「COSOガイダンス」でサステナビリティ―報告の統合管理を ブックマークが追加されました
ナレッジ
「COSOガイダンス」でサステナビリティ―報告の統合管理を
内部統制のフレームワークを踏まえた新たなガバナンスの枠組み
金融財政事情 2023.8.22
トレッドウェイ委員会支援組織委員会は今年3月、「サステナビリティ―報告に関する効果的な内部統制もガイダンス」を公表した。ICSRは、COSOが公表している「内部統制の統合的フレームワーク」をベースとしており、サステナビリティーに係るガバナンスの枠組みを提供するものである。本稿では、ICSRの概要とポイントを解説するとともに、その活用による効果について考察したい。
サステナビリティ―に係るガバナンスの枠組み
近年、企業のサスティナビリティ―への取り組みに対するステークホルダーの関心が高まっている。企業は、長期的な価値創造を推進するために意思決定を行い、戦略に基づいて活動する。そして、その経過や結果を内外に発信・対話し、新たに意思決定につなげていくことが期待されている。ICSRは、こうした持続可能な価値創造のプロセスを、より確実に実行していくためのガバナンスの枠組みとなるものだ。
ICSRのベースとなっているICIFは、企業が達成すべき目的を「オペレーション」「レポーティング」「コンプライアンス」の3点に分類している。企業の持続可能で長期的な価値創造は、この三つの目的分類と統合的に結び付き、企業の取り組みを明確にする。
ICSRは、ICIFで定義されている五つの構成要素(図表1=PDF)から成り、その構成要素ごとに定められている「原則」と、その原則の「着眼点」を、サステナビリティ―に対して適用する場合の考え方を示している。また、減速と着眼点を実務に落とし込む際の参考となる事例や検討のポイントも「インサイト」として記載している。
企業がICSRを適用する場合、これらの内容を参照し、減速と着眼点を企業の実態や目指す姿に応じて具体的に落とし込み、ガバナンス態勢を構築することになる。これにより、企業の目的の達成を促進し、長期的な価値創造を実現していくことが期待される。・・・
【執筆者】
- 有限責任監査法人トーマツ
マネージングディレクター 梶原 俊哉
公認会計士。金融機関に対するガバナンスや会計に関連するアドバイザリー業務に幅広く従事。 - 有限責任監査法人トーマツ
シニアマネジャー 吉村 拓人
公認会計士。金融機関に対するIFRS導入支援業務やサステナビリティ―関連のアドバイザリー業務に従事。
※本記事は、一般社団法人金融財政事情研究会の許可を得て当法人のウェブサイトに掲載したものにつき、無断転載を禁じます。