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金融セクターにおける気候変動にかかる最近の規制・監督の動向

Climate change: Recent regulatory developments in the financial sector

金融セクターでは、気候変動に関連する規制・監督上の取組みが大きく進展しています。本稿では、2020年における各国の主要なイニシアティブを概観するとともに、今後の動向を議論しています。

「持続可能な開発のための2030アジェンダ」と「パリ協定」がそれぞれ2015年に採択されてから5年あまりが経過し、気候・環境リスクにかかる取組みは各国・地域において進展してきています。国連によると、2020年11月時点で、世界の110を超える国・地域が「2050年までのカーボン・ニュートラル」を約しています。

金融セクターについて見ると、2020年には、気候変動に関連する規制・監督上の取組みが大きく進展しました。例えば、グローバル・レベルでは、気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS)は2020年、金融監督において利用されることを期待した気候シナリオなどを公表しました。また、欧州、北米、アジア太平洋(APAC)の各国・地域においても、気候変動に関連する情報のディスクロージャーの拡充や気候変動にかかるストレス・テストの実施などが進められています。

本稿は、2020年における気候変動に関連する金融規制・監督上の主な動きを整理するとともに、今後の規制・監督の動向について論じています。2021年以降も気候・環境リスクにかかる規制・監督上の取組みはさらに進展すると考えられる中、金融機関には、気候・環境リスクへの対応を、単なる「コンプライアンス」としてではなく、自身のビジネスをサステナブルなものとしていくための機会としてとらえ、プロアクティブに取り組んでいくことが期待されます。

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