調査レポート

コロナ時代にキャリアへの不安を強める日本のミレニアル・Z世代

2020年 デロイト ミレニアル年次調査日本版 新型コロナウイルス感染拡大がミレニアル・Z世代に及ぼした影響とは?

2020年度のミレニアル年次調査では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大以前(2019年末)に定点調査(第一次調査)を実施し、その後、世界的パンデミックの影響を把握するために、追加調査を2020年4月~5月に実施しました。今回の調査では、過去調査では増加傾向にあった離職意向が低下に転じ、COVID-19に対する企業の対応についても、概ねポジティブに評価する姿が浮かび上がりました。

本年で9回目となるミレニアル年次調査では、世界各国のミレニアル・Z世代約27,500名を対象として、2019年11月から2020年5月にかけて二度にわたりオンライン調査を実施しました。第一次調査では各世代の社会観・仕事観・人生観を、第二回となる追加調査では、第一次調査の主要項目に加え、COVID-19による社会的・経済的影響に関する項目について回答を得ています。

 

2020年 デロイト ミレニアル年次調査 グローバル翻訳版〔PDF, 2.8MB〕

主な調査結果

昨年まで増加傾向にあった離職意向は低下へ転じる

日本のミレニアル・Z世代の2年内離職意向は、それぞれ23%、29%となっており、前回調査時(2019年)の水準と比べるとはるかに低下しています。減少幅は日本ほどではないものの、グローバルでも離職意向は低下傾向にあります。理由としては2019年の経済成長減速の結果、ミレニアル・Z世代が雇用に対して保守的になっている可能性が考えられます。

2年内離職意向
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広義の意味でのデジタル化に対する認識は低く、必要なスキルや知識も習得できていない

過去10年程で、第四次産業革命、すなわち、広義の意味でのデジタル化が進展し、仕事の内容や質も変化しています。今後は感染症リスクの拡大により、この変化は更に加速化しようとしています。しかし、日本のミレニアル・Z世代の第四次産業革命に対する認識は低く、「自分の仕事に影響はない」「どのような影響があるかわからない」との回答がそれぞれ61%、59%とグローバルの同世代と比較してもかなり高い数値となっています。

第四次産業革命に対する認識
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また、第四次産業革命に必要なスキル・知識を保有しているかどうかをみると、日本のミレニアル・Z世代のそれぞれ61%、71%が「ほとんどない」「わからない」と回答しており、レディネスもグローバルよりも低い状況がうかがえます。本来であれば、デジタル化を牽引することが期待されるミレニアル・Z世代ですが、スマートフォンなどの身近なデジタル技術の活用については長けているものの、デジタル技術を創出、あるいは仕事に融合させる点では理解が進んでおらず、自分事化出来ていない姿が示唆されます。

第四次産業革命に必要なスキル・知識の保有状況
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COVID-19に対する企業のアクションの捉え方は概ねポジティブとなっている

ミレニアル・Z世代もCOVID-19感染拡大によって、雇用や給与、また働き方の面で影響を受けていますが、各世代はどのように企業の対応を評価しているでしょうか。日本のミレニアル世代の55%、Z世代の46%は「雇用主の対応によって、長期的にこの会社にとどまりたいと考えるようになった」と、好意的な捉え方をしています。


また、グローバルと比較すると数値が低めではあるものの、日本のミレニアル世代の過半数が「個々の従業員への対応」「ITインフラの整備」「緊急対応のスピード」「人事制度の弾力性」との項目で過半数がポジティブに評価しています。企業は、この評価が高まっているタイミングを好機と捉え、各世代のエンゲージメントを高め、リテンションやパフォーマンスの向上につなげていくことが望まれます。
 

COVID-19に対する企業のアクションの捉え化
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各世代でリモートワークは拡大するも、全体としてはニューノーマルの先導には至っていない

COVID-19に起因する緊急事態宣言の影響で、ミレニアル・Z世代の間でもリモートワークが広がりました。COVID-19感染拡大前は、「いつも」「ほとんど」リモートワークをしているとの回答は日本のミレニアル世代で23%、Z世代で28%でしたが、感染拡大後はそれぞれ31%、33%と伸長しています。グローバルでは、感染拡大後は各世代の約半数が「いつも」「ほとんど」リモートワークを行っていることを踏まえると、日本ではリモートワークを日常的に実施している割合は依然低いと言うことができます。

