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「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化」による富裕層への影響

ファミリーコンサルティングニュースレター 2023年9月

令和5年度の税制改正において、「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化」措置が令和7年分以降の所得について適用されることになりました。本措置における富裕層・企業オーナーへの影響について解説します。

極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置の概要

1.改正の趣旨

給与等は高額になるほど税額が上がる累進課税方式である一方、株式等や土地建物の譲渡所得の売却益に対する税率は一律15%であることから、株式等の譲渡が多いほど、実質の税負担が低くなっていました。高所得者層ほど所得に占める株式等や土地建物の譲渡所得の割合が高いことから、高所得者層で所得税の負担率が低下する逆転現象が生じており、本逆転現象を解消することが、改正の趣旨となっています。

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2.概要

各種所得を合算した所得金額(基準所得金額)から特別控除額(3.3億円)を控除した金額に、22.5%の税率を乗じた金額が納めるべき所得税の金額を超過した場合に、その超過した差額に追加的に申告納税されることとされます。令和7年分の所得から適用されます。

  • (基準所得金額※1-3億3,000万円)×22.5% > 基準所得税額※2
  • 追加納付する税額⇒基準所得税額との差額を申告納税

※1 基準所得金額の計算上、スタートアップに再投資する場合の優遇税制の適用を受けた株式譲渡益やNISA措置の非課税所得は対象外とされるが、申告不要措置の対象となる配当は上場株式の譲渡所得等は合算した後の合計所得金額(政策的な観点から設けられている特別控除は控除後の金額)となります。

※2 基準所得税額は、外国税額控除を考慮しないで基準所得金額に対して計算した税額

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影響及び留意点

令和7年分所得以降は、所得水準が高く税負担率が22.5%より低い所得構成の場合には、22.5%まで税負担が上昇することになります。金融資産等の運用収益や不動産等の譲渡所得(分離課税対象所得)が多額に上るケースが本措置の適用局面として想定されます。

また、他にも例えば、企業オーナーファミリーが自社株を資金化する局面においても、本措置の適用を受ける場合がありますので、留意が必要です。

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本措置の適用により改正前に比して、約1億円規模での税負担の増加が見込まれることとなります。また本ケースでは、相続税納付は自社株式売却に係る所得税を納付した後の資金(税引後手取り額)をベースに行うこととなりますので、本措置を考慮した資金調達の検討が必要となります。

まとめ

所得水準が高い富裕層やライフステージに応じてまとまった資金が必要となる企業オーナーファミリーは、本措置の影響を受けることが想定されます。前もって本措置の影響を把握し、必要に応じて対応の検討が必要と考えられます。

※本記事は、掲載日時点で有効な日本国あるいは当該国の税法令等に基づくものです。掲載日以降に法令等が変更される可能性がありますが、これに対応して本記事が更新されるものではない点につきご留意ください。

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