ナレッジ

目の前に広がる機会

投資運用における暗号資産

Performance magazine issue37より

概要

ビットコインが急速に普及する前には、コミュニケーションの目的として、そして情報源として、主にインターネットが利用されていました。インターネットは、ラジオ、新聞、テレビをはじめとする従来の情報源を「情報のインターネット(Internet of Information)」として集約するため、世界中で情報を瞬時に交換・共有することが可能になります。ビットコインはこの原理を踏襲するものです。決済に数日を要し高い手数料が付随する海外向けの銀行送金とは異なり、ビットコインはインターネット上で、ほぼ瞬時に管理可能なコストで価値を交換する可能性を提供するものであり、「価値のインターネット(Internet of Value)」の時代の到来を予感させるものと言えます。

ビットコインの枠組みにおいては、銀行やその他の金融サービス・プロバイダーに仲介機能を依存する代わりに、世界中に張り巡らされたコンピューターのネットワークを利用することによって、過去の全ての取引を対象とする分散型台帳と呼ばれる共通のログが構築されます。この台帳は公にアクセスすることが可能であり、分散型の仕組みを採用するため、デジタル通貨は外部の第三者や中央当局から完全に独立した存在となっています。

 

要点

  •  分散型台帳技術(DLT)の分野における暗号資産や暗号サービスは、新たな事業領域を開拓して新規顧客を獲得する多様な機会を提供します。暗号資産にはさまざまな種類が存在し、決済ツール(ペイメント・トークン)として、ノンファンジブル・トークン(NFT)による芸術作品の証券化としてなど、幅広い用途で利用することが可能です。同時に、DLTは証券決済機関などの仲介業を代替することも可能です。
  •  比較的新しい分野でありながら、一定の規制要件が既に確立されているため、暗号資産を既存のビジネスモデルに採り入れる際には、規制を考慮する必要があります。欧州レベルでは、「暗号資産市場規制案(MiCA)」が統一的な規制に向けた第一歩と位置付けられています。

 

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