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IASBは、負債の分類を明確にするIAS第1号の修正を最終化        

IAS Plus 2020.01.23

IASBは、報告日に存在している契約上の取決めを基礎として、IAS第1号に基づく負債の分類に対するより一般的なアプローチを提供する「負債の流動または非流動の分類」(IAS第1号の修正)を公表した。

国際会計基準審議会(IASB)は、報告日に存在している契約上の取決めを基礎として、IAS第1号に基づく負債の分類に対するより一般的なアプローチを提供する「負債の流動または非流動への分類」(IAS第1号の修正)を公表した。

 

背景

本論点は当初、年次改善プロジェクト2010年-2012年サイクルで取り扱われていた。2012年5月に公表された公開草案ED/2012/1「IFRSの年次改善(2010年―2012年サイクル)」(デロイト トーマツのWebサイト-※1)は、 IAS第1号73項の修正を提案した。これは、同一の貸手との既存の融資枠において、同一または類似の条件で、報告期間後少なくとも12か月にわたる債務の借換えまたはロールオーバーをしたりすることを企業が予定しており、かつ、そうする裁量権を有する場合に、負債が非流動に分類されることを明確にするものであった。しかし、2013年中に、IASBは当該修正を最終化せず、その代り、いつ負債を流動に分類しなければならないかに関する、IAS第1号の既存のガイダンスを改良する狭い範囲のプロジェクトを進めることを決定した。

2015年2月IASBは、公開草案ED/2015/1「負債の分類」(IAS 1の修正案) (デロイト トーマツのWebサイト-※2)に提案を公表した。IASBは、2015年12月から2019年9月まで本EDに関するフィードバックについて議論したが、IASBが「概念フレームワーク」における負債の定義の改訂を最終化する間、2016年から2018年の間はプロジェクトを一時停止した。これらの議論の結果、IASBは修正案に根本的な変更を加えなかったが、その一部の側面を明確にすることを決定した。

 

本修正

「負債の流動または非流動への分類」(IAS第1号の修正)における修正は、財政状態計算書における負債の表示のみに影響し、資産、負債、収益または費用の認識の金額または時期、または企業がそれらの項目について開示する情報には影響しない。本修正は、以下を明確化する。

  • 負債の流動または非流動の分類は、報告期間の末日に存在する権利に基づくべきであることを明確化し、少なくとも12か月にわたり決済を延期する「権利」を参照するようにすべての影響を受ける項の文言をそろえ、「報告期間の末日に」存在している権利のみが分類に影響を与えるべきであることを明示する。
  • 分類は、企業が負債の決済を延期する権利を行使するかどうかについての見込みにより、影響を受けないことを明確化する。
  • 決済は、現金、資本性金融商品、その他の資産またはサービスの相手方への移転を指すことを明確化する。

  

発効日及び経過措置

本修正は、2022年1月1日以後開始する事業年度に発効し、遡及的に適用される。早期適用は、認められる。

 

さらなる情報

下記リンクをクリックしてください:

IASB のプレスリリースの日本語訳(ASBJのWebサイト-日本語)
》IAS Plusのプロジェクト・ページ IAS 1-負債の分類(IAS Plus-英語版)
 

※1》IFRS in Focus 2012.05.18「IASBがIFRSの年次改善(2010年-2012年サイクル)に関する公開草案を公表」(デロイト トーマツのWebサイト)
※2》 IFRS in Focus 2015.02.10「IASBが、負債の流動または非流動への分類要件の明確化のためIAS第1号の修正を提案」(デロイト トーマツのWeb サイト)

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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