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2019 年度 連邦予算ハイライト

Canadian tax alert

2019年3月19日

 3月19日午後、モルノー財務大臣は下院にて2019年度予算を提示した。経済成長、全国医薬品保険制度 の実施、中間層支援、男女平等を主題としている。前年度の予算と比べると、イノベーションにはあまり重点が置かれていない。カナダ財務省 “2018 Fall Economic Statement”では、近頃の米国税制改正に応じて、機械・加工装置、クリーンエネルギー装置に対する即時償却および投資インセンティブを促進していく事を発表していたものの、今回の予算では、これに対する具体的な取り組みは提示されていない。

 さらに、予算では、将来のスキル取得のための訓練へのサポートとして雇用保険に10億ドルを投資するとしている。この新しい雇用保険訓練サポート制度によると、申請者は、週平均収入の55%の金額で4週間分の給付を4年毎に受ける事ができる。

 また、政府は税制の落とし穴を是正するための手段を引き続き講じて行く予定である。CRA に対して、前回の
投資に加え150.8 百万ドルを今後5年で投資し、脱税防止や税法順守の改善に取り組むとしている。

    予算案で、OECD のBEPS プロジェクト、特に利子控除とハイブリッド防止措置について更なる策が講じられて
いないことは注目に値する。

    以下、財政見通しと予算の内容を要約する。

財政見通し

 2018年度の財政赤字は149億ドルと見込んでおり、2019年度は198億ドルと予想されている。財政赤字は
徐々に減少し、2023年度までには98億ドルになると見込まれている。

 2019年度の連邦債務対GDP比は、およそ30.7%になると予想されている。2023年度にはこの比率を28.6%
まで引き下げる計画である。

    GDPは2019年に1.8%成長し、2020年に1.6%成長することが見込まれている。
消費者物価指数上昇率は2019年に1.9%まで上がるが、その後数年は安定した状態が継続すると見込まれ
ている。

