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デジタルトランスフォーメーションを加速させるコアバンキングプラットフォームの変革
銀行が取り得る近代化の選択肢
勘定系プラットフォームの近代化は、二者択一(何もしない、または全てリプレイス)ではなくなりました。大きく進化したテクノロジーを活用した最適なアプローチを見極めることが求められます。
近代化に向けた変革のジレンマ
金融機関は、既存プラットフォームの近代化の必要性を認識しながらも、莫大な投資・時間・労力を要することから、着手できずにいました。また、多くの既存システムはいまなお、勘定系業務を実行する機能を十分に有しており、これまで手を加えない選択してきたのは当然と言えるでしょう。
ただし、現在多くの銀行は、メンテナンスやサポート契約の期限切れ、文書化されていない膨大なカスタマイゼーション、COBOLやメインフレームなどの旧来テクノロジーのスキルを持つ要員の減少(スキル確保のための費用肥大化)といった問題に直面しており、既存プラットフォームの近代化に取り組まずにいることが許される状況ではありません。
あらゆるものを犠牲にして取り組む必要はありません
多様なソリューションをサポートする技術が大きく進歩したため、勘定系プラットフォームの近代化は、二者択一(何もしない、または全てリプレイス)ではなくなりました。現在、新興ベンダーは、銀行全体への影響を最小限に抑えうる、次世代のクラウド、かつコンフィグレーションベースのソリューションを提供しています。このように幅広い技術・ソリューションが登場したことにより、銀行は今や、コアシステムを改善するための選択肢を複数持ち得ています。最適な選択肢を判断するには、既存プラットフォームの持続性、リスク選好度、商品やサービス革新の必要性、変革の緊急度、データ戦略(セキュリティ、プライバシー、コントロール、ビジネス継続性を中心とした潜在的影響およびリスクマネジメント、インフラ、データを収益化する能力などを含む)の複雑さなどを考慮し、自行のアプローチを判断する必要があります。銀行が検討すべき近代化の選択肢を5つ概説します。
最適な選択肢は銀行により異なります
既存プラットフォームをリプレイス、増強、リファクタ、リプラットフォームするかどうかの判断は非常に複雑です。各行の状況はそれぞれ異なるため、画一的な万能アプローチに期待することは賢明ではありません。現在のインフラストラクチャ、市場動向、顧客ニーズ、および自行のケイパビリティの詳細な分析が必要です。デロイトのアプローチには、意思決定を導き出す重要な判断ポイントが定義されています(図2)。これら判断ポイントでは、リスク、ビジネス貢献、そして現在のケイパビリティのバランスを取った上で、どの選択肢が自行にとって最適であるかを判断できるようサポートしています。
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