四国初のコミュニティ財団、「えひめ西条つながり基金」へのプロボノ支援 ブックマークが追加されました
デロイト トーマツ グループ(以下、デロイト トーマツ)は2023年7月より約半年間にわたり、四国初のコミュニティ財団*1 「公益財団法人 えひめ西条つながり基金」(以下、財団)の中期計画策定に向けたプロボノ支援*2を実施しました。
財団設立から1年、インパクトの創出や持続的な運営を目指して中期計画を策定
財団は市民・企業からの寄付によって2022年4月に設立され、西条市を中心に活動(地域から関心の高い課題に取り組んでいる非営利団体への助成等)を推進していますが、財団の中長期的な方向性の明確化や、取り組みに対する市民の認知度向上等が、インパクトの創出や持続的な運営への課題となっていました。
そのような状況の中で、一般財団法人 日本民間公益活動連携機構(JANPIA)が開催した「ボランティア・プロボノ マッチング会」(休眠預金等を活用し事業を行う「実行団体」と企業のプロボノ連携に向けた対話の場)に財団が参加したことをきっかけに、非営利団体に対する中期計画策定等の経験を有するデロイト トーマツのプロボノチームが、財団の目指す社会・ミッションや中期ビジョン、基本戦略の策定支援をするに至りました。
目指す社会・ミッションの検討において、プロボノチームは財団の理事・評議員数名に個別にインタビューを実施し、各々が実現したい社会や財団が担うべき役割、現状の課題等を伺いました。その上で、他地域のコミュニティ財団のミッションや事業内容も参考にし、ディスカッションを重ね、財団の想い・独自性を最も体現できる「目指す社会」「ミッション」を導出しました。
また、これらの実現に向けて、3年後に目指す中期ビジョンやその達成に向けた道筋(=基本戦略)も検討しました。基本戦略で目指す成果目標は財団の声を反映し、定量・定性的に結果を評価できるKPI(Key Performance Index)を策定しました。
中期ビジョン・基本戦略の検討では、「多様な主体との連携」を通した地域への貢献が財団の重要な柱であり、施策の多くが外部との取り組みを前提としていること、また、コミュニティ財団は市民・企業の寄付で成り立っていることを考慮し、プロボノチームは幅広いステークホルダー(行政、企業、非営利団体等)へのインタビューを実施しました。
この結果、ステークホルダーが地域に対して感じている課題や財団に求める役割を踏まえ、中期ビジョン・基本戦略をさらに精緻化し、実情により近い形で策定することができました。
検討した基本戦略の実現を「絵にかいた餅」にしないために、その実現性を検証すべく、収支のシミュレーションを実施しました。年度別の収入見込みやその調達方法、施策ごとの支出を財団内で議論し、主要な収支バランスが適切であることを確認しました。確認結果を用いて、中期ビジョンおよび基本戦略を最終化し、財団の今後の活動指針になるよう活用いただきます。
公益財団法人 えひめ西条つながり基金からのコメント
プロボノチームの皆さんと過ごした約半年間は、私たちにとってかけがえのない時間になったと思っています。これまでの私たちはそれぞれの考えていることや想いを断片的にチームの中で共有をしており、一緒の方向を見ているかもしれないけれど、同じビジョンが共有できていなかったように感じます。そこを丁寧に寄り添っていただき、時間をかけて一つ一つの言葉を紡いでいくことで着実にチームが一つになっていったと思います。ここまで親身になってやってくれるとは思っていなくて正直驚きました。この中期計画の実現を通じてみなさまへの恩返しになればと思います。素晴らしいサポートを本当にありがとうございました!
えひめ西条つながり基金 理事 安形真様
参画メンバー:池谷 珠音さん(SAM Pool, Consultant)
このプロジェクトはコンサルタントとしての在り方や、自身のキャリアについて考える貴重な経験となりました。
まず、コンサルタントとしての理想的な在り方とは、コンサルタントが考えた最適解をただ提示するのではなく、クライアントの思いに寄り添い、クライアントと共に解を創り上げることであると実感できたことが大きな学びとなりました。
また、地域活性化を目指す財団の皆様の熱い思いを理解する中で、人と人とのつながりによって社会があること、そして自らもその一員として貢献できることを今後のキャリアを築く中でも意識していたいと感じました。
今後も自身の出せる価値や自身の仕事の社会的意義について考えつつコンサルタントとして成長していきたいと思います。
公益財団法人 えひめ西条つながり基金は、「西条で暮らす人、西条に愛着をもつ多様な人々が、お互いに補い合いながらチャレンジできる、西条流の応援プラットフォームをつくる」ことを設立趣意とし、四国初のコミュニティ財団として2022年4月に設立されました。
設立以来、西条市をはじめとした地域の活性化に向けて、市民団体に対する資金提供や各種支援を行っています。
*1コミュニティ財団とは、コミュニティ(地域)が抱える課題の解決と、価値創造を目的とした財団の総称。地域が必要とする資金(公益事業を行う非営利団体への助成金等)提供を目的に、基金の設置・運用等を行っている。
*2プロボノ支援とは、専門知識・スキル等を生かして、資金や人材が不足している非営利団体に向けて無償で提供される支援