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IASB、ピラー2法人所得税に関連する繰延税金資産及び負債に関する要求事項に対する一時的な例外を提供するIAS第12号の修正案を公表
IAS Plus 2023.01.09
IASBは、法人所得税の会計処理についてのOECDのピラー2モデルルールの差し迫った適用の潜在的な影響に関する利害関係者の懸念に対応する公開草案「国際税務改革-ピラー2モデルルール」(IAS第12号の修正案)を公表した。コメントは、2023年3月10日まで募集されている。
国際会計基準審議会(IASB)は、法人所得税の会計処理についてのOECDのピラー2モデルルールの差し迫った適用の潜在的な影響に関する利害関係者の懸念に対応する公開草案「国際税務改革-ピラー2モデルルール」(IAS第12号の修正案)を公表した。コメントは、2023年3月10日まで募集されている。
背景
2022年3月OECDは、経済のデジタル化から生じる税の課題に対処するためのプロジェクトの第2の「柱」として合意された15%のグローバル・ミニマム課税についてテクニカル・ガイダンス を公表した。このガイダンスは、2021年12月に合意し公表されたグローバル税源侵食防止(GloBE)ルールの適用および運用について詳しく説明している。これは、収益が7億5,000万ユーロを超える多国籍企業(MNE)が、事業を行う各法域で発生する所得に対して少なくとも15%の税金を支払うことを保証するための調整されたシステムを構築する。
IASBは、法域における法人所得税の会計処理についての当該ルールの差し迫った適用の潜在的な影響に関する利害関係者の懸念に対応することを決定した。特に、IASBは、以下の状況は非常に複雑であることに留意した。
- 法域が、低税率の状況とみなされることを回避するために法定税率を変更する可能性がある。
- 会社がより高い法定税率の法域にビジネスを移転することを決定するかもしれない。
- 会社がビジネスを行う法域は低税率の状況と一般的にはみなされないが、15%未満に法定税率が引き下げられるかもしれない税務上の優遇措置を受けるビジネスを会社が行うかもしれない。
これらのすべて及びさらなる検討が、法域がOECDのルールを異なるスピードで異なる時点で適用するという事実のために非常に変動する状況における、繰延税金の最も複雑な計算に伴うこととなる。多くの未知の変数が伴っているため、IASBは、グローバルな税務システムが確定し、再構築され、IASBが状況を十分に評価し信頼性のある解決策を提供することができるまで、免除を提案することを決定した。
変更案
公開草案IASB/ED/2023/1「国際税務改革-ピラー2モデルルール」(IAS第12号の修正案)における修正案は、以下のとおりである。
- IASBは、OECDピラー2法人所得税に関連する繰延税金資産及び負債に関する情報を、企業が認識せず開示しないという、IAS第12号における要求事項に対する例外を提供することを提案する。
- IASBは、ピラー2の法制が制定または実質的に制定されたが、まだ施行されていない期間において、企業が以下を開示することを提案する。
・企業が営業を行っている法域において制定または実質的に制定された法制に関する情報。
・企業の平均実際負担税率が15%未満である法。
・15%の閾値が適用されないがピラー2法人所得税を支払う、または15%の閾値が適用されるがピラー2法人所得税を支払わないことを企業が見込んでいる法域があるかどうか。 - IASBは、企業が本修正の公表後ただちに本例外をIAS第8号に従って遡及的に適用し、2023年1月1日以後開始する事業年度に開示要求を適用することを提案する。
本修正案についてのコメントは、2023年3月10日まで募集されている(DPOCは、この問題の緊急性の観点からコメント期間を短縮することに同意した。)。
さらなる情報
- IASBのプレス・リリースの日本語訳 (ASBJのWebサイト)
- 公開草案へのアクセス (PDF:204.36KB —IASBのWebサイトー英語)
- iGAAP in Focus 財務報告「IASB、OECDの第2の柱モデルルールから生じる繰延税金の会計処理について一時的な例外を導入するIAS第12号の修正を提案する」 (デロイト トーマツのWebサイト)
- IAS Plusのプロジェクト・ページ IAS第12号 — OECD ピラー2モデルルール(IAS Plus-英語)