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大学経営を支援するマネジメントセミナー開催報告

大学経営におけるSXの実現を目指して

2022年12月16日、今年も「大学経営を支援するマネジメントセミナー」を開催いたしました。第1部では文部科学省高等教育局私学部参事官の村上氏にご登壇いただき、第2部は当法人の片桐および武市より「大学経営におけるSXの実現を目指して」をテーマに、サステナビリティの同期化を目指す考え方を解説しました。

執筆者: 公認会計士 船木 夏子

 

【第1部】私立大学を取り巻く現状と諸課題について

第1部は、文部科学省高等教育局私学部参事官 村上良行氏より、学校法人を取り巻く外部環境の変化の現状等をご紹介いただきつつ、今後学校法人が持続的経営に取り組むための各種施策等を解説いただきました。

最近のトピックとして高等教育の修学支援新制度の見直しの方針、令和5年度以降の私立大学等経常費補助金等の取扱い、大学設置基準等の改正などについて解説いただきました。また、長期的な視点から「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」をご紹介いただきつつ、「教育未来創造会議 第一次提言」における今後の推進策をご紹介いただきました。

さらに、学校法人を持続的に経営することに関し、近年の学校法人の外部環境や経営環境を紹介しつつ、文部科学省における学校法人に対する経営指導体制や学校法人運営調査の状況を解説いただきました。加えて、私立学校法改正の検討状況といった今後の学校法人制度改革の動向情報もお話しいただきました。

学校法人運営に大変有用なお話を多くいただき、今後求められる学校のあり方を改めて確認できる貴重な場となりました。

【参考】講演スライドの一部

 

 

 

【第2部】大学経営におけるSXの実現を目指して

第2部は、「大学経営におけるSXの実現を目指して」をテーマに、ガバナンスの仕組みを強化しつつ、社会のサステナビリティと自らのサステナビリティを「同期化」させていくこと(いわゆるSX)により長期的な価値創出につなげていくことの重要性について説明しました。そのうえで、当法人の片桐から、「産学連携によるカーボンニュートラルへの取組み」として、大学に求められるカーボンニュートラルにかかる具体的な取り組みを説明しました。さらに、当法人の武市から「大学における人的資本経営について」として、上場会社で開示が導入された人的資本について、開示を起点とした人材戦略の変革のための取り組みについて説明しました。

学校法人や国公立大学は、多様なステークホルダーが存在する点および、補助金等の公的な資金が投入されているという公共性の観点から、企業以上に丁寧な対話を積み重ね、社会のサステナビリティを意識した経営をしていく必要がありますが、それに加えて法人としての価値向上の持続化が求められます。今回は、SXの一例としてカーボンニュートラルおよび人的資本を取り上げましたが、カーボンニュートラルという社会課題をどのように法人の経営に取り込むか、また学校法人や国公立大学の価値向上の持続化のために人材育成にどう取り組むかはどの法人にも共通する課題かと思います。人的資本等に関する具体的な質疑応答もなされ、積極的な法人経営へのヒントを共有する充実した時間となりました。


【参考】講演スライドの一部

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