アスリートのデュアルキャリア、そしてビジネスとの「共通項」パリ2024オリンピック開催イヤーデロイト トーマツ グループアスリート鼎談

PROFESSIONAL

  • 徳南 堅太 デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 スポーツビジネススペシャリスト
  • 深谷 皇 デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 コンサルタント
  • 中村 祥代 有限責任監査法人トーマツ スタッフ

要約

  • 第33回オリンピック競技大会(2024/パリ)が開催される2024年。
  • コンサルティング所属のオリンピアン徳南堅太(フェンシング男子サーブル日本代表、第31回オリンピック競技大会(2016/リオデジャネイロ)および第32回オリンピック競技大会(2020/東京)に出場)と、デロイト トーマツ グループメンバーのアスリートとの鼎談(ていだん)記事。
  • 参加者は徳南の他、マスターズ水泳世界記録保持者でデロイト トーマツ コンサルティングの深谷皇、昨年のFITチャリティ・ラン女子の部優勝、監査法人トーマツの中村祥代(トライアスロン競技者)。3人が「スポーツとビジネス、そしてデュアルキャリア」について語り合う。

パリ2024直前「スポーツとビジネス」の共通点を探る

2024年7月26日から8月11日まで、第33回オリンピック競技大会(2024/パリ)が開催される。多くのトップアスリートがオリンピックに向けて準備を進めている真っ最中だ。デロイト トーマツ グループは、スポーツ文化振興の社会貢献の一環として、フェンシング男子サーブル日本代表の徳南堅太選手をサポートしている。徳南選手は、ブラジルで開催された第31回オリンピック競技大会(2016/リオデジャネイロ)にフェンシング日本代表として初出場。東京2020オリンピックでもサーブル団体戦に出場。現在パリ2024大会に向けて活動をしている。

徳南選手は2014年1月にデロイト トーマツ コンサルティング(DTC)へ入社した。きっかけはなんだったのだろうか。

「デロイト トーマツのことはあまり知らなかったんです。ただ、2013年から2016年にかけて日本オリンピック委員会(JOC)とDTCがJOCオフィシャルパートナーシップ契約を交わしたことで、知りました。自分のキャリアにも悩んでいた時で、当時の代表宛てに直接手紙を書いて入社を希望しました」

徳南選手は実業団に在籍していたが、実業団の中では他のフェンシング競技者たちと同じ練習量や同じマネジメントを受ける。その中で自分が埋もれてしまう危機感を持っていたという。「言葉を選ばずに言えば、自分が他のフェンシング競技者たちから突出するためには、一人抜け出して変化する必要がある」と感じた。

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 スポーツビジネススペシャリスト/ 徳南 堅太

入社後、狭き門を突破しリオ2016に出場する。その後も2018年度全日本フェンシング選手権大会優勝とフェンシング男子サーブル日本代表選手として実績を積み上げ、東京2020でもサーブル団体戦に出場した。まさに突出し、文字通りトップアスリートの道を走りだした。

「今はパリ2024に向けて団体戦で出場し、優勝を目指す。そのために足元のランキングをあげるため、試合を続けています」

そんな徳南選手も「東京2020大会後は将来のことで悩んだ」と話す。「上司に相談して、オンラインのビジネス研修プログラムなども学びました。本格的に将来のデュアルキャリアを検討した」という。

今回、鼎談に参加するデロイト トーマツのメンバーたちもまたスポーツとビジネスというデュアルキャリアを積んでいる。

あえてプロフェッショナル集団に身を置き、ビジネスでも自身の力を高める

DTCの深谷皇は第6回東アジア競技大会(2013/天津)で競泳日本代表、そしてマスターズ水泳世界記録保持者でもある。入社は2022年4月で現在はITコンサルタントとして、セールスフォース導入支援を行っているという。

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 コンサルタント / 深谷 皇

「元々、水泳という競技はまだまだマイナーなスポーツで、いつまでもそれだけをやっていくことはできないだろうなと感じていました。プロとして水泳だけを続けるか、実業団選手として仕事をしながら水泳を続けるか悩んだのですが実業団を選びました。それは、社会人としての経験も積みたかったからです。引退後はよりレベルの高いビジネスパーソンとしてのキャリアも目指してDTCへ入りました」

