事例紹介

取組事例紹介 沖縄県「マリンタウンMICEエリア」プロジェクト

不動産開発事業や官民連携事業に係るアドバイザリーサービスより、取組事例を紹介します。

不動産チームでは、インフラ・PPPアドバイザリーチームと連携し“都市戦略アドバイザリーサービス”として官民連携事業や面的な不動産開発事業に係るアドバイザリーサービスを提供しています。サービス提供実績より、デロイト トーマツが企画立案段階から携わっている大型MICE施設を中心とした観光・交流拠点を目指す、「マリンタウンMICEエリア」プロジェクト(沖縄県)を紹介します。

沖縄県内のMICE開催状況と課題

沖縄県の主な産業は観光ですが、近年は国内外を問わずMICEを目的とした来訪や企業の参入も増加しています。県内では、離島を含め、MICE専用施設のほか、ホテルや文化施設等(ユニークベニュー)の多様な場所でMICEが開催されていますが、2019年度におけるMICE開催件数のうち100名未満の規模が全体の75%を占め、1000名以上のイベントはわずか4%と、インバウンド需要を満たしやすく、外国資本も呼び込みやすいロケーションでありながら、県内の既存MICE施設における機能・規模不足により、必ずしも利用者のニーズに対応できない機会損失が生じている状況です。また、MICE機会向上とともに、地元経済への貢献も課題となっています。

マリンタウンMICEエリアプロジェクトの発足

2000年の九州・沖縄サミットを契機に訪日外国人のMICE利用が増加したこともあり、沖縄県は2017年に「MICE振興戦略」を策定し、MICE 振興の方向性や基本戦略等を定めました。一時、計画の停滞時期もありましたが、2019年に、観光開発としては発展途上の沖縄本島の東海岸側を開発エリアとして、与那原町・西原町とも連携し、大型MICE施設を中心としたまちづくり「マリンタウンMICEエリア」の建設プロジェクトが発足しました。

沖縄には知名度の高い観光インフラがあるため、ビジネスツーリズムの拠点となるだけではなく、周辺エリアに観光需要を拡散し、MICEを起爆剤として、地元経済・産業の活性化・連携を図ることも本プロジェクトの狙いです。

マリンタウンMICEエリアの開発に向けた3つの方針

マリンタウンMICEエリアでは下記の3つの方針を掲げ、計画を推進していく予定です。
 

1) MICEを"点"ではなく"面"で捉えていく

MICE施設の建設に留まらず、エリア周辺のホテルやレストラン、レジャースポットなどと連動させる広域での開発を目指しています。"面"で捉えることで、ビーチ・マリーナでのパーティー、自然豊かな屋外でのイベント開催等、リゾート環境を活用したユニークなMICEが可能となります。まち全体が活性化する、地域経済の好循環も期待される経済的に持続可能なまちづくりの手法を探っていきます。
 

2) デジタル技術を活用し、エリアそのものの価値を高めていく

エリアでのMICE受け入れの促進を図ることを目的とし、マリンタウンMICEエリア全体の利便性を向上させるため、デジタル技術を活用した地域形成を行います。スマートシティとして多様な技術が実装された地域形成を行うことで、ビジネスツアー目的地としての特徴を付加することを目指すとともに、スマートシティとしての認知を高めることで、デジタル技術とMICEが連動した都市としてブランド価値向上を図ります。
 

3) 地元の産業と連携してオープンイノベーションを促す

スマートシティの開発を進める上では、地域に利益を還元する仕組みづくりも不可欠のため、大型MICE施設を基点にしつつ、地域経済の活性化・連携にも注力し、新産業の創出を目指します。面的整備の強みを生かし地域へもMICEを浸透させていくことで、新たな事業やサービスの創出が期待され、現に、遠隔医療サービスの導入等、MICEの枠を超えた事業提案も行われています。

事業の実現に向けて:デロイト トーマツの都市戦略アドバイザリーサービス

デロイト トーマツでは、2019年より沖縄県に対しアドバイザリーサービスを提供しています。

本プロジェクトは、始動直後にコロナ禍が直撃しましたが、この危機をきっかけとして新たなMICE施設のあり方を模索しつつ事業化に向けた検討を進めています。2022年8月には「沖縄県マリンタウンMICEエリア形成事業基本計画」が公表され、事業化に向けて着実に歩みを進めています。

マリンタウンMICEエリアはコロナ禍後に誕生する初のMICE施設となるため、本MICEで生まれたモデルが今後のMICEビジネスを牽引するものと考えています。本計画ではニューノーマルに即した地域運営を目指すものとして、デジタルを取り入れたMICE施設のあり方、官民連携による面的開発によるMICE受入れ環境の整備、SDGsへの取組みなど、新たな方向性を示しています。

デロイト トーマツでは、新たなMICE像および新時代のスマートシティ像の実現、地元経済の活性化に向け、今後も都市戦略アドバイザリーサービスを提供していきます。

執筆者

デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社
インフラ・PPPアドバイザリー
シニアヴァイスプレジデント 後藤 佑介

不動産アドバイザリー
ヴァイスプレジデント 石井 理紗
シニアアナリスト 赤星 夏澄

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