    2019年の失業率は5.7%と見込まれており、その後数年間は安定して推移すると予想されている。
 

個人所得税の改正

    個人所得税に関する提案は以下の通りである。

  • 大企業、歴史ある会社、成熟企業の従業員に課税優遇措置を提供することができる従業員ストッ クオプションの付与に年間20,000ドルの上限を導入することを提案している。この詳細は今年の夏ま でに発表される予定となっている。
  • 還付型税額控除として新たにスキル訓練控除が設けらる。これにより、スキル訓練やコースにかかる適 格な学費/費用の最大半分までの控除が受けられる。申請適格者は、毎年250ドル、終身で5,000 ドルまで繰り越すことができる。請求できる控除額は、各課税年度に支払った学費/費用の半分と、 申請者が繰り越した金額を比較し、どちらか少ない方となる。スキル訓練控除は2019年以降の課税 年度より適用される。
  • 初めて住宅購入をする人が、所得税の課税無しで最高25,000ドルまでをRSSP年金 (Registered Retirement Savings Plan) から引き出す事ができるHBP (Home Buyers’ Plan) があるが、暦年 2019年以降、この上限額を35,000ドルに引き上げる。対象は、2019年3月19日以降の引き出しで ある。
  • また、2019年以降、離婚、コモンローパートナー関係の解消の際に、配偶者や相手方パートナーから住 宅持ち分を買い取る時にもHBPを利用することができる。
  • 2019年予算では、物件の使用目的変更時にかかる取り扱いの不平等を是正することを提案してい る。連邦所得税法では、物件の使用目的を変更する場合(賃貸から自己利用またはその逆)、当該物件を売却し再取得したとみなされるが、現行の規定では建物全体の使用目的を変更する場 合に限り、当該みなし売却の適用が最長4年間繰り越せることとなっている。
  • 特定の認可制度(税制上の優遇措置が付与されるファンド)に、新しく2つの年金が加わる。これら は、年金をより柔軟に活用できるようにするための措置として、2020年以降に導入される。
  • 障害積立基金 (RDSP) については、2020年以降、以下の通りとなる。
    • RDSPの受益者が障害者税額控除(DTC)の不適格者になった後でもRDSPを継続で きる(DTC不適格者になったからといってRDSPの終了を強制されない)。
    • RDSPを継続するために、RDSPの受益者は今後もDTC適格になる可能性があることを証 明する医師からの書面を提出する必要があったが、その要件は取り除かれる。
  • 近親者等の拡大家族による児童ケア( Kinship care)に関して、以下の点を明確にするため連邦 所得税法を改正する。改正は2009年以降の課税年度に適応される。
    • Kinship careを行っている個人は、就労意欲向上を目的とした還付型税額控除 (Canada Workers Benefit)の趣旨から、Kinship Care Programによる経済援助 を受けているかどうかに関わらず、その児童の親とみなされる。また、
    • Kinship Care Programにより、kinship careを行っている個人に対して支払われる経済 援助は非課税であり、所得制限がある給付金や税額控除受ける資格を判断する際に利 用する収入総額には含まれない。
  • 文化財の寄付について、連邦所得税法および、文化財の不法な輸出入等の規制等に関する法律 (The Cultural Property Export and Import Act ) の改正をする。税制上の優遇措置を受けるに は、該当資産が国の重要資産であるという要件があったが、2019年3月19日以降に行われた寄付 ではこの要件が取り除かれる。
  • 大麻の小売りが合法となることに伴い、2018年10月17日より、医療費税額控除を受けられる大麻 製品の対象を拡大する。
  • 2019年予算では、特定の複数雇用者年金制度(SMEP: Specified Multi-Employer Pension plan)に関して、加入者が71歳になるか、もしくはその制度から確定給付を受けることになった場合 にその制度に対して拠出金を支払うことが可能であったが、これを禁止することを提案している。この変 更は、2019年以降に締結された団体包括契約に基づく拠出金に適用される。
  • 個人年金制度(IPP: Individual Pension Plans)は4人未満で構成される確定給付年金制度 である。他の確定給付年金制度からIPPへの年金の移管のうち税制非適格なものはIPPの構成員 の所得になることが提案された。この変更は、2019年3月19日以降にIPPにおいて積み立てられる年 金に適用される。
  • 投資信託会社が、不適切に税金を繰り延べたり、経常利益を税率が低いキャピタルゲインに換算す ることにより、ユニット投資信託の投資者に所得やキャピタルゲインを割り当てる事を防止するルールを 導入する。このような特定の状況下で行われた割り当てや分与は、2019年3月19日およびそれ以降 の課税年度から認められないことになる。
  • 税制適格貯蓄口座 (TFSA: Tax–Free Savings Account) は課税免除預金支援制度として設 けられたが、TFSAの運用により事業収入があった場合、および税制不適格な投資により収入があっ た場合は、所得税の課税対象となる。TFSA運用により事業収入があった場合、現在その納税責 任は、TFSAと受託者(多くの場合金融機関)が負っている。予算は、納税責任をTSFA保持者 にも与えると共に、TFSA受託者の責任を軽減することを提案している。変更は2019年以降の課税 年度に適応される。
  • 税制適格カナダジャーナリズム組織 (QCJO: Qualified Canadian Journalism Organization)の 購読に個人が支払った適格金額の15%が非還付型税額控除として新しく導入される。年間75ドル を上限とし、2020年1月1日から2024年12月31日までに支払いがされた購読料金に対して適応さ れる。
     

