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【保険ERM】 保険業界の資本管理調査2015年

(2016.08)

デロイトは2015年7~10月に、欧州10カ国、50社の保険会社を対象に資本管理に係る調査を実施しました。2016年1月のソルベンシーⅡへの移行に向けて、欧州保険会社がどのように資本管理態勢の強化を進めたのか、この調査結果は、経済価値ベースのソルベンシー規制の導入が検討されている日本においても示唆に富んだものと考えます。

欧州保険会社の調査結果

欧州保険会社への調査結果から以下のことが参考になる。

  • 専属の独立した資本管理部署を有するとの回答は50%未満となっている。多くの国では、CFOが資本管理を所管している。資本管理の専属スタッフ数は英国が平均12人で最も多く、他の国は7人以下であった。(平均5.5人)英国が多い要因として、長年に亘りリスク・ベースのモニタリング(ICA:Individual Capital Assessment)が行われてきたことが考えられる。
  • 資本管理にかかわる活動は多岐にわたり、多くの部署が関係する。そのため、資本管理組織およびガバナンスの整備をさらに進める必要が読み取れる。
  • 過去5年の変化および将来5年に予想される変化について、調査の結果は次の通りである。過去5年の変化は、ソルベンシーⅡの資本充足に注力する中で各種の取り組みがなされた、との回答を得ている。例えば、資本管理方針の明文化(88%)、ストレステストの手続き(86%)、規制当局宛文書(84%)、内部モデルの強化(76%)等である。一方将来5年の変化予想では、どのように資本を調達し、これを活用し、最適化することが可能かを検討する資本最適化戦略(90%)に圧倒的多くの回答が集まった。
  • 資本最適化戦略については、多様な視点が考えられる。現行では例えば、資産ポートフォリオ構成やリスクポートフォリオの選好、内部リスク移転(グループ内再保険会社の導入を含む)、負債リストラクチャリング、劣後債発行が一般に行われている。今後検討されている項目としては、リスク・マージン・ソリューションとグループ構造の変更がある。前者は、金利エクスポージャーのヘッジ、リスク・マージンを増大させる原リスク(例えば、長寿リスクや損保のロングテールリスク)の一部の移転によるリスク・プロファイルの調整などが含まれる。後者としては、子会社から支店形態への変更、M&Aなどが含まれる。
  • 資本管理の指標として、経済資本またはソルベンシーⅡベースでのROEと答えた会社が72%と多く、次いでIFRSベースでのROEが60%であった。
  • 資本モデルについて、数理面のリソースや専門性の向上(シナリオの定義と生成、統計モデルの能力の向上)を課題に挙げる会社が多かった。また、今後ソルベンシーⅡの結果および影響についてステークホルダーとのコミュニケーションが重要になると認識する会社が多かった。

日本においては、2016年6月に金融庁が経済価値ベースのソルベンシー規制導入に向け3度目のフィールドテストを進めている。保険会社にとって資本管理態勢強化は今後益々重要となる。フィールドテストを通じて、今後導入が予定される経済価値ベースの枠組みの下での変化や資本管理上の課題を確認することが可能である。保険会社はERM高度化の検討にあたり、ソルベンシーⅡが施行された欧州における本調査結果が参考になる部分も多いと考える。

 

「2015年保険業界の資本管理に関する調査」
英語原文(PDF): Capital Management in Insurance Survey 2015

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