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ヘルスケアの未来を可視化する

FA Innovative Senses 第12回

デロイト トーマツでは、新たな発想とともに、事業開発・社会実装を事業パートナーと共に行うイニシアチブに取り組んでいます。その取り組みの一例として、第一三共様とともに、多業種連携の加速を見据えた、ヘルスケアの未来の可視化への挑戦を紹介します。

ヘルスケアの未来を可視化する ~人間が想像できることは、人間が必ず実現できる~

強い課題認識と未来への想い

第一三共グループは「世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献する」をパーパスに掲げています。100年以上に亘って受け継がれてきた「サイエンス&テクノロジー」を源泉として、数多くの医薬品を世に送り出してきました。

医薬品の研究開発の進歩に伴い、現代においては患者さんにとって希望のある製品が増えています。

その一方、患者さんの周辺症状や生活の質(QOL)における悩みは未だ多く、直面する疲労感、不快感などの身体的な課題、不安、ストレスなどの心理的な課題、社会参画、介護するご家族・介護者の悩みなどの経済的・社会的な課題は、まだまだ解決余地が大きいものであると考えられています。

これらの課題を解決し、少しでも患者さんのWell-Beingに貢献するためには、予防医療や遠隔医療等を含む「Healthcare as a Service(HaaS)※1 」の実現が求められます。

そこで第一三共グループでは、HaaS実現の一環として、トータルケアエコシステム※2/トータルケアプラットフォーム※3を実現構築し、これらの課題解決に取り組むことを掲げており、2022年よりデロイト トーマツも本取り組みに協働しています。

社会実装に求められる「多業種連携」

言わずもがな、現代社会が直面する多くの課題は肥大化・複雑化をしています。

さらに、デジタル・データの普及・流通により、業界等の既存の枠組みが曖昧化してきており、業界内での「競争」から、顧客を中心としたエコシステムとしての「共創」が求められる時代へと変わりつつあります。

上述のヘルスケア領域においても、従前の業界の枠組みを超えて、IT企業・食品企業等含む多種多様な組織が課題に向き合い、難しい舵取りを求められていますが、個別組織の力だけで解決できることは限られています。

デロイト トーマツでは、このような機運を変えていくために、様々なパートナー企業や団体と共に自社のリソースを最大限活用し、「社会全体での多業種連携」を実現することが、社会課題の解決をもたらし、ひいては自社の価値を高めるものであると考えています。

「社会全体での多業種連携」の実現に求められることは多数ありますが、デロイト トーマツではその一丁目一番地が「実現したい未来の可視化」であるものと考えました。

実現したい未来の「可視化」

「患者さん、家族、社会を笑顔に」

このシンプルながらも、大切なことから目を背けない真摯な表現が、本件のキーワードでした。

この目指す姿を、いかに訴求力と求心力を持つビジョンとして「可視化」できるか、が大きなチャレンジでした。チャレンジにあたり、第一三共の皆様と我々は、実現したい未来の解像度を高めるべく、密な対話型ワークショップを積み重ねました。ワークショップを通して、組織が掲げるパーパスと、HaaSが目指すビジョンの相関性を繰り返し探求。抽象度の高い哲学や概念と、より具体的な提供価値・サービスが利用されるシーンや時間軸を相互に行き来し、生活者のマインドセットとHaaSが交差するポイントを丁寧に紡ぎだすことに努めました。

ワークショップにおいては、現実・事実の積み上げ的な思考に、意志や想いを掛け合わせる等、左脳的思考と右脳的思考の双方が求められましたが、多様なメンバーによる対話が奏功しました。短期間でこれらに集中して取り組み、最終的にはデータ活用の先に、人々が笑顔になる未来の暮らしをつなぎ合わせ、一つのコミュニティーとして描き出し、イラストに昇華することができました。

出所:第一三共株式会社

出所:第一三共株式会社

~人間が想像できることは、人間が必ず実現できる~

SFの父といわれるジュール・ヴェルヌは、そう語ったといわれていますが、まさに、実現したい未来を想像し、それらを「可視化」することが、仲間とともに未来を実現するためには必要なアクションだと考えています。

 

実現したい未来への道のりは決して容易いものではありません。

しかし、当社は想像した未来に向けて仲間をさらに集めながら、今後も更なる協働を図ることで、社会課題の解決に貢献していきたいと考えています。

※1 多様なデータや先進技術を活用し、一人ひとりに寄り添った最適な健康・医療サービスを提供すること

※2 患者さんや生活者一人ひとりの困りごとを解決しWell-Beingを実現することを目的として、健康・医療領域の企業・団体やデータプロバイダー・テクノロジー企業等が協働し、健康促進~予防~治療~予後ケアに亘るトータルケアを創出し、提供するエコシステム

※3 トータルケアエコシステムにおいて、個人の健康領域と医療領域のデータを共通IDで連携し、データ利活用を可能とするIT基盤

 

※本文中の意見や見解に関わる部分は私見であることをお断りする。

執筆者

デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社
ブランディングアドバイザリー
マネジャー 三宅 洋基

(2024.8.20)
※上記の社名・役職・内容等は、掲載日時点のものとなります。

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