調査レポート

Digital Banking Maturity Survey 2020

デジタルバンキングチャネルに関する世界規模のベンチマーク調査

Digital Banking Maturity Survey は、39か国318行のリテール向けデジタルバンキングチャネルの機能の比較、および約5,000人を対象としたアンケート調査に基づく同チャネルに対する顧客嗜好をまとめています。

非連続的なデジタル化の加速

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、私たちの生活様式を一変させ、銀行は新たな孤立経済を前提とするフィジタル(PhysicalとDigitalを合わせた造語)への対応が急務となりました。

デロイトネットワーク(デロイト)は、2020年6月~8月に各行の対応状況を調査し、以下のような結果を得ました。

  • 41%の銀行が非接触型決済の限度額を引き上げた
  • 34%の銀行が完全にデジタル化されたプロセス(口座開設等)を導入した
  • 18%の銀行が非接触型の決済方法を開始した など

本調査では、39か国318行のリテール向けデジタルバンキングチャネルの機能(1,100以上)の比較を通じ、先進銀行(デジタルチャンピオン)がどの機能に注力しているかを分析しました。

 

Digital Banking Maturity Survey 2020 [PDF: 3.4MB]
2020年は銀行に多くの課題をもたらし、デジタル進化(革命)が急速に進行している
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Covid-19関連の制限は、銀行が即座に対応するきっかけとなった
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先進銀行(デジタルチャンピオン)は伝統的な銀行業務を超えた領域に注力

本調査では、9か国318行のリテール向けデジタルバンキングチャネルの機能(1,100以上)を以下の6区分に分類しました。

  1. 情報収集(25機能)
    商品・サービス概要や特定セグメントへの価格提案など、さまざまな情報の提供に関する機能
  2. 口座開設(56機能)
    利用可能な商品・サービス、本人確認など、口座開設に関連する機能
  3. 顧客オンボーディング(64機能)
    最初の商品・サービス利用に至るまでのガイダンスに関連する機能
  4. 日常的な銀行業務(498機能)
    口座管理、送金など、伝統的な銀行関連機能
  5. 関係拡大(454機能)
    アカウントアグリゲーション、資産運用、保険などの伝統的な銀行関連機能を超えた追加的な商品・サービスに関連する機能
  6. 関係終了(11機能)
    リテンションのための提案など、口座閉鎖に関連する機能.

また、各銀行のリテール向けデジタルバンキングチャネルを対象に、機能の有無、機能の顧客利用状況・嗜好等を加味した独自のスコアリングモデルで評価し、スコア上位10%を先行銀行(デジタルチャンピオン)と定義しました。

調査の結果、先行銀行(デジタルチャンピオン)とそれ以外の銀行では、(5)関係拡大の領域で最も差異が見られ、伝統的な銀行関連機能を超えた商品・サービスに力を入れていることが分かりました。

 

日常的な銀行業務と関係拡大に焦点を当てたカスタマージャーニーを 追跡するために、1100以上の機能を分析
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カスタマージャーニーに沿って、チャンピオンは特に関係拡大をリードし...
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付加価値サービスもチャンピオンにとって重要な差別化要因の 一つである
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先進銀行(デジタルチャンピオン)は伝統的な銀行機能でも分かりやすさを重視

調査の結果、先行銀行(デジタルチャンピオン)は、伝統的な銀行関連機能においても、ストレスレスなUXを提供していることが分かりました。

例えば、(2)口座開設の区分において、以下のような違いが顕著に現れました。

  • 高速かつ正確なデータ入力を促す表示
  • 入力の進捗を追跡する表示
  • 分かりやすいエラーメッセージの表示
  • 一旦保存し、後で再開する機能の提供
  • 処理が進んでいることの表示

 

Covid-19関連の制限は、銀行が即座に対応するきっかけとなった
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より魅力的で競争力のあるデジタルチャネル改革に取り組みませんか?

デロイトは、世界中の銀行のデジタルチャネルの分析を通じ、リテールバンキングチャネルにおけるトレンド、ベストプラクティス、および後発銀行から先進銀行(デジタルチャンピオン)のギャップを把握しています。

これらの情報を活かしながら、貴行のリテールバンキングチャネルの成熟度や競争上の位置付けを議論し、顧客の視点から見た改善領域は何か?顧客が求める新サービスは何か?を見出し、プロタイプを作成する短期集中型のワークショップを提供しています。

■ 実施形態

参加者4〜5名で1グループを構成し、グループワークを実施(ビジネス側・エンジニア側の参加者を均等配置)

デロイトからはファシリテーター、およびエンジニアリングサポートを配置

■ テーマ例
  • 若年世代を引き付ける金融と非金融の融合サービス
  • 子育て世代の資産形成を手助けするサービス
  • シルバー世代向けのQoL(Quality of Life)を向上するサービス
  • 中小企業の業務効率化や成長を支援するサービス
    … など

 

オープンバンキングの類型
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著者

丸山 由太 / Yuta Maruyama
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
シニアマネジャー

金融機関に対する経営計画策定、経営管理高度化、Digital Innovation構想策定、全社アーキテクチャ構想策定~実行等に従事。

最近では、デジタルバンク構想策定~実行、API活用構想策定、アジャイル変革など、デジタルトランスフォーメーション関連のプロジェクトを多く手掛ける。
 

筒井 美宇/Miu Tsutsui
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 
UX Architect

大手グローバルIT企業を経て現職。大規模Web/モバイルアプリ/デジタルチャネルのCX/UX/UIデザインにおいて、ビジネス観点と顧客視点両軸で最適なサービスデザインを得意とする。CX組織改革・顧客満足度改善・グロース・デジタルマーケティング・プロダクトオーナー・アジャイル開発等、豊富な実績を有する。

バークネス ブライアン / Brian Berkness
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
シニアマネジャー

金融業界のクライアントにサービスを提供する経験豊富なITプロフェッショナル。大規模コアシステム導入に係るインテグレーション領域のAPI設計・開発のデリバリー、アジャイル変革、オープンデータプラットフォームのアーキテクチャ等に従事。

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