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融資事務手続きのデジタルトランスフォーメーション

マネージドサービス:今後の道筋

法人融資残高は2009年から2015年にかけて2桁成長を見せてきましたが、ここ数年、成長率が鈍化しています。その主な理由は競争環境の変化であり、銀行は後塵を拝するリスクを避けるために変化に適応せざるを得ない状況となっています。

現状の法人融資事務の課題:変革について

新たなテクノロジーの登場にもかかわらず、融資のライフサイクルには依然として手作業のプロセスが残っている
今もなお、情報が集約されていないシステムや手作業の書類作成が原因で、融資担当者の時間の30~40%が自動化可能な周辺業務に費やされています。非効率な手続きや手つかずの改善策(デジタル化を含む)が、手作業の割合を高めています。与信審査、融資引受、融資データ入力(帳簿記入)、ポートフォリオ管理プロセスにおける重複事務に対処する必要があります。


時代遅れのテクノロジーが、次世代ソリューションを活用したアジャイル(俊敏)な進化の妨げになっている
複雑で時代遅れのレガシーITシステムを使用している銀行が多く、それがコスト増加につながっているだけではなく、デジタルテクノロジーの進歩を基盤とした規模拡大と成長の妨げとなっていることが多々あります。イノベーティブなテクノロジーを活用できないことが、顧客体験の差別化を促進する能力の深刻な妨げになりかねません。


旧式の融資引受管理システムが市場動向に合わせたアジャイルな動きを鈍くする
従来の銀行の融資事務手続は、融資実行に際し、多くの手作業による書類作成を義務付けており、融資実行までに相応の時間がかかります。旧式の信用リスクモデルも、顧客の信用度評価を困難にしています。この2つはいずれも市場の変化に対応し、競争力を保つ妨げとなっており、それらがフィンテックの融資ポートフォリオの急成長に反映されています。


データから限定的なインサイト(洞察)しか得られず、フロントオフィスのパフォーマンス向上につながらない
融資または支払ポートフォリオからインサイトを得るための綿密なデータ分析が不足していることにより、ほとんどの銀行が顧客を総合的に理解できずにいます。実際、取引銀行が自分のニーズや嗜好を的確に理解していると考えている顧客は37%にすぎません。データへのアクセスが限定的であることが不十分な融資実績管理につながり、さらに、改善すべきである融資業務効率が劣っている分野の特定を困難にしています。


近年のフィンテック企業の台頭により、銀行は積極的な戦略の策定を迫られている
フィンテック企業はより優れた顧客体験と低コストで迅速な意思決定を約束し、デジタル化を通した銀行業務の変革に注力しています。法人融資業務もこのディスラプション(創造的破壊)の例外ではありません。フィンテック企業はデータとテクノロジーを駆使し、差別化された商品やサービスにより法人融資業務の従来のビジネスモデルを打破しようとしています。


顧客がイノベーティブな体験を求めて取引銀行を変える傾向がこれまで以上に高まっている
法人顧客は個人顧客として受けているサービスと同等のサービスを期待するようになってきています。他行、他社の方が期待に応えてくれるならば、進んでそちらに乗り換えることが多いのです。銀行は顧客ニーズの変化に後れを取らないようにし、融資ニーズの発掘、意思決定、クロージングをより迅速に行う手段を導入すると共に、スムーズな顧客体験を提供する必要があります。

「融資事務手続きのデジタルトランスフォーメーション」(PDF)
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