Posted: 14 May. 2020

都市と建設業界の変革

ビジネスモデル転換にむけた決断の時

スマートシティに対する社会的要請

日本を含むいくつかの先進国において人口減少が進み始めている。その中でも日本は世界最大のメガシティといわれる首都東京でも人口減少に転じることが予測されており、世界の他都市とは一線を画す特有の都市課題に直面することになる。

これからの日本では、人口減少および高齢化に伴う人口の量と質の両面の変化により、大都市ではその国際競争力の維持が困難になり、地方都市では都市そのものの存続が危ぶまれることになる。我々の生活に直結するところでも、健全なインフラ、良好な自然環境、さらにはこれまで培ってきた伝統や文化・風土などの維持が困難になっていく。

上記のような複雑な社会課題に直面する日本の各都市において、IoTを駆使して様々な領域の最適化を実現するスマートシティが都市変革のひとつの手段として注目を集めている。

 

スマートシティプロジェクトにおける建設業の役割

今後、自治体を中心にチャレンジが進むスマートシティの取り組みにおいて、これまでの日本の国土開発の担い手として培った建設業のケイパビリティは、さらにその重要性を増していく。

建設業は、これまでの国土開発における設計、施工、管理への一連の関与を通じて、「都市インフラ・建築物に関するノウハウ・技術」、「多様なプレーヤーとのネットワーク」、「行政・地元住民コミュニケーション(規制対応も含む)」等のケイパビリティを築いてきた。このケイパビリティが様々なステークホルダー同士の連携により推進されるスマートシティプロジェクトにおいて大いに活かされるのである。

実際に、海外のスマートシティの事例においても、住民の反対や政治的な対立を理由として計画通りの進捗が阻まれているケースは少なくない。今後日本のスマートシティプロジェクトがさらに大規模化複雑化していくと、同様の課題に直面する可能性があり、これまでの国土開発の数多のプロジェクトを推進してきた建設業のケイパビリティがその突破口として活きるのである。

 

建設業者のスマートシティチャレンジの重要性

冒頭に述べたように日本は人口減少に転じるため、都市インフラ・建築物に対するニーズも量から質へ転じることが想定される。そのため、量を補うために「建てる」ことに重きを置いてきた建設業はそのビジネスモデルの転換を迫られることになる。

これまでの「請け負って建てる」だけでなく、自社のケイパビリティに鑑みて、それを活かして社会課題に応え、社会に対して価値を発揮することに主眼を置いて、自社のビジネスを再設計することが求められる。

その意味でこれからの日本社会の要請が大きいスマートシティへのチャレンジは、実は建設業のビジネスモデルそのものの変革に繋がる。建設業者がスマートシティを自社変革に向けた重要なチャレンジと位置付け、主体的に取り組むことで、自治体や他のプレーヤーからの信頼を積み増し、トラステッドアドバイザーとしての地位を確立できる。日本を挙げてスマートシティに取り組む機運が高まる今が、建設業におけるビジネスモデル転換にむけた重要な決断の時なのである。

※本稿は2019年10月に執筆しています

 

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執筆者

庄﨑 政則/Masanori Shosaki

庄﨑 政則/Masanori Shosaki

デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員

建設業界、不動産業を中心に、経営戦略の策定、新規事業の企画・立ち上げ支援、事業再生、業務プロセス改革等のコンサルティングに従事。 不動産投資マネジメント、事業再生の実務経験を有する。 関連サービス ・産業機械・建設 >>オンラインフォームよりお問い合わせ

小笠原 峻志/Takashi Ogasawara

小笠原 峻志/Takashi Ogasawara

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 シニアコンサルタント