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Asia Risk誌主催「Risk Japan 2021 バーチャルカンファレンス」に有限責任監査法人トーマツのプロフェッショナルが登壇

2021年9月13-14日@オンラインセミナー

Asia Risk誌が主催するRisk Japanカンファレンスにて、有限責任監査法人トーマツのプロフェッショナルが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とその後のリスク管理、ESG主導市場活性化、金融機関の新たな存在意義とリスク・アペタイトについて講演およびパネルディスカッションを行いました。

講演報告:COVID-19とその後のリスク管理:現在の立ち位置と今後の方向性

  • コロナから1年後、いま新たなリスクは何か?
  • リスクオフィサーが新たなリスクに対してなすべきこと
  • アフターコロナの定常状態(はあるのか?)

モデレーター:
有限責任監査法人トーマツ マネージングディレクター 勝藤史郎

 

概要

本セッションでは、COVID-19から1年を経て新たに浮上したリスク、特に気候変動やオペレーショナル・レジリエンスについて、またコロナ後の構造変化も踏まえた長期のリスク管理への対応につき2名のパネリストとディスカッションを実施しました。ディスカッションのポイントを以下にまとめます。

  • 新型コロナウイルス感染症拡大はいまだ緊張状態は続いている。そうした中、コロナから1年を経て新たなリスクも浮上している。気候変動リスク、ESG、グローバルな構造変化、IT・サイバーリスク、そしアフガニスタン問題などの地政学リスク。
  • 一方で世の中には、リスクを「脅威」だけではなく「機会」ともとらえる考え方が広がりつつある。COSO(トレッドウェイ委員会支援組織委員会)やTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)によるリスクの定義、デロイトのCOVID-19関連レポートなど。
  • リスクオフィサーとして、2050年までの長期対応となる気候変動対応にいかに取り組むか、特に50年後の世界観をいかに構築、予測していくか。また気候変動対応やESG対応に伴う様々なコストを長期的にどう回収していくか。
  • 金融機関の大規模システム障害が続くことに鑑み、オペレーショナル・レジリエンスをいかに確保していくか。
  • ポストコロナの定常状態は存在するか、存在するとすればどのような世界か。
  • コロナや気候変動のリスクもこれを脅威としてのみならず機会としてもとらえていくことが可能。コロナ後の安定した状態はすぐには期待しにくく、環境変化に合わせた機動的なビジネス変革により不確実性と付き合っていくことが重要。

 

COVID-19とその後のリスク管理:現在の立ち位置と今後の方向性


講演報告:ESG主導市場活性化のためのコラボレーション

  • 使用可能な商品とESG投資の支援方法
  • ESG scoring、気候変動データとこれに基づく投資行動等
  • ESGで活用されている新しいテクノロジー
  • ESG債、SIB等と検証(グリーンウォッシュ)

講演者:
世界銀行グループ 多数国間投資保証機関(MIGA) 駐日代表 林田修一氏
S&PグローバルSustainable1 シニア・ESG・ビジネス・ディベロップメント・マネージャー 眞々部貴之氏
株式会社新生銀行 グループポートフォリオリスクマネジメント 豊島裕樹氏
有限責任監査法人トーマツ マネージングディレクター 森滋彦
 

概要

本セッションでは国際機関、格付機関、銀行、監査法人など様々な立場から、市場が自律的にESGの要素を加味した取り組みをする活性化方策を議論しました。ポイントは以下となります。

  • S&Pを含め、ESG Scoring/格付を実施しており、これらが投資家の銘柄選定の目安となる一方、FTSE RUSSEL、Dow Jonesなど様々な評価機関がESG 評価を公表している。今後は投資家目線で評価基準が収束していく可能性がある。また、欧州のSFDR、タクソノミーの規制を契機に、気候変動データの整備が進んでいる。
  • グリーンボンド原則等は市場参加者中心で整備が進められてきたが、欧州では、EUタクソノミーとの適合などもあり、グリーンボンド基準の厳格化が進んでいる。市場の自律性により、各関係者が合意した基準に基づき、検証制度や開示等により市場が自律的にESGの要素を活性化していく姿が望ましい。
  • ESGは、ステークホルダーの利益・不利益や外部経済・不経済も考慮する必要があり、市場主導のみでは完全に機能しえない要素もある。そのような中で、市場が自律的にESGを推進するためには、関係者が開示を適切に実施し、投資家を中心とした市場が監視していくという枠組みをグローバルに確立する必要がある。その枠組みのなかで、国際組織、国が協力をしていくというイメージであろう。

 

オペレーショナルレジリエンスとオペレーショナルリスクー「何が業務を妨げるのか?」


講演報告:金融機関の新たなパーパス(存在意義)とリスク・アペタイト

 

講演者:
デロイト トーマツ グループ 上級顧問 佐々木清隆

 

概要

本講演では、金融機関のリスクの前提であるビジネスモデル、さらにその前提である金融機関のパーパス(存在意義)がコロナを経て変わってきていること、またそれに応じて金融機関のリスク・アペタイトも変化していることを提示しました。主なポイントは以下です。

  • 環境変化(人口減少、低金利・低収益、デジタル化)に加え、今般のコロナショックで金融機関のビジネスモデルの再構築が必要になっている。新たな生活様式への対応、COVIDに応じたDX加速(=COVIDEX)、従業員、顧客、取引先、等のステークホルダーを含む「人の重視」など。
  • こうした環境変化をリスクとしてのみならず事業機会としてもとらえ、社会課題解決への貢献を意識したビジネスモデル、リスク・アペタイト構築が必要。
  • コロナを経て、金融機関はサスティナビリティやESG課題、特にS(社会)の課題に対応することが重要になった。ESGの優先度もbeforeコロナとwithコロナとで変化した。beforeコロナではG(ガバナンス)が優先、Withコロナでは「人」を重視するS(社会)が最優先かつE(環境)の重要度も高まった。
  • 「社会課題の解決への貢献」が新たな金融機関の「パーパス(存在意義)」である。これには金融仲介による経済回復への貢献と、顧客ニーズにこたえることによる「新しい社会構築への貢献」が含まれる。
  • サステナブルファイナンスとはESGに貢献する金融の役割である。金融の役割とは、ESG課題解決への民間資金による貢献、資金の需要元である企業等プレーヤーによる開示、気候変動などのリスク管理である。
  • 金融規制監督にも変革が必要。「金融処分庁」から「金融育成庁」への変革により、企業経済の持続的成長と国民の富の増大に資する金融機能を育成することを金融監督の「パーパス」とするべき。

 

withコロナにおける金融への期待
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金融規制監督の変化:「金融処分庁」から「金融育成庁」への変化の加速
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イベント概要

タイトル:Risk Japan 2020 バーチャルカンファレンス
開催日:2021年9月13日(月)- 14日(火)
会 場:オンラインセミナー

>>タイムスケジュール詳細はAsia Risk誌のイベント詳細ページからご確認ください。(外部Webサイト)

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