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QRコード決済の衝撃と今後のビジネス展開

キャッシュレスにおけるリバースイノベーション

お年玉、ご祝儀に代表される「現金史上主義」の日本が変わろうとしています。日本企業によって開発されたQRコードはスマートフォンの普及と組み合わさり、簡易で手早い決済手段として中国全土で爆発的に浸透するに至りました。その余波は多くの中国人観光客を受け入れる日本にも及び、キャッシュレス化を進める政府の後押しも受け、数多くの新規参入事業者が乱立しつつあります。

なぜ今QRコード決済が注目されているのか

近年セキュリティや物理輸送などの現金決済の見えないコストに注目が集まり、政府はキャッシュレス決済比率を2016年の20%から2027 年までに40%程度と倍増することを掲げており、「キャッシュレスビジョン(経産省)」の中ではさらに前倒しの2025年を目標に掲げています。

他国と比較し世界的にもキャッシュレス比率が低く、少額決済における現金比率が8割を超える日本において、解決策の一つと期待されているのがスマートフォンをベースとするQRコード決済です。これまで、クレジットカードや電子マネー等のキャッシュレス手段が普及しなかった背景として、手数料や端末維持コスト負担などの店舗側の事情と、利用場面の制約やセキュリティ・使い過ぎの不安といったユーザー側の事情、そして加盟店からの手数料を事業者で分け合うビジネスモデルの限界が挙げられます。

一方で、爆発的に普及した中国の例に見るようにQRコード決済は導入にあたり設備投資などの店舗側の負担が少ない上、意識面においても「デジタルネイティブ」と言われる若い世代を中心にモバイル決済の利便性と安全性について意識が変わりつつあります。

日本におけるキャッシュレス比率KPIとポテンシャル
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QRコード決済の流れ(例:店舗提示型)
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QRコード決済を取り巻くプレイヤー

日本においては、中国事業者のアクワイアラ(オリコ、ジャックス他)、IT企業(楽天、LINE他)、カード会社(エポスカード他)、銀行(メガバンク、ゆうちょ他) など様々な業種がQRコード決済へ参入しています。各社が参入する背景として、自社サービスの経済圏内で資金を循環させ、顧客を囲い込めるというメリットに加えて、消費者行動分析など活用可能性の広い決済データが獲得可能であることが挙げられます。

各社は、自社サービス・他社サービスとの連携や決済手数料の安さなどの強みを武器に、市場シェア獲得を目指しサービス普及を進めています。

 

ユーザー調査から見る今後の展望:ユーザーエクスペリエンスが重要に

日本におけるQRコード決済はまだまだ普及途上にあり、利用可能店舗も一部に限られています。しかしながら、有限責任監査法人トーマツが2017年12月にリリースした「QRコード決済・モバイル決済の利用実態と今後の利用意向に関する調査」では、ユーザー(10~30代)のQRコード決済利用経験者のうち9割超が「満足」、非利用経験者のうち半数が「利用したいと思う」と回答しており、キャッシュレス決済手段として大きな普及可能性を秘める結果となりました。また、ユーザーが懸念を示した点はセキュリティ面での不安ですが、QRコードの統一規格化など環境整備が進むことで徐々に普及が加速することが想定されます。

デロイト トーマツでは、今後のQRコードを含むキャッシュレス決済手段が拡大するためには、決済場面だけでなく、ユーザーの購買体験(ユーザーエクスペリエンス)のイノベーションが最も重要と考えています。

 

キャッシュレスの先を見据えたビジネス展開

中国のQRコード決済を担う2強のアリババ・グループ・ホールディング、テンセント・ホールディングスの時価総額は今やBIG5(Apple、Google、Amazon、Microsoft、Facebook)に次ぐ企業にまで急成長しました。その背景にあるのが、アプリを介した巨大なビッグデータビジネスです。決済は顧客接点を図る最大の手段であり、アプリ経由で取得したデータを分析・活用することで金融事業やエンターテインメントなどライフスタイルに直結する事業を次々と展開しています。 

日本において決済ビジネスを成功させるためのヒントは、中国に見るような決済ビジネスを起点とした新たなデータビジネスや、データを活用した自社顧客へのより便利で新しい体験価値の提供にあると考えます。その結果として、ユーザーの利用が高まり、キャッシュレス化が推進されることが望ましいと考えています。 

デロイト トーマツでは、データ活用に主軸を置いたキャッシュレス決済戦略のサポートをしています。

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