調査レポート

Deloitte CFO Signals Japan: 2022Q3

不確実性はさらに拡大傾向が続くものの、財政見通しはわずかに好転

日本における第30回目の実施となったCFO向けの定期サーベイ。本サーベイでは、「経済環境に関する調査項目」で時系列でCFOの意識変化やマクロ的な視点での日本経済及び世界主要国のリスクシナリオに関する意識調査を行い、調査時点での最新の見通しを考察しました。あわせて、日本の独自のホットトピックとして、「CFOが持つべき経験やスキルセットに関する調査」に関してお伺いしました。本ページでは、今回のサーベイ結果の中で特徴的な回答結果についてまとめています。(調査期間:2022/11/15~11/25)

Deloitte CFO Signals について

Deloitte CFO Signalsは、デロイトがグローバルレベルで定期的に実施している、企業を取り巻く経済環境に関するCFOの意識調査です。毎回の調査で世界各国CFOの皆様から得られた回答結果を集約し、デロイトの専門家が考察を加え、CFOからの”Signals”として発信しています。日本で行うDeloitte CFO Signals Japanでは、「経済環境に関する調査」において、毎回グローバルで統一の設問を設定しています。それによって日本だけに限らず、グローバルレベルでCFOの動向を考察します。

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2022Q3 CFO Signals Report Highlights

財政的な見通し

設問1. 財政的な見通し

各社の財政的な見通しが3ヶ月前と比べてどのように変化したかを調査した。

今回の2022Q3調査では財政見通しが「大いに楽観的になった」「やや楽観的になった」の合計が17%と、前回の9%から増加した。

他方「大いに楽観的でなくなった」「やや楽観的でなくなった」の合計は31%と、前回の42%から減少した。結果CFOの財政見通しはわずかに好転したといえる。もっとも楽観見通しが悲観見通しを下回っている状況は2021Q1以来不変であり、また今回は楽観と悲観の二極化の様相もみられる。

前回調査以降のグローバル経済は依然資源高やサプライチェーン寸断が続いているほか、欧米では中央銀行が金利引き上げを継続しており、市場の景況観は悪化方向にある。他方、日本国内では新型コロナウイルス感染症第7波が収束して移動制限や営業制限が解除されて経済活動は回復した。さらに為替市場では円安が進んだほか株式市場も総じて安定推移した。こうした内外経済のデカップリングや、円安進行の企業財政への影響度の違いから、楽観回答と悲観回答が分かれたものと思われる。

(全文レポートより一部抜粋)

設問4. 今後1年間の日本経済の注目点

今後1年間の事業展開を展望するうえで注目される日本経済の注目点を調査した。

今回調査でも1位、2位はぞれぞれ前回調査と同じ「生産コスト上昇とインフレ」「サプライチェーン停滞」となった。3位には「日本銀行の金融政策」が前回の5位から大きく順位を上げた。生産コスト上昇ペースは2023年にはやや緩和が見込まれるものの、その水準は依然高水準が維持されると見られる。

今回初めて3位以内に入った日本銀行の金融政策は、2023年春の日本銀行総裁交代にともないこれまでの量的・質的緩和政策に変更があるかが注目点となるだろう。仮に金融政策正常化が行われた場合、企業の資金調達コスト上昇や円高がビジネス環境に大きな影響を与える可能性がある。

(全文レポートより一部抜粋)

CFOに至るまでのキャリアパス

設問7. CFOに至るまでのキャリアパス

CFOのキャリアパスとしては、縦棒グラフにあるように、「経理・財務中心の経験」という回答が29%で第一位となった。次いで、「経理・財務/事業/その他コーポレートをバランスよく経験」との回答が26%となり、両者で半数以上を占める結果となった。

グラフ下部の表にあるように、各選択肢に含まれる機能を「経理・財務」「コーポレート(経理・財務除く)」「事業」の3つの要素に分解し、各機能が含まれる選択肢の回答を集計した。「経理・財務」の経験を含んでいる回答の合計は74%となり、裏を返すと経理・財務を主たる経験としていないCFOも1/4程度いることがわかった。

同様に、「事業」経験があるCFOも50%超となり、半数は経理・財務のみならず事業を経験していることが明らかになった。前回までの本サーベイの結果通り、今後ストラテジストやカタリストとしての攻めの役割が増加することを踏まえると、事業経験の必要性はより一層高まってくると考えられる。

(全文レポートより一部抜粋)

CFOが持つべきコンピテンシー

設問9. CFOが持つべきコンピテンシー

CFOが持つべきコンピテンシーについて、「これまで」と「これから」の両者において第一位となったのは「変化への柔軟性」であった。不確実性が高まる中、CFOに不変的に求められるコンピテンシーであることがうかがえる。

「これまで」と「これから」を比較した際に、「ビジョニング」「イノベーション力」「デジタル・テクノロジーへの精通」が特に増大した。デジタル技術が急速に発展する中、人にしかできないことへの対応や、新しい技術を使いこなすことがより求められるようになっていると言える。

全体としては「これから」重要となるコンピテンシーは回答が分散したと言え、前回までの本サーベイの結果の通り、CFOに求められる役割が多様化していることとも関連があると推察できる。

(全文レポートより一部抜粋)

CFOにとっての“the Trusted Advisor”となるために

デロイト トーマツ グループでは、様々な課題に直面するCFOを支え、ファイナンス組織の能力向上に寄与することを目指したサービスを展開しています。グローバルに展開するプロフェッショナルファームとして先進的な知見やネットワークの場を提供し、CFOにとっての“the Trusted Advisor"となることを目指します。詳しくは、CFOプログラム*をご確認ください。

*CFOプログラムとは、様々な課題に直面するCFOを支え、ファイナンス組織の能力向上に寄与することを目指すデロイト トーマツ グループによる包括的な取り組みです。

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