地方銀行との連携によるセール&リースバックを活用した不動産の資金調達 ブックマークが追加されました
事例紹介
地方銀行との連携によるセール&リースバックを活用した不動産の資金調達
都心の大規模オフィスだけでなく、地方においてもセール&リースバックによる資金調達が注目されています
セール&リースバックスキームによるオフバランス(流動化)取引は、当初は有利子負債の圧縮を目的として発達しました。現在も有利子負債の圧縮は主な目的のひとつですが、最近はCRE戦略の一環として、本業(運営)への経営資源の集中や企業の成長資金の調達を目的とするケースも増えています。また従来はメガバンクが取引先と検討することが多かったですが、最近は地方銀行の取引先においても資金調達の手段として注目されています。
目次
- セール&リースバックスキームによるオフバランス(流動化)取引
- 物件所有者にとってのメリット
- 取引先金融機関(地方銀行)にとってのメリット
- デロイト トーマツにおけるセール&リースバック(オフバランス)取引に関するサービス
セール&リースバックスキームによるオフバランス(流動化)取引
セール&リースバックスキームは、日本においてはバブル崩壊による財務の悪化が大きな問題となっていた1990年代後半から主に有利子負債の圧縮を目的とした資金調達手段として発達しました。単純売却では売却先に物件のコントロール権が移行しますが、セール&リースバック方式であれば物件のコントロール権を確保しつつ資金調達・有利子負債の圧縮を実行できるため、取引先の本社ビルなどを対象としてメガバンク等も積極的に活用してきました。
その後、不動産マーケットはリーマンショック、J-REITや私募REITの発展、アベノミクスなどの影響を受けてきましたが、新型コロナウイルス感染症の流行もセール&リースバックの取引に影響を与えています。新型コロナウイルス感染症の流行後、企業環境の不透明性が増したことから手元資金を厚くする目的で大手広告代理店や旅行会社、音楽会社などが次々に東京の本社ビルをセール&リースバックすることにより資金調達を実施したことは記憶に新しいところです。
一方、地方においても、アフターコロナを見据えてセール&リースバックを検討する企業が増えてきており、私たちデロイト トーマツにも地方銀行からサポートのご相談をいただくケースが増加しています。
その背景にある物件所有者、またその取引先金融機関である地方銀行にとってのメリットを見てみましょう。
物件所有者にとってのメリット
物件所有者にとってのメリットはいくつかありますが、不動産の売却資金を有利子負債に充当することによる財務面でのメリットだけでなく、ホテルや物流施設、ヘルスケア施設(老人ホームや病院等)などにおいては所有と運営を切り離して運営への特化(経営資源の集中)を目的とするケースが増えています。
またアフターコロナの特徴として、地方においても好調な物流系の企業においては、業容拡大を希望する一方、コーポレートローンによる調達に限界がある場合に新規プロジェクトへの資金調達手段として既存の保有物件をセール&リースバックすることを検討しているケースもあります。
取引先金融機関(地方銀行)にとってのメリット
セール&リースバック取引は取引先金融機関にもメリットがあり、また金融機関との調整が不可欠なことから、取引先金融機関がスキームを検討し、取引先に持ち掛けるケースが一般的です。
一方、スキーム組成にはさまざまな論点があり、不動産実務に加え、法務・財務・会計・税務の各方面からの検証、そして企業戦略面からの取り組み意義の整理が不可欠となっています。
デロイト トーマツにおけるセール&リースバック(オフバランス)取引に関するサービス
セール&リースバック取引を進めるにあたっては、不動産の実務経験に加え、スキームが適格に成立するための法務面、会計面、税務面での検証が必要となってきます。
そしてより重要となるのは、セール&リースバック取引を実行する意義についてしっかり整理することです。限られた経営資源を活用する以上、今後の企業戦略、財務戦略面からの分析を踏まえ、その意義を整理することが自社だけでなくステークホルダーへの説明上も重要となってきます。また、ステークホルダーとの調整という点では既存債権者との調整も必須であり、返済後の借入金の事業計画・返済計画をしっかり策定することも重要です。
デロイト トーマツは企業戦略・財務戦略の立案から取引後の事業計画、借入金の返済計画策定の支援、法務・会計・税務分析、不動産取引成立までの取引実務面まで、中立的な立場で一貫して支援します。