだと考えています。社内に溶け込みながら、私自身に社内の人たちとの利害関係がないからこそ、「クライアントの業務をより良くしたい」という純粋な思いで裏方に徹してアドバイスできるのです。

「もう一人の自分に助けを求める」感覚で連絡してほしい

クライアントの社内業務で何か困ったことが起きたときに、「外部のリソースを雇う」という感覚ではなく、「もう一人の自分に助けを求める」という感覚で連絡してもらえる存在になれたら大変うれしく思います。社員とは別のアングルからいっしょに解決策を探し、クライアントがより良いステージへと向かうお手伝いをしていきたいと考えています。

人材紹介

シニアマネジャー
橋本 純一/Junichi Hashimoto

「ファイナンスは、課題があるほうがおもしろい」

2つの事業会社とBIG4会計事務所の経験から、実務だけではない「プラスアルファ」の価値を提供します。

>>続きを読む

お役に立ちましたか?