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英国LEP制度の導入による官民連携

日本版LEP(J-LEP)の導入に向けた先進事例の概観

日本の地域経済は現在様々な課題を抱えている。人口減少、少子高齢化、東京一極集中化、後継者不足等、持続可能な地方経済を維持・再生していくにはあらゆる対策が急務である。持続可能な地域経済を実現させるための解の1つとして地域での雇用創出の拡大が重要であり、地域に多数存在する企業の売上を成長させ、人材(ヒト)・製品(モノ)・資金(カネ)・情報(チエ)といった資産を最大限に活かして成長させることが重要である

日本版LEPの導入に向けた先進事例の概観

日本の地域経済は現在様々な課題を抱えている。人口減少、少子高齢化、東京一極集中化、後継者不足等、持続可能な地方経済を維持・再生していくにはあらゆる対策が急務である。さらに、2019年後半から始まったCOVID-19の感染拡大は全世界に大きな影響を与え、地方に限らず日本全体の経済においても大きな変革期を迎える転機となっている。

今後、持続可能な地域経済を実現させるための解の一つとして、地域での雇用創出をどれだけ拡大できるかが重要と考える。雇用、賃金、成長の質と量を提供できる環境を創出し、地域に魅力的な仕事を増やしていく、そうすることで地域に住む人々のウェルビーイングにも大きく貢献することができる。ただ、それらを実現するために、地域に多数存在する企業の売上を大きく成長させる必要があり、人材(ヒト)・製品(モノ)・資金(カネ)・情報(チエ)といった資産を最大限に活かして成長させることが重要である。

現在の地域の企業向けの産業振興策の多くは、官公庁や地方自治体、地元の支援機関が中心となり、限られた予算、ある程度特定されたエリア、組織・機能単位での支援が中心となっている。しかし、実際に支援を受ける企業にとっては、行政の限定的な産業振興施策ではなく、より幅広かつ高度な専門知識、国内外のあらゆる市場に精通したプロフェッショナル人材の支援を横断的に活用したいといった要望が強い。

デロイト トーマツ グループは、2016年からの6年間で全国各地の地域に入り込み、優れた技術やビジネスモデルを持つ中小企業・小規模事業者、スタートアップ等の事業の成長のために、助言やマッチングだけに留まらない伴走型の実行支援を積極的に展開してきた。実際に企業側の視点に立ち、地元の各種支援機関と連携しながら様々な新規事業創出や市場開拓を実現し、新規の雇用創出・拡大といった地域経済活性化に資する成果を多数生み出してきた。

さらに次のフェーズとして、各地域の支援機関や金融機関等との連携を推進し、支援機関の横断連携に向けた支援の仕組み構築、また支援人材の育成等にも積極的に取り組んでいる。

また、デロイト トーマツ グループは全国各地での成果重視型の実行支援を通じ、地域経済の産業発展の解決手法として、民間の知見を最大限活用した積極的な官民連携の推進が重要と考えている。全国各地のビジネス動向や事業化に精通した民間を核とする官民組織をプラットフォームとして推進していくことで、これまでにはない新たな産業振興施策のあり方を生み出すことが可能になると期待している。

この参考事例として、英国で導入されているLEP(Local Enterprise Partnership 以下、LEP)という制度がある。LEPの組織形態は様々であるが、主に地方自治体と民間企業の協働組織が地域の産業振興を担っており、企画立案から実行支援までの一連の施策を民間企業が実行するというものである。行政と連携しながら民間企業が集まり、それぞれの長所を集め新たな価値創出を実現し発展させていくビジネスモデルは、英国だけに限らず日本の地方創生においても有効であると考える。

そこで本稿ではまず、英国におけるLEPの導入背景、制度の特長等について整理を行った。今後、官民連携の推進に向けた戦略立案検討の一助になれば幸いである。

※詳細は添付のPDFファイルをご覧ください。

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