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IASB、将来の作業計画についての第3回のアジェンダ協議を開始

IAS Plus 2021.03.30

IASBは、情報要請を公表することにより、戦略的な方向性及び将来の作業プログラムの全般的なバランスについての広範な公開のインプットを募集する第3回の公開協議を開始した。コメントを提出する期限は、2021年9月27日である。

国際会計基準審議会(IASB)は、情報要請を公表することにより、戦略的な方向性及び将来の作業プログラムの全般的なバランスについての広範な公開のインプットを募集する第3回の公開協議を開始した。コメントを提出する期限は、2021年9月27日である。

 

イントロダクション

情報要請には、情報要請の目的を記載し、将来の作業計画を決定する際にIASBにどのように回答が役立つかを記述しているイントロダクションのセクションが含まれている。イントロダクションでは、現在進行中であり、サステナビリティ報告についての協議を含む、IFRS財団の5年に1度の構造及び有効性のレビューとIASBのアジェンダ協議との違いについても説明している。評議員会の協議はIFRS財団の役割の拡張の可能性についてのフィードバックを求めているのに対し、IASBのアジェンダ協議は、IASBの作業の現在の範囲に含まれる活動の優先度についてフィードバックを求めている。IASBは、経営者による説明プロジェクトについて作業しており、財務諸表に関連する限り、利害関係者がそのように望めばよりサステナビリティの観点について実行し得る。ある程度関連する中間点があるものの、回答者は、2つのイニシアチブを混同してはならない。IFRS財団の評議員会は、そのイニシアチブに直ちに前進するため、IASBが将来のアジェンダについて決定を行う前に、評議員会の決定が可能となることとなる。


情報要請

情報要請は、以下の3つのパートで構成されている。

  1. IASBの活動の戦略的な方向性及びバランス
  2. 作業計画に追加される可能性のあるプロジェクトの優先度を評価するための要件
  3. IASBの作業計画に追加される可能性のある財務報告の論点



IASBの活動の戦略的な方向性及びバランス

IASBの活動の戦略的な方向性及びバランスに関する最初のパートは、IASBの作業が現在以下の6つのラインで行われていることを示している。

  • 新IFRS基準及びIFRS基準に対する大規模修正
  • IFRS基準の維持管理及び一貫した適用
  • IFRS for SME基準
  • デジタル財務報告及びIFRSタクソノミ
  • 理解可能性及びアクセス可能性
  • 利害関係者とのエンゲージメント

情報要請のこのパートでは、IASBは、各作業ラインについて現在のレベルの集中度を増加、変更しないまたは減少すべきかどうかについての利害関係者の見解を求めている。追加の作業の余裕はほとんどないものの、回答者は、IASBの全般的なリソースのレベルが、2022年から2026年までの間ほぼ変化がないことを仮定することが求められている。

 

作業計画に追加される可能性のあるプロジェクトの優先度を評価するための要件

作業計画に追加される可能性のあるプロジェクトの優先度を評価するための要件に関する情報要請の2番目のパートでは、IASBが、新IFRS基準及びIFRS基準に対する大規模修正を開発するために作業計画に追加する可能性のある、潜在的な財務報告の論点を評価する7つの要件の具体的なリストを使用することが示されている。それらの要件は以下のとおりである。

  • 投資家にとっての当該事項の重要性
  • 企業が財務報告書において取引または活動のタイプを報告する方法に欠陥があるかどうか
  • 当該事項が一部の法域では他よりも一般的であるかどうかを含め、事項が影響する可能性が高い会社の種類
  • 当該事項が会社にとってどれだけ広がりまたは深刻さがある可能性が高いか
  • 作業計画において他のプロジェクトと相互作用する潜在的なプロジェクト
  • 潜在的なプロジェクトの複雑性及び事項可能性、及びその成果
  • 潜在的なプロジェクトについて適時に進捗するためのIASB及び利害関係者のキャパシティ

本要件は、「デュー・プロセス・ハンドブック」及び「2015年のアジェンダ協議」に由来する。具体的な要件の相対的な重要性は、特定の状況により変化する。情報を提供するコストも考慮に入れるものの、一般的にIASBは、作業計画について潜在的なプロジェクトを、主としてプロジェクトが投資家のニーズを満たすかどうかを基礎として評価する。

 

IASBの作業計画に追加される可能性のある財務報告の論点

最後に、IASBの作業計画に追加される可能性のある財務報告の論点に関する情報要請の3番目のパートは、IASBに対して検討することが頻繁に提案される22個のプロジェクトに言及している。情報要請は、潜在的なプロジェクトのそれぞれについてどの優先度-高、中、低-を与えるか、及び優先度はプロジェクトの記述に含まれるすべてまたはいくつかの側面のみについて言及しているのかどうかについての利害関係者の見解を求めている。回答者は、IASBが2022年から2026年までの作業計画に追加すべきと考える追加の論点を提案することも募集している。



付録

読みやすさの理由から、情報要請で言及されている一部の情報は、付録に掲載されている。

  • 付録Aは、2021年3月現在のIASBの作業計画における活動中のプロジェクトを記載している。
  • 付録Bは、IASBに作業計画に含めることが頻繁に提案される22個のプロジェクト22個の財務報告の論点を記載している。
  • 付録Cは、少数の利害関係者からのみIASBに提案される追加の財務報告の論点を記載している。



コメント期限及び次のステップ

利害関係者は、2021年9月27日までに情報要請についてのフィードバックを提供することを求められている。IASBは、2021年の後半にフィードバックを議論し、2022年第1四半期にフィードバックを要約し2022年から2026年までの作業計画を発表するフィードバック文書を公表する予定である。



さらなる情報

下記リンクをクリックしてください:

》IASBのプレス・リリースの日本語訳(ASBJのWebサイト)
情報要請へのアクセス(PDF:595KB-IASBのWebサイト-英語)
》アジェンダ協議についてのInvestor Perspectiveの記事(PDF:257KB-IASBのWebサイト-英語)
》アジェンダ協議の概要についてのビデオ (動画:4分、 IASBのWebサイト-英語)
》IASBの活動の戦略的な方向性及びバランスについてのビデオ (動画:3分、IASBのWebサイト-英語)
》IASBの作業計画に追加される可能性のある財務報告の論点についてのビデオ (動画:3分、IASBのWebサイト-英語)
》IAS Plusのプロジェクト・ページ アジェンダ協議2020年(IAS Plus-英語版)

 

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