リモートワーク実施状況
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それでは、日本のミレニアル・Z世代はリモートワークをどう捉えているでしょうか。ミレニアル世代の55%、Z世代の49%が「ストレスが軽減される」とのメリットを感じている一方で、「雇用主がリモート環境での生産性を信頼している」との回答はミレニアル世代36%、Z世代37%に留まり、働き辛さも感じています。また、リモートワークをするならば「大都市以外にも住みたい」との回答もミレニアル世代37%、Z世代40%とグローバルと比較して低く、各世代のマジョリティとしては、ニューノーマルを牽引する意識は低い傾向にあります。

これは、日本ではリモートワークがグローバルと比較して浸透していないこと、また、経験値が低く、リモートワーク下で効果的なマネジメントがまだ整備・実践されておらず、メリットが十分に享受できていないことが理由として考えられます。
 

リモートワークの捉え方
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メンタルヘルスは改善傾向にあるものの、将来への不安は大きくなっている

COVID-19感染拡大後、ストレスや不安を感じる頻度を「いつも」「ほとんど」と答えたミレニアル・Z世代の割合は日本でもグローバルでも減少し、メンタル面での健康は改善傾向にあります。経済活動が減速したことによる多忙な状況の緩和や、リモートワークによる通勤ストレスの軽減、また、家族と過ごす時間が増えたことが原因として考えられます。
ストレスの原因をみると、COVID-19感染拡大後は「仕事とキャリアの展望」がミレニアル世代で2位、Z世代で1位に上昇しており、将来に対する不安は大きくなっていることがわかります。
 

ストレスの原因
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先述の通り、もともとデジタル化に対する認識やレディネスが高くないミレニアル・Z世代ですが、COVID-19に起因する経済状況の悪化を目の当たりにし、リスキルの必要性を自ら認識している可能性があります。企業は、人材の高度化と戦力確保に向けて、ミレニアル・Z世代が求める働きやすい環境の構築に努めるとともに、キャリア開発・リスキルの機会も創出していくことが必要となります。

 

本レポートはDeloitte Globalが発表した内容をもとに、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社が翻訳・加筆したものです。和訳版と原文(英語)に差異が発生した場合には、原文を優先します。

調査概要

本調査は、デロイト グローバルが2019年11月~2020月5月の間、二度にわたり実施したもので、世界43カ国(追加調査は13カ国)約27,000名のミレニアル世代(本調査では1983年~1994年生まれ)とZ世代(同1995年~2003年生まれ)を対象に行った調査です。

調査形式

: Webアンケート方式

調査時期

: 2019年11月~12月(第一次調査)、
  2020年4~5月(追加調査)

調査対象

: 27,528名(内、国内回答者は1,600名)

 

グローバルのレポート(英文)はこちらをご参照ください。

過去のミレニアル年次調査

2019

日本のミレニアル世代の約半数が2年以内の離職を見込み、日本の離職意向はグローバル水準に並びました。一方、雇用形態としては企業への所属を望み、4割弱が第四次産業革命に向けた準備に最も責任があるのは企業だと回答しています。

≫ 2019年 デロイト ミレニアル年次調査を読む
 

2018

第四次産業革命の進展によって、労働の本質が変化している中、多くのミレニアル世代が「安心感」を求めています。また、彼らは「企業は収益と同時に、社会や環境に対してよい影響を与えるべきだ」と考えている一方、現実には企業は収益をあげることを最優先としており、そのギャップによりミレニアル世代は所属組織に帰属意識を持てないでいます。

2018年 デロイト ミレニアル年次調査を読む
 

2017

このレポートは柔軟な勤務形態と業務の自動化の進展がいかにミレニアル世代の姿勢とパフォーマンスに影響を与えるかを説明しつつ、従業員の目的意識とリテンションとの関係性を改めて示しています。

2017年 デロイト ミレニアル年次調査を読む
 

2016

ミレニアル世代は、労働人口に一層大きな割合を占めるようになり、上級職に就く人も増えています。もはや未来のリーダーではなく、次第に今日のリーダーになってきていることもあり、彼らのビジネスの手法や姿勢に対する見解は、単なる学術的な関心を超えるものとなっています。

2016年 デロイト ミレニアル年次調査を読む
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