法人税の改正

    法人税に関する提案は以下の通りである。

  • 研究開発優遇税制プログラム(SR&ED)のもとで、還付型投資税額控除を受けることができるか どうかを判断する限度額を算出する際に、従来は前年度の課税所得を利用して算出できたが、 2019年3月19日以後に始まる税務年度から廃止される。現在投資済みの残額については、限度 額は変更されない。
  • 2019年3月19日以降にゼロエミッション車を購入した場合、償却開始の初年度は減価償却費が通 常の半分に制限されるという (half-year rule) は適用されず100%の割合で減価償却費を計上する ことができる。これまでClass 10とClass 10.1に区分されていたゼロエミッション車はClass 54に、 Class 16に区分されていたゼロエミッション車はClass 55に区分されることになる。ただし、このCCA 改定は2024年から2027年に段階的に廃止される。
  • 2016年3月21日以降に始まる税務年度から、特定法人所得 (specified corporate income) の 定義が変更される。これにより、農業および漁業を営む民間企業で、カナダ人によりコントロールされる プライベート企業(CCPC: Canadian-Controlled Private Corporations)は、独立当事者間取 引から生じた収入に対して、小規模ビジネス税額控除を受ける事ができるようになる。
  • 通常の所得をキャピタルゲインに変換することができる特殊なデリバティブ取引について、2019年3月 19日又はそれ以降に取引された取引に関して修正が提案されている。「デリバティブ先渡契約」の定 義の変更により、一定の取引については通常所得をキャピタルゲインに変換できなくなる。
  • ジャーナリズム組織に対して、個人が慈善寄付税額控除を申請したり、法人が慈善寄付金額を課 税対象所得額から差し引いたりすることができるようになった。ジャーナリズム組織が税制適格となるた めには、一定の条件を満たしQCJO (Qualified Canadian Journalism Organization) と認定され る必要がある。
  • 2019年1月1日以降にQCJO に税制適格と認定された報道局の従業員に支払われた給与・賃金 に対して、25%の税金還付を受ける事ができることとなった。この還付の上限は、従業員一人あたり 一年で$13,750である。QCJOは、還付の際に追加的な適格条件が求められる。
  • 2018年3月12日以降、カナダとベルギーのプロデューサーによる共同プロジェクトには、カナダの映画/ビ デオ制作に適応される税制優遇が適用される。
     

国際課税

  • 海外の関係会社ダンピング規制、つまり剰余金に対する無税化を防ぐため、一般的に非居住者が 支配するカナダ法人であり、当該会社が海外関係会社に投資する場合においては、その規制の適 用に際して追加の事象を考慮し読み替えることとされている。2019年3月19日以降発生する取引に ついては、非居住者たる個人、信託またはアームズレングスルールに抵触しない非居住者個人、信 託、法人等の共同出資たるカナダ法人にも適用される。この法令の適用は2019年3月19日以降発 生する取引に適用される。
  • 2019年3月19日に開始する税事業年度から、予算では、所得税法規則の中で移転価格の法令が 他の法令に先じて適用されることを提起している。これは各種所得計算に影響を与え、とりわけ課税 所得の計算と移転価格規則におけるペナルティーの計算に影響を与える。
  • 予算では、「取引」の定義を拡大解釈することを求めている。現行の定義の中では、移転価格税制 にのみ適用される「取引」という言葉の定義を非居住者、アームスレングスルールに該当しない第三者 との取引で3年間の再タックスアセスメント期間にかかるものすべてに適用されることを要請している。 当該変更は2019年3月19日に税務年度ないし再タックスアセスメント期間が終了する事業年度か ら適用されることを要請している。
  • 当該改正は、2019年3月19日以降発生する多国間で保有する貸付アレンジメントや適格配当に 適用される。
    • カナダ国内証券貸付にかかる配当相当額(または、特定の証券債権)でカナダ非居 住者の出資持分応じてなされる配当相当額は常に配当金として取り扱われるため、常 に源泉徴収が必要となる。この課税回避を防ぐため、源泉所得税にかかる適切なレート を公表する。
    • 証券貸付において、外国法人が出資持分として関与するケースではカナダ居住者から非 居住者に対してなされるすべての配当相当額は源泉所得税の対象外となる。

その他の税制改正

    予算では、その他以下の提案がなされている。

  • 2020年1月1日以降、CRAから銀行および信託銀行へ情報/書類提出の依頼をする必要がある場 合、同意を得ている銀行および信託銀行に対してのみ、電子メールで依頼する事ができる。
  • 2019年3月19日以降、特定の不妊治療、フットケア用具、および多職種間連携ヘルスケアサービス へのGST/HST免除する。
  • 2019年5月1日以降、大麻入り食品、エキスなどの大麻抽出物、大麻を使ったクリーム/ローションの 販売はライセンス所有者に対して課税され、テトラヒドロカンナビノールの総量に応じて一定レートで課 税される。

    本内容は、デロイトカナダによって配信されたCanadian tax alert の日本語参考訳です。原文(英語版)は
こちらをご参照ください。詳細な情報は財務省のウェブサイトをご参照ください

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