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2021年3月期及び2022年3月期における貸倒引当金の計上に関する開示の現状と課題

「季刊 事業再生と債権管理」179号-金融財政事情研究会

金融庁は2019年(令和元年)12月に金融検査マニュアルを廃止するとともに、ディスカッションペーパー「検査マニュアル廃止後の融資に関する検査・監督の考え方と進め方」(以下「融資DP」という)を公表した。

はじめに

金融庁は2019年(令和元年)12月に金融検査マニュアルを廃止するとともに、ディスカッションペーパー「検査マニュアル廃止後の融資に関する検査・監督の考え方と進め方」(以下「融資DP」という)を公表した。その時点では金融円滑化法に代表される継続的な資金繰り支援の要請を受けて金融緩和が継続していたことに伴い債務者の有利子負債が増加し、信用リスクの潜在的な増大が懸念されていた。その後の新型コロナウイルス感染症の影響によっても資金繰りが悪化し、いわゆる「ゼロゼロ融資」などで有利子負債を増加させている債務者も増加している。この点、貸倒引当金の算定は過去の一定期間の実績率に基づいて行われているものの、過去の状況と異なる状況が想定されている場合には、過去の実績率等を修正(後述する実務指針4 号における表現にのっとって「必要な修正」と呼ばれることも多い)して予想損失率を決定することになっており、さまざまな工夫(例えば、貸倒実績率算定期間の過去への延長)や新型コロナウイルス感染症の影響による信用リスクの増大に対応して特定業種等に対して引当を積み増すなどの、いわゆる「コロナ引当」を行い貸倒引当金の取り崩しを回避あるいは積み増しを行っている銀行等は増加している。「過去の貸倒実績率等に基づいて予想損失額を算定する現行の会計基準が、将来予測を貸倒引当金に反映させることを妨げている」といった意見があるが、現行の会計基準は将来予測を反映することを求めており、また、現状の引当の状況とは異なっている印象がある。・・・

 

*記事の全文は「2021年3月期及び2022年3月期における貸倒引当金の計上に関する開示の現状と課題」(PDF)をダウンロードください。

 

※本記事は、一般社団法人金融財政事情研究会および銀行研修社の許可を得て当法人のウェブサイトに掲載したものにつき、無断転載を禁じます。

【寄稿者】

有限責任監査法人トーマツ
パートナー 金融事業ユニットリーダー 深田 建太郎
シニアマネジャー 堀田 賢一

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