もう一人の参加者である有限責任監査法人トーマツの中村祥代は「FITチャリティ・ラン2022」の10キロラン女子の部で優勝、2023年ワールドトライアスロンシリーズのスタンダード25-29歳女性で3位という結果を持つ。

「元々私は水泳を競技として続けてきたのですがインターハイでの結果などがないとこれ以上進めないと知り、そういうハードルのないトライアスロンへと転向しました。トライアスロンでも水泳はありますし、仕事をしながらでもできる魅力を感じていました。仕事は、アフリカに関わる仕事をしたいと常々思っていました」

なぜかという質問に、中村は少しはにかむ。

「子どもの頃にピューリッツアー賞を受けた写真家ケビン・カーターの『ハゲワシと少女』(ハゲワシが飢え死に寸前の少女を狙っている写真で、スーダンの飢餓を訴えたもの)を見て、世界にこんな状態の場所があるなら、私が何かをしなければいけないと感じたのです。それで大学生になり、アフリカのガーナでインターンをしている時に監査法人トーマツの方と出会い興味を持って入りました」

有限責任監査法人トーマツ スタッフ/ 中村 祥代

2人はデロイト トーマツの魅力について「メンバーのレベルが高く、色んな専門家がいて、分からないことがあっても誰かが必ず教えてくれる。しかも丁寧に教えてくれる文化がある」と話す。自分の力を上げていきたいと考え続けるアスリートだからこそ、あえてプロフェッショナル集団に身を置き、ビジネスでも自身の力を高めるという思いを強く持つのだろう。

スポーツの世界もビジネスの世界も「個人競技」と「団体競技」がある

徳南選手は、スポーツでもビジネスでも世界には「個人競技」と「団体競技」があるという。

「スポーツの多くは対人競技。そしてビジネスの世界も対人競技といっても過言ではないでしょう。その中で、個人競技と団体競技がある。個人競技であれば自身の力を極限まで高めていく必要がありますが、団体競技の場合はそうではない。全員が自分を中心に考えて競技をしようものならまず負けてしまう。自分がチームの中で何ができるのか?目標を達成するためにはどう振る舞えばいいのか?そんなふうに俯瞰(ふかん)して見ることがすごく大切だと思います」

深谷もうなずき「それだけでなく目標を高く設定し、そこに向けて準備を個人でも団体でもしていくビジネスの世界はスポーツの世界と共に似ています。また緊張感をもって立ち向かい、成果を出していくという姿も似ていますね」と同意する。

中村は「私は一つのことにまい進するよりも複数やっていたほうが自分のパフォーマンスが出せると考えています。トライアスロンを続けているのもそれが理由です。それでいうと徳南選手や深谷さんのように一つに絞り、成果を出すということはできなかった。でも、それでいいと思っています。私には私らしい立ち位置があるのですから」

右上から時計回り:中村、深谷、徳南

デロイトはこれまでもトップアスリートのサポートをしてきている。現在までに37名のデロイトのプロフェッショナルが第26回オリンピック競技大会(1996/アトランタ)から東京2020の間に出場し、獲得メダル数は16(金10、銀4、銅2)にのぼるのだ。

そして現在、IOCのワールドワイドマネジメントコンサルティングパートナーであるデロイトは2023年7月に「Team Deloitte」を発表した。メンバーは19名で、世界中のデロイトのプロフェッショナルとしてのキャリアを積みながら、同時にトップアスリートである人たちの名が連なる。もちろん徳南選手も在籍する。

「Team Deloitteとしての活動は、デュアルキャリアを描いた動画をグローバルで配信しました。他のメンバーとの連携はまだ顔合わせをしたくらいですが、国も人種も競技内容も違うアスリートたちがデロイトという組織でつながりあうことでさらに新しい取り組みができるのではないかと期待しています」と徳南選手は話し、「パリ2024ではアスリートたちが集えるハブ施設「メゾン・デロイト」の構想があると聞いています。そこで世界中のアスリートたちと顔をあわせることができたら」と続けた。

これからの自分たちの未来、そしてこれまで大切にしてきた思いとは何か?

