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IASB、IFRS第9号の適用後レビューについての情報要請を公表    

IAS Plus 2021.09.30

IASBは、IFRS第9号「金融商品」における分類及び測定の要求事項が、財務諸表の利用者に有用な情報を提供しているかどうか等を識別するために利害関係者からのコメントを求める、情報要請(RFI)を公表した。コメントは、2022年1月28日まで募集している。

国際会計基準審議会(IASB)は、IFRS第9号「金融商品」における分類及び測定の要求事項が、財務諸表の利用者に有用な情報を提供しているかどうか、適用が困難及び基準の整合的な適用を妨げる要求事項があるのかどうか、及び基準を適用または強制することに関連して生じている予想外のコストがあるのかどうかを識別するために利害関係者からのコメントを求める、情報要請(RFI)を公表した。
  

IFRS第9号の適用後レビュー・プロセスは、2020年10月にIASBのアジェンダに正式に追加された。IASBはIFRS第9号のすべてのパートの適用後レビュー(PIR)を実施する予定であったが、分類及び測定に関するPIRを可能な限り早く開始するために、IASBは、(FVOCIの資本性金融商品を含む)IFRS第9号の分類及び測定の要求事項のPIRを、残りのIFRS第9号のPIRから分離することを決定した。IASBは、他のセクション(減損及びヘッジ会計の要求事項)における要求事項が実務においてどのように機能しているかに関するより多くの情報が利用可能になった際に、当該セクションのPIRを着手する予定である。
 

アウトリーチからのフィードバックを議論した後、IASBは2021年7月に、以下の点に関する特定の側面をさらに検討することを決定した。

  • 金融資産の事業モデルについての評価
  • 金融資産の契約上のキャッシュ・フロー特性についての評価
  • 資本性金融商品について公正価値の変動をその他の包括利益に表示する選択肢
  • 純損益を通じて公正価値で測定することを指定した金融負債
  • 契約上のキャッシュ・フローの条件変更
  • IFRS第9号への移行


さらに、IFRS解釈指針委員会は償却原価及び実効金利法についての質問を受領し、当該質問がより広範な文脈で関連性があるため、委員会はPIRに含めることを提案した。


その結果、RFIは9つのセクションで構成されている。

 

分類及び測定―全般

IFRS第9号における分類及び測定の要求事項が、IASBが意図していたように機能しているかどうか及び利用者が理解するために有用な情報を導いているかどうかについての、全般的な評価を質問している。このセクションで特に焦点を当てているのは、金融商品に関する情報を作成、監査、強制または利用する際の継続的なコスト及び便益を含むIFRS第9号により導入された分類及び測定の変更の影響である。

金融資産の事業モデルについての評価

事業モデルの評価が、IASBが意図していたように機能しているかどうか、首尾一貫して適用することが可能かどうか、及び予想していない影響が生じていないかどうかを質問している。このセクションで特に焦点を当てているのは、金融資産の分類変更である。

契約上のキャッシュ・フロー特性

キャッシュ・フロー特性の評価が、IASBが意図していたように機能しているかどうか、首尾一貫して適用することが可能かどうか、及び予想していない影響が生じていないかどうかを質問している。このセクションで特に焦点を当てているのは、サステナビリティ連動の特性を有する金融資産及び契約上リンクしている商品である。

資本性金融商品及びその他の包括利益

資本性金融商品について公正価値の変動をその他の包括利益に表示する選択肢が、IASBが意図していたように機能しているかどうか、どの資本性金融商品が当該選択肢を使用することを選択しているか、及び予想していない影響が生じていないかどうかを質問している。このセクションで特に焦点を当てているのは、利得及び損失のリサイクリングである。

金融負債及び自己の信用

自己の信用の影響をその他の包括利益に表示するIFRS第9号の要求事項が、IASBが意図していたように機能しているかどうか、金融負債に関してIASBが検討すべき他の事項があるかどうかを質問している。

契約上のキャッシュ・フローの条件変更

契約上のキャッシュ・フローの条件変更の要求事項が、IASBが意図していたように機能しているかどうか、首尾一貫して適用することが可能かどうかを質問している。

償却原価及び実効金利法

実効金利法が、IASBが意図していたように機能しているかどうか、首尾一貫して適用することが可能かどうかを質問している。このセクションで特に焦点を当てているのは、条件付きの金利及び将来キャッシュ・フローの見積りである。

経過措置

経過措置が、IASBが意図していたように機能したかどうか、経過措置を適用することの結果として予想していない影響または困難があったかどうか、及びそれらをどのように克服したかを質問している。

他の事項

IFRS第9号の分類及び測定の要求事項のPIRの一環としてIASBが検討すべき他の事項があるかどうか、及びIFRS第9号を開発するIASBのアプローチから学んだレッスンがあるかどうかを質問している。

 

RFIに対するコメントは、2022年1月28日まで募集される。情報要請は、IASBのWebサイト(英語)から入手可能であり、対応するプレスリリースの日本語訳は、ASBJのWebサイトから入手可能である。

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