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金融機関の引当金計上に対する考え方
コロナ禍の影響による変化の検証
転載:月刊金融ジャーナル 2021.05
コロナ禍が深まった2020年3月以降、新型コロナウイルス感染症に対応した貸倒引当金の設定とともにフォワードルッキングな貸倒引当金の見積りを導入する機運が高まっています。
日本の会計基準は、予想損失を見積もることを要求する基準となっていますが、多くの金融機関において算定期間の長期化や直近期の実績をより反映するなどの調整は行っているものの、基本的に過去の貸倒実績のみに基づいて予想損失率を決定して一般貸倒引当金を計算することが実務慣行となってきました。しかし、コロナ禍が深まった2020年3月以降、これまでのように過去実績のみに基づいて予想損失率を算定するのではなく、モデル等を導入することにより、自金融機関としての今後の経済の見通し等を反映させた貸倒引当金の見積り、所謂フォワードルッキングな貸倒引当金の見積りを導入する機運が高まっています。こうした金融機関を取り巻く環境を踏まえ、フォワードルッキングな貸倒引当金の見積り及び新型コロナウイルス感染症に対応した貸倒引当金の見積りについて考察します。
- 背景
- フォワードルッキングな貸倒引当金の見積り
- 金融機関のスタンス
- モデルの概要
- フォワードルッキングモデルの取り扱い
- 新型コロナウィルス感染症対応 貸倒引当金の見積りの現時点の実務
- 開示の充実
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※本稿の意見に関する部分は筆者の私見であり、所属する法人の公式見解ではありません。
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