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IASBがIFRS第15号の適用後レビューに関する情報要請を公表
IAS Plus 2023.06.29
IASBは、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の要求事項が財務諸表の利用者にとって有用な情報を提供しているかどうか等を識別するために利害関係者からのコメントを求める、情報要請(RFI)を公表した。コメントは2023年10月27日まで募集している。
国際会計基準審議会 (IASB) は、IFRS第15号 「顧客との契約から生じる収益」 の要求事項が財務諸表の利用者にとって有用な情報を提供しているかどうか、適用が困難であり、基準の一貫した適用を妨げる可能性のある要求事項があるかどうか、また基準の適用やエンフォースメントに関連して想定外のコストが発生していないかを識別するため、利害関係者にコメントを求める情報要請 (RFI) を公表した。RFIに対するコメントは2023年10月27日まで募集している。
IFRS第15号(IAS Plus-英語※ 1)には、IFRSにより報告を行う企業が収益を認識する方法と時期が明記されており、また、そのような企業に対して、財務諸表の利用者により有用な、関連性のある開示を提供することを要求している。この基準は、すべての顧客との契約に適用される単一の原則ベースの5ステップ・モデルを提供する。本基準の適用後レビューにおいて、IASBは以下を評価したいと考えている。
- 新しい要求事項のコアとなる目的またはコア原則の明確性と適切性について根本的な問題 (致命的な欠陥) があるかどうか。
- 新しい要求事項の適用により生じる情報の財務諸表利用者への便益が予想より著しく少ないかどうか。
- 新しい要求事項を適用し、その適用の監査および適用をエンフォースするためのコストが予想よりも著しく多いかどうか。
現在公表されているRFIの質問は、IFRS第15号、IFRS第15号の特定の領域、他の基準との相互関係、米国会計基準とのコンバージェンス、利害関係者が識別した可能性のある他の事項に関する利害関係者の全体的な見解と経験に関するものである。
その結果、RFIは次の質問で構成されている。
全体的な評価 |
コア原則とそれを裏付ける5つのステップの収益認識モデルが、企業の顧客との契約から生じる収益について有用な情報をもたらす結果となる、収益の会計上の決定に明確かつ適切な基礎を提供するかどうか、さらなるガイダンスが必要かどうか、基準の認識されているコストと便益は何かを質問している。 |
特定の領域:履行義務 |
IFRS第15号は、契約における履行義務を識別するための明確かつ十分な基礎を提供しているか、あるいは要求事項が不明確または一貫しない方法で適用されているために、基礎となる経済的実質を反映しない結果をもたらしたり、多額の継続的コストをもたらすのかを質問している。 |
特定の領域:取引価格 |
IFRS第15号は、特に顧客に支払われる対価の会計処理に関して、契約における取引価格を決定するための明確かつ十分な基礎を提供しているかを質問している。 |
特定の領域:収益を認識する時点 |
IFRS第15号は、収益をいつ認識すべきかを決定するための明確かつ十分な基礎を提供しているか、あるいは、特に収益を一定期間にわたって認識するための要件に関して、要求事項が不明確であるか、または一貫しない方法で適用されているかを質問している。 |
特定の領域:本人なのか代理人なのか |
IFRS第15号は、企業が本人なのか代理人なのかを判断するための明確かつ十分な基礎を提供しているか、または、特に支配の概念および関連する指標に関して、要求事項が不明確であるか、または一貫しない方法で適用されているかを質問している。 |
特定の領域:ライセンス供与 |
IFRS第15号がライセンスを含む契約を会計処理するための明確かつ十分な基礎を提供しているか、または、特に財またはサービスを提供する義務または更新を含む、販売またはサービスの提供に類似するライセンスに関して、要求事項が不明確であるか、または一貫しない方法で適用されているかを質問している。 |
特定の領域:開示 |
IFRS第15号の開示の要求事項は、企業が財務諸表の利用者に有用な情報を提供することにつながるか、多額の継続的コストにつながるか、開示される収益の情報の質に著しい不統一をもたらす開示の要求事項があるかを質問している。 |
特定の領域:経過措置 |
経過措置の要求事項が意図したとおりに機能しているか、企業が修正遡及方式または実務上の便法を適用したかどうか、および経過措置の要求事項が作成者のコスト削減と利用者への有用な情報の提供の間の適切なバランスを達成したかどうかを質問している。 |
他の規準との相互関係 |
IFRS第15号の要求事項を他のIFRS、特にIFRS第3号、IFRS第9号、IFRS第10号およびIFRS第16号の要求事項とともに適用する方法が明確かどうかを質問している。 |
米国会計基準とのコンバージェンス |
IFRS第15号と米国会計基準の間の現在のコンバージェンスのレベルを維持することが、利害関係者にとってどの程度重要であると考えているかを質問している。 |
その他の事項 |
IFRS第15号の要求事項のPIRの一部として、IASBが検討すべき他の事項があるかどうかを質問している。 |
RFIに対するコメントは2023年10月27日まで募集される。情報要請 (IFRS財団のWebサイト-英語※ 2)およびこれに対応するプレスリリースは、IFRS財団のwebサイト(英語※ 3)から入手することができる。さらに、DeloitteのニュースレターiGAAP in Focus(英語※ 4)も参照。
※1》‘IFRS 15 — Revenue from Contracts with Customers’(IAS Plus-英語)
※2》‘Post-implementation Review IFRS 15 Revenue from Contracts with Customers’(PDF:186.29KB- IFRS財団のWebサイト-英語)
※3》‘IASB seeks input for review of Accounting Standard on revenue’( IFRS財団のWebサイト-英語)
※4》‘iGAAP in Focus — Financial reporting: IASB seeks views on the post-implementation review of IFRS 15’( IAS Plus-英語)