2024年はパリ2024オリンピックが開催される年であるが、3人が目指す未来はどこにあるのか。

深谷は「ITコンサルタントとして、突き抜けていきたい」と話す。「私は長く水泳の選手生活をしてきましたが、そこで立ちふさがる壁に比べたら困難なことは何もないと考えています。自分自身のデュアルキャリア、セカンドキャリアを通じて若い選手たちにも明るい未来を感じてもらえるよう自身を成長させていきたい」

中村も「スポーツでもビジネスでも結果を残していきたいという強い思いがあります。また今はトライアスロン競技者として毎年国体にも出場していますが、30歳前後で引退する選手も多い。生涯スポーツではあるので、これからも続けていきたい思いは変わりませんが、トップ層で競う選手として悔いのない結果を残したい」と意気込みを語った。

また、ビジネス面では中村は「アフリカに加え、今は宇宙事業について関与させてもらっています。以前から興味は持っていて、別々に追いかけていたのですがデロイトに入ってアフリカビジネスを支援している中で、アフリカでの宇宙技術のニーズを知り、先輩や上司に相談したところ、アフリカで宇宙事業をやってみようということになったんです。デロイトにはさまざまな分野のプロフェッショナルがいて、その人たちと話しながら新しいプロジェクトに参画できるのも魅力的なんです」とデロイトのメンバーであるからこそ、目指す未来に近づけると話した。

二人の話を聞き終え、徳南選手も自身について「お二人と違って今の私はパリ2024に向けて結果をだすことに集中している状態ですが」と前置いた上で「スポーツの世界は勝つか負けるかで天国と地獄ほどの差があります。だからこそ、勝った時の高揚感は得がたいものがあります。日本チームで勝つという結果を出したいと思っていますし、この刺激を多くの人に与えていきたい」と語った。

キャリアや競技は違えども3人はアスリートという共通項がある。日々勝負に直面するアスリートたちが日々大切にしていることは何か?それは私たちビジネスパーソンにも役立つのではないか。そこでそれぞれに聞いてみた。

深谷は母親から「文武両道であれ、そして1番を目指せ」と教え込まれたという。「ただ、決して1番にならなければ駄目だというわけではありません。1番になるための努力をし続けなさいという教えです。これは今、ビジネスの世界に身を置いている自分自身にとっても大切にしている考え方です」。

中村も「父から『結果に一喜一憂するな』と言われ続けていましたね。良かったら良かったことを分析し、仮に悪くても淡々と分析して変えていくようにしなさいという教えでした。この言葉のおかげでたくさんのことにチャレンジしてきたし、これからもチャレンジできそうです」。

徳南選手は「『3かん』といっているのですが、三つの「かん」を大事にしています。一つは客「観」視すること。第三者の目線で己を見る。二つめは「貫」で、やり遂げる意思。そして三つめは「感」動です。感動する方ではなく、感動される人間であれという思いを込めています。リオ2016オリンピックに参加するまでは、こんなことを考えることはできませんでした。ただ勝つことだけ、突き抜けることだけを考えていました。一度、最高の重圧と向き合い、経験をしてから自分がなすべきことは何か、どのような影響を与えていくべきかと初めて他者について考えることができるようになったと思います」と自身の変化にオリンピック出場があったと振り返る。

自分自身の立ち位置の変化によって、その人が周囲に与える力も変わってくる。それを感じ取り、振る舞いを変えることで力はより高まる。徳南選手をはじめ、深谷や中村もまた自身の変化を楽しみながら成果をだすことにまい進している。ビジネスの世界でも、このメンタルの持ち方は学びになる。パリ2024オリンピックが開催される年、スポーツとビジネスの共通点から自分自身の働き方や生き方を見つめ直してみるのもいいかもしれない。

※本ページの情報は掲載時点のものです。

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