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2020年度 日本テクノロジー Fast 50 授賞式

開催レポート

デロイト トーマツ グループでは、日本国内のTMT(テクノロジー・メディア・通信)業界の企業を対象にした成長率のランキング、「デロイト トウシュ トーマツ リミテッド 2020年 日本テクノロジー Fast 50」の発表を行い、2020年12月10日、オンラインにて授賞式を開催しました。第18回となる今回は、ランキング発表、授賞式の後、デロイトのプロフェッショナルによるニューノーマル時代のDX、ビジネス動向やマーケットトレンドをテーマした講演が行われました。授賞式の模様を開催レポートとしてご紹介いたします。

授賞式開催レポート

開会挨拶
Deloitte Private Japan Leader
有限責任監査法人トーマツ パートナー 沼田 敦士

主催者を代表してDeloitte Private Japan Leader 沼田敦士から、本プログラムのコンセプトや社会に果たす役割を説明したのち、過去の受賞企業の多くが日本を代表する企業に成長し、市場をけん引していることを紹介し、今年の受賞企業への期待を語りました。 

ランキング発表

今回1位に輝いたのは、エンゲージメント経営プラットフォーム「TUNAG」の提供を行う株式会社スタメンで、成長率5,914%を記録しました。2位はVisaプリペイドカードアプリ「バンドルカード」の開発・運営を行う株式会社カンムが成長率1,787%を記録し、3位にはドローン・AI・ホバーバイク開発、演算力クラウド、電力事業等を行う株式会社A.L.I.Technologiesが成長率1,014%をそれぞれ記録し、ランクインしました。

講演
「ニューノーマルに向けたビジネス理解のDXと人間理解のHX」
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
執行役員 森 正弥

「ニューノーマル時代の新ビジネス・スタートアップトレンド」
デロイト トーマツ ベンチャーサポート株式会社
代表取締役社長 斎藤 祐馬

プロフェッショナルによる講演では大変革期を好機と捉え、ニューノーマル時代のビジネスを理解し、HX(人間体験)も踏まえたDXの重要性やベンチャー企業の新ビジネス、アフターコロナの傾向や変化などが語られました。

閉会挨拶
テクノロジーFast 50日本代表
有限責任監査法人トーマツ パートナー 朽木 利宏

テクノロジーFast 50日本代表の朽木からFast 50の受賞による「企業間のネットワークの構築」や「ビジネスチャンスの拡大」にも繋がるメリットや、今年の受賞企業の特色や傾向、直近の上場された企業が発表され、今年の受賞企業の更なる発展と成長を祈念しました。

2020年度 日本テクノロジー Fast 50 Winners Report

概要

今回の受賞企業においては、3決算期売上高成長率150%以上の企業の割合が34%となっており、昨年の54%と比して、1社単位の成長率という点では昨年を下回る結果となった。

一方で、本年度の結果では、上位3社の3決算期売上高成長率が1,000%超の成長を遂げている。

第1位の株式会社スタメンは5,914%であり、続く第2位の株式会社カンムが1,787%、第3位の株式会社A.L.I.Technologiesも1,014%と、いずれも飛躍的な成長を遂げている。

受賞企業50社の3決算期売上高成長率の値の平均は304%で、新興企業の成長が市場の活性化に寄与している。

 

受賞企業業種

今回の受賞企業を業種別にみると、最も多かったのがソフトウエアの26社で全体の52%を占めた。2位がメディアの10社で20%、3位が通信の8社で16%だった。

ソフトウエア領域では、経営プラットフォーム、AI、大規模データ分析、クラウドなどの分野に関連したサービスを提供する企業が受賞している。

メディア領域には、地域や行政の橋渡し、住宅流通、通販や広告に関するプラットフォームを始め、マンガアプリ事業など、生活に身近なサービスを展開する企業の受賞が多くなっている。

通信領域では、ナレッジプラットフォームやクラウドセキュリティ、コミュニケーションツールなどのサービスを提供する企業などがランクインした。

 

受賞企業の売上高規模

全体の分布としては前年と大きな変化は見られず、売上高50億円未満の企業が過半数を占める傾向は続いている。

Fast 50受賞企業には、成長過程にある企業が多く含まれ、継続的な規模拡大が見込まれる企業が複数含まれていると考えられる。

さらに、売上規模50億円未満の企業を細かく見ていくと、売上規模10億円未満の受賞企業が2018年の42%から2019年は26%、2020年は20%と下落している一方で、10-50億円未満の受賞企業の割合が上昇しており、受賞企業の平均規模は大きくなっている。

 

受賞企業の上場の有無/上場市場

2020年の受賞企業のうち6割超の33社が既上場であり、内訳は東証マザーズ24社、東証一部8社、福岡証券取引所Q-Board及び名古屋証券取引所セントレックス各1社だった。(うち、1社は複数市場に上場)

受賞企業の多くは、将来の成長を期待する市場参加者から調達した資金を有効活用し、東証一部へのステップアップを目指すべく順調に成長を続ける企業といえる。

さらに、東証一部上場企業も受賞企業全体の2割弱含まれており、既に一定以上の規模でありながら、著しい成長を続ける企業がランクインしている。

脚注:2020年11月末時点

デロイト トウシュ トーマツ リミテッド 日本テクノロジー Fast 50とは

2020年で18回目を迎えた「デロイト トウシュ トーマツ リミテッド 日本テクノロジー Fast 50」は、日本国内のTMT(テクノロジー・メディア・通信)インダストリーの、過去3決算期の収益(売上高)に基づく成長率の上昇が著しい日本企業(上場・未上場問わず)の応募からなるランキングプログラムです。指標を収益(売上高)成長率としていることにより、企業規模によらない成長性を表わすランキングとなります。ソフトウエア、音楽・エンターテインメント、通信インフラなど、情報・メディア・通信が幅広い分野で融合する中、デロイトは、これらをTMTインダストリーと捉え、インダストリーの活性を目指し、全世界でテクノロジー Fast 50 / Fast 500プログラムを展開しています。 Fast 50は国レベルの、 Fast 500は地域レベルの収益成長率を基準としたランキングです。 Fast 500は、アジア太平洋地域、北米地域、EMEA地域で実施しています。なお、第19回「デロイト アジア太平洋地域 テクノロジー Fast 500」のランキングの発表は2021年3月を予定しています。

ランキング対象となる事業領域は、①半導体や部品・コンピュータ、周辺機器等を含むハードウエア、②アプリや各種管理運用システムを含むソフトウエア、③インターネットやクラウドサービスを含む通信、④広告やマーケティング、Eコマースを含むメディア、⑤バイオや製薬を含むライフサイエンス、⑥再生技術やエネルギー貯蔵、機器を含むクリーンテック、以上の6領域です。

日本テクノロジー Fast 50はDeloitte Private Japanの「ベンチャー・成長企業」向け支援プログラムの一環です。Deloitte Private Japanは、日本を支えるプライベートカンパニーや上場企業を含むオーナーの方々にフォーカスし、固有のニーズや企業ライフサイクルに応じたプライベートマーケット向けのサービスを、包括的に提供する統合プラットフォームです。主に「ベンチャー・成長企業」「インベストメントマネジメント」「ファミリービジネス」を支援してします。

Fast 50およびFast 500プログラムの詳細については、https://www.deloitte.com/jp/fast50をご覧ください。

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