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会計基準の見直し(2)

新地方公営企業会計制度への対応(その3)

「新地方公営企業会計制度への対応(その2)」に引き続き、「会計基準の見直し」にどのように対応していけばよいかについて解説していく。

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(3)引当金
今回の改正で引当金の計上が義務付けられることとなったが、その中でも影響の大きいのが退職給付引当金の計上である。以下では、退職手当組合への加入の有無に分けて実務上の留意点を解説する。

(a) 退職手当組合に加入していない場合
職員の退職に際して支給される退職手当は、その全部を一般会計が負担する場合(一般会計に異動して退職又は退職年度の一般会計からの繰入金等で対応)とその一部又は全部を公営企業が負担する場合とに大別される。
前者の場合は、公営企業が実質的に負担する部分がないため、退職給付引当金を計上する必要はない。一方、後者の場合は、公営企業が負担する部分について退職給付引当金として計上することとなる。両者いずれの場合も、公営企業と一般会計との退職手当の負担ルールが明確になっていることが前提であるため、すでに協定書や覚書で負担ルールが明確になっている公営企業を除き、人事部局と協議の上、負担ルールを明確化する必要がある点に留意が必要である。
また、ワンイヤールールに基づく、流動・固定分類にも留意が必要である。「引当金については、1年内にその一部の金額の使用が見込まれるものであっても、1年内の使用額を正確に算定できないものについては、その全額を固定負債として記載するものとする(財務諸表等規則ガイドライン52-1-6)」と同様の考え方が適用される。そのため、たとえば定年退職等により翌年度における退職手当支給額が正確に算定できる場合には、流動負債に振り替える必要性が高いと思われる。自治体財政健全化法における資金不足比率等に影響を及ぼす可能性があるため、公営企業の決算においても、監査委員における審査においても、慎重に対応する必要がある事項と考えられる。

(b) 退職手当組合に加入している場合
職員の退職手当は退職手当組合から支給されるが、毎年度納めている負担金を原資とした積立金が、年度末に必要と見込まれる退職手当額を満たしているかどうかは別問題である。そこで、「地方公営企業の退職給付債務から、組合への加入時からの負担金の累積額から既に企業職員に対し退職手当として支給された額の総額を控除した額に組合における積立金の運用益のうち当該地方公営企業へ按分される額を加算した額を控除した額(総務省自治財政局公営企業課「地方公営企業会計制度の見直しについて」平成24年1月)」を退職給付引当金として計上することとなる。そのため、退職手当組合から必要な情報を得る必要がある点に留意が必要である。
なお、一般会計との負担ルールにおいて毎年度の負担金を超えて公営企業会計が負担しないこととなっている場合もあるようであるが、組合による負担率の引き上げや特別負担金による負担増を通じて、結果的に各公営企業が負担する可能性が高いと見込まれる場合には、各公営企業において退職給付引当金を計上することが適当と考えられる。

(c) 退職給付引当金計上義務付けに係る経過措置
「正確な期間損益計算と財政状態の適正な表示の観点から、これまでに発生した事象に起因する引当金の計上不足額は、一括して特別損失に計上(総務省自治財政局公営企業課「地方公営企業会計制度の見直しについて」平成24年1月」することとされているため、平成26年4月1日時点で一括計上するのが原則である。ただし、一時に引当金を負債計上することの影響が大きい場合などに配慮し、平均残余勤務年数の範囲内(ただし15年以内)で分割して費用計上することも経過措置として認められている。

※本文中の意見に関わる部分は私見である。
以上

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