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IASB、IAS第12号の修正を公表    

IAS Plus 2021.05.07

IASBは、リース及び廃棄義務のような取引における繰延税金を会社がどのように会計処理するかを明確化する「単一の取引から生じた資産及び負債に係る繰延税金」(IAS第12号の修正)を公表した。

国際会計基準審議会(IASB)は、リース及び廃棄義務のような取引における繰延税金を会社がどのように会計処理するかを明確化する「単一の取引から生じた資産及び負債に係る繰延税金」(IAS第12号の修正)を公表した。

 

背景

IFRS解釈指針委員会は、IAS第12号「法人所得税」と、リース(借手がリースの開始時に資産と負債を認識する場合)及び廃棄義務(企業が負債を認識し、有形固定資産項目の取得原価に廃棄コストが含まれる場合)に関連する繰延税金の認識に関する要望書を受け取った。要望書の事実パターンは、リース料と廃棄コストは支払ったときに税務目的で損金算入されることが想定され、実務上異なるアプローチが識別された。

解釈指針委員会は、要望書を議論し、影響を受ける様々な種類の契約及び事実パターンが存在するため、この問題は目的適合性があり、広範なものであるという結論に達した。さらに、税務上の損金算入が契約、(単一の)資産/負債、またはキャッシュ・フローに帰属するか、及び一時差異を決定するためにどのような帰結があり得るかの問題は、IAS第12号において根本的なものである。したがって、解釈指針委員会は、IASBが明確化のためにIAS第12号の修正を開発することを提言した。

IASBは、本論点を議論し、2019年9月に明確化のための修正案の公開草案(デロイト トーマツのWebサイト-※1)を公表し、今般これが最終化された。

 

変更点

「単一の取引から生じた資産及び負債に係る繰延税金」(IAS第12号の修正)における主要な変更点は、IAS第12号15項(b)及びIAS第12号24項に設けられている「当初認識の例外」からの適用除外の提案である。そのため、当初認識の例外は、同額の将来減算一時差異及び将来加算一時差異の両方が生じる取引に適用されないこととなる。これは、新しく挿入されたIAS第12号22A項においても説明されている。

 

発効日及び経過措置

本修正は、2023年1月1日以後に開始する事業年度に発効する。早期適用は認められる。企業は、表示する最も古い比較対象期間の期首以後に発生する取引に、本修正を適用する。また、表示する最も古い比較対象期間の期首において、企業は、リース及び廃棄義務に関連するすべての一時差異に対する繰延税金を認識し、本修正の適用開始の累積的影響を、利益剰余金(または、適切な場合には、資本の他の内訳項目)の期首残高の修正として認識する。

 

 さらなる情報
下記リンクをクリックしてください:

》IASBのプレス・リリースの日本語訳(ASBJのWebサイト-英語)
IFRS in Focus「IASB、単一の取引から生じる資産および負債に係る繰延税金についてIAS第12号 を修正」(デロイトトーマツのWebサイト)
》IAS Plusのプロジェクト・ページIAS第12号- 単一の取引から生じた資産及び負債に係る繰延税金(IAS Plus-英語版)

 

※1》「IFRS in Focus-IASB、IAS第12号の「法人所得税」の修正を提案」(デロイト トーマツのWebサイト)

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