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資本制度の見直し

新地方公営企業会計制度への対応(その1)

地方公営企業会計制度の改正は、「資本制度の見直し」と「会計基準の見直し」とに大きく分けられる。今回は「資本制度の見直し」について具体的内容やそれらにどのように対応していけばよいかについて解説していく。

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地方公営企業会計制度改正 資本制度の見直し

1.資本制度見直しの内容とその意義
資本制度の見直しは、主として地域主権改革の趣旨を踏まえ、地域の実情に応じた地方公営企業の経営を行えるようにするために行われた改正であると捉えることができる。
具体的には、地方公営企業法第32条及び法第32条の2並びにそれらに関係する政省令が改正され、減債積立金などの積立義務付けの廃止、議会の議決や条例により利益の処分、資本剰余金の処分が原則として自由に可能となり、資本金の減少も議会の議決を経ればできるようになった。
これらにより、各公営企業の資本の部の処分の自由度が高まることとなったが、その一方で自己責任拡大に伴うガバナンスの強化として、議会の関与(議会の議決や条例の制定)が規定されている。

2.資本制度見直しに関する実務的対応策
資本制度の見直しは平成24年4月1日から適用されるため、同日以降に資本の部の処分を行う場合には、あらかじめ条例を制定しておくか、議案の上程が必要である。また、厳密には平成24年度の事業年度から適用すると明記されていないことから、平成24年4月1日以降に行われる平成23年度決算に係る事項から適用されると解釈するのが妥当である。
そのため、各地方公営企業においては、平成23年度決算議会における資本剰余金や利益の処分見込み、資本金の額の減少の必要性などを検討し、必要に応じて条例改正や議案記載について関係所管課も交えながら、早々に対応していく必要があると考えられる。なお実際に平成23年度決算において、影響が出てくると思われる事項は次のとおりである。

 平成23年度決算で生じた利益の法定積立金の積立義務は発生しない。
 平成23年度決算で生じた利益及び資本剰余金の処分は法令等の施行日以降に行われるため、条例又は議会の議決によることとなる。そこで、実際に条例の規定により当該利益及び資本剰余金を処分する場合には、法令等の施行日前の平成24年3月までに条例を制定することが望まれる。また、議会の議決により行う場合には、当該利益及び資本剰余金の額の確定後、決算の認定を受けるまでに議決する必要がある。
 剰余金計算書様式、剰余金処分計算書様式、貸借対照表の様式は、資本制度見直しに係る改正後の施行規則に基づく新様式が平成23年度決算から適用される。
 平成24年3月までに、みなし償却に係る資産の譲渡等により生じた損失を直接補填することができる旨を条例で制定しない場合、直接補填に係る会計処理は、決算整理ではなく、期中の処理として行う必要がある(「資本制度の見直しに関するQ&Aについて」平成24年2月14日 問4参照)。
※本文中の意見に関わる部分は私見である。
以上

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