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金属産業における循環型社会構築に向けたデロイト トーマツの取組み

金属スクラップ業界の国際サプライチェーン再編

地球環境保全のための循環型社会の構築に向けて、金属産業においてはバリューチェーンにおけるスクラップ回収・選別のケイパビリティ強化やリサイクル素材の販売チャネルの拡充がより重要となっています。当社では、鉄・アルミ・銅が持つ高い資源リサイクル性を最大限発揮できるよう、スクラップ選別技術の高度化の仕組みを検討しています。

金属産業における循環型社会構築に向けた取り組み

鉄・アルミ・銅には高いリサイクル性があります。金属産業においては、循環型社会の構築に向けて、バリューチェーンにおけるスクラップ回収・選別のケイパビリティ強化や販売チャネルの拡充がより重要となっています。

海外においては、鉄・非鉄のリサイクル領域は、ともにスクラップ業界の大型事業者への再編が進んでおり、スクラップ業界のグローバル企業が、上流の資源マイニングや精錬・再資源化企業に対して、存在感を高めています。日本においても、製品ごとの金属スクラップの業界再編が今後進展すると考えられます。

しかし、金属リサイクルの現場では、スクラップ回収・選別作業が課題となっており、雑品・不純物が混入したまま低品質な状態で市場に流通しています。結果として、鉄スクラップの価格低下を生んでいます。

鉄スクラップ選別作業コストを抑えるため、新興国への金属資源輸出を行おうにも、既に中華系・欧米企業が進出しており、日本のリサイクル企業が単体で新興国の市場に参入することは困難です。そのため、国内で金属の再資源化を進めているものの、日本のリサイクル企業は中小零細企業の集合体であるために金融機関からの設備投資援助が不足しており、技術レベルの向上に課題を抱えています。

当社では、金属資源の価値評価や取引価格の決定に際し、取引現品にリサイクル作業情報を紐づけて可視化することで、透明・公正性を高め、設備投資援助を呼び込むと共に、安全かつ効率的に金属資源を循環させることができる共通プラットフォームの構築を検討しています。
 

金属スクラップリサイクルのステークホルダーが抱える課題例:

  1.  破砕・選別業者:高品位スクラップ選別技術の向上・開発を行いたい
  2. 製錬業者:スクラップ再資源化のコスト削減、品質を向上させたい
  3. 金属商社:金属資源循環チェーンの構築を行いたい
     
解決策例

「国・地域」、「ケイパビリティ」毎に、持続可能なリサイクル事業構造の実現、リサイクル資源の品質・価格の可視化等の共通プラットフォームの構築を行います。

AIによる画像処理や機械学習技術等による金属スクラップ分別・解析作業の自動化ツールを提供し、再資源化の品質及び効率向上を目指しています。

当該活動では、共通プラットフォームの運用者/協力者を広く募り、社会課題を解決するようなルールを形成すると共に、金属スクラップの選別技術高度化を推進することで、収益を改善し、多くのリサイクル会社が参画できる仕組みを構築します。

その結果として、日本企業のリサイクル資源が国外へ流出することなく、国内での販売チャネル拡大につながることを目指します。

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