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代表者による適正性の確認書
代表者確認書制度の対応に向けた動きが拡大
平成15年4月1日に施行された改正開示府令等において導入された、代表者による適正性の確認書に関する制度は、米国でもエンロン事件を発端とする一連の会計不祥事を受けて2002年7月にSarbanes-Oxley法(米国企業改革法)が施行され、企業のCEO及びCFOに対して決算書の適正性を保証する宣誓書を米国証券取引委員会(SEC)に提出することが義務付けられており、その他各国でも同様の取組みが広がりつつある。
代表者による適正性の確認書とは
代表者による適正性の確認書(以下、「代表者確認書」という)は、会社の代表者が有価証券報告書及び半期報告書等の記載事項について適正であること等を確認し、その旨を記載した文書を同報告書に添付する制度であり、平成15年4月1日に施行された改正開示府令等において導入された。米国でもエンロン事件を発端とする一連の会計不祥事を受けて2002年7月にSarbanes-Oxley法(米国企業改革法)が施行され、企業のCEO及びCFOに対して決算書の適正性を保証する宣誓書を米国証券取引委員会(SEC)に提出することが義務付けられており、その他各国でも同様の取組みが広がりつつある。
わが国における代表者確認書制度の適用は任意規定であるが、既に平成15年3月期決算において、金融再生プログラムを受け、主要銀行の代表者が同確認書の添付を行っているほか、主要銀行以外の会社にもその対応に向けた動きが広がっている。
確認書の記載事項と代表者確認書制度への対応
確認書の記載事項
代表者確認書で「何を確認」し、また「何を記載」するかについてであるが、これに関して企業内容等開示ガイドライン(5-29-2)には、以下のように規定されている。
(代表者による適正性の確認)
開示府令第10条第1項第1号に規定する「書面」には、おおむね次の事項を記載し、当該有価証券届出書に記載された事項が適正であると確認した代表者がその役職を表示して自署し、かつ、自己の印を押印するものとする。
1.当該有価証券届出書の記載内容が適正であることを確認した旨
2.当該確認を行った記載内容の範囲が限定されている場合はその旨及びその理由
3.当該確認を行うに当たり、財務諸表等が適正に作成されるシステムが機能していたかを確認した旨及びその内容
4.当該確認について特記すべき事項
なお、開示府令第17条第1項第1号へ又は第18条第2項若しくは第3項第3号に規定する「書面」は、これに準じて作成するものとする。
また、(財)財務会計基準機構による「有価証券報告書の作成の仕方(平成16年3月期提出用)」では、代表者確認書の記載事例が掲載されている。但し、実際の作成に当たっては、各企業の実態に即した適切な記載を検討する必要がある。
代表者確認書制度への対応
では、「当該制度を適用し、有価証券報告書等に代表者確認書を添付するためには何をしなければならないか」についてであるが、これに関しては現状、上記ガイドライン以外に明文化された規範はないため、対応の度合いについては各企業の判断に委ねられている。
確認を実施する代表者が認識しておかなければならない留意点は、次のとおりである。
•代表者確認書に関する法的責任は必ずしも明確ではないが、当該確認書の作成は会社とてしての評価ではなく、評価者である代表者個人の責任であること。
•したがって、当該確認は代表者が何らかの方法で自ら評価し、確認することが必要と解され、単に部門責任者等からの報告や内部監査報告書等に基づく程度では不足であると考えられること。
•監査役や内部監査人による内部統制の検証の結果をもって代表者の確認に代替できないこと。
•公認会計士・監査法人が実施している財務諸表監査が代表者の評価に代替するものではないこと。
•「財務諸表等が適正に作成されるシステム」とは、「財務報告目的に係る内部統制」であると理解されること。
•わが国では当該内部統制評価のための規準となるべきフレームワークが確立されていないこと。
•多くの企業では、現状、代表者が当該内部統制の運用状況を評価・確認するための文書化がされていないこと。
•多くの企業では、現状、代表者が当該内部統制の運用状況を評価・確認する手法・手段を有していないこと。
最後に、具体的な確認の方法や、そのために整備する体制についてであるが、上述した米国企業改革法における米国企業の実務に鑑みると、例えば次のような方法・体制が考えられる。
まず、上記の代表者確認書の記載事項1及び2については、確認を行う代表者を始めとして、有価証券報告書等の作成・開示に関連する担当責任者、専門家等で構成する開示委員会等を組成し、検討・確認を行う方法が考えられる。
また、3については、有価証券報告書等提出会社全体(連結ベース)における財務報告目的の内部統制を評価する必要がある。このため、各企業の現場担当者層から管理者層、経営者層の各階層において当該内部統制の評価を実施すると共に、評価結果を適切に代表者に伝達し、代表者がその内容を確認する必要があると考えられる。したがって、実務的には、各階層での評価及び結果の伝達を支えるインフラの整備と、評価を実施するための社員・役員への研修等が重要になる。
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