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【保険ERM】 2017年における保険セクターのM&Aの展望

2017 Insurance M&A outlook(2017.07)

デロイトが米国およびバミューダの保険会社のM&A状況を分析しました。2016年下期には、業界全体で10億ドル以上の取引が7件あり、大幅に規模の拡大がありました。2017年は、追い風と逆風が入り混じっての展開と予測しています。

<M&Aに影響を及ぼす要因>

株式市場の影響

米国において大統領選挙後の保険会社の株価の上昇は、バリュエーションと買収価格設定のギャップを拡大する可能性がある。これは、潜在的買収者にとって資産の魅力を低下させる可能性がある。

規制の変化における影響

トランプ政権と共和党支配下の議会が金融サービスの規制への対応はM&Aにも影響を与える可能性がある。特にシステム上重要な金融機関(SIFIs)に関する規制が変化した場合、これまで当該指定をめぐって組織再編が行われたことから、今後のM&Aに影響が考えられる。また、米国労働省(DOL)による投資アドバイスに係る受託者(Fiduciary)責任規則に関する厳格化に対する遵守のためにM&Aを誘発する可能性に注目する必要がある。

今後留意すべき規制の変化とM&Aへの影響は、次の通り整理される。

金融サービスに対する規制政策の変更の可能性および2017年における保険セクターのM&Aへの影響

<税制の変化における影響>

今後可能性のある税法の改正もM&Aに影響を及ぼす。例えば、最高法人税率の引き下げは、純フリーキャッシュフローの増加による資金の拡大と共に、配当割引モデル法の場合バリュエーションの上昇といったM&Aにとっては二重の影響が考えられる。また、多くの保険会社が抱えている繰延欠損金(Net Operation Loss: NOL)の取扱いの変更(繰り戻しの禁止の可能性)や再保険料の損金算入の取扱い(算入禁止の可能性)も納税額の変更に伴うバリュエーションの変化等、M&Aに影響が考えられる。

<新しい技術の取り込み>

デジタル革命の進展は保険会社のビジネスモデルを変更すると予想される。その対応のための新しい技術を内製することは難しい。これら技術の取り込みの目的でなされるM&Aも、今後の新しい動きとして注目される。最近の米国におけるインシュアテック・イノベーターの出現状況は次の通りである。

<M&AとERM>

保険事業は、危険をプール機能で管理する事業である。リスクポートフォリオを戦略的に変更しうるM&Aは、同時に、自社のポートフォリオに新たなビジネスモデルやカルチャーを取り込むことも意味する。同時に、新たなビジネスモデルやカルチャーの取り込みも意味する。M&A戦略として企図したグループシナジーの発揮、企業価値への貢献を実現するため、リスクガバナンスの徹底やリスクカルチャーの浸透といったグループ経営の真価が問われることとなる。

詳細は、本レポート参照。
原題:2017 Insurance M&A outlook(PDF)

保険ERM態勢の高度化支援サービス

デロイト トーマツ グループでは、保険ERM態勢に関し、基礎的な情報提供から、各社固有の問題解決まで幅広く関わり、Deloitte Touche Tohmatsu Limited(DTTL)のグローバルネットワークを駆使し、最新の情報と豊富なアドバイザリーサービスを提供します。

保険ERM態勢高度化支援サービス
(ブロシュア、PDF、384KB)

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