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ASBJが実務対応報告第39号「連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用に関する取扱い」を公表

月刊誌『会計情報』2020年5月号

『会計情報』編集部

企業会計基準委員会(ASBJ)は、2020年3月31日に、実務対応報告第39号「連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用に関する取扱い」を公表した。

令和2年度税制改正において従来の連結納税制度が見直され、グループ通算制度に移行する税制改正法(「所得税法等の一部を改正する法律」(令和2年法律第8号))(以下「改正法人税法」という。)が2020年3月27日に成立した。これにより、グループ通算制度の適用対象となる企業は、改正法人税法の成立日以後に終了する事業年度の決算(四半期決算を含む。)において、グループ通算制度の適用を前提として繰延税金資産の回収可能性の判断を行う必要があるが、当該判断を行うことについて、実務上対応が困難であるとの意見が聞かれたことから、ASBJにおいて審議が行われ、今般、2020年3月27日開催の第428回企業会計基準委員会において、標記の「連結納税制度からグループ通算制度への移行に係る税効果会計の適用に関する取扱い」(以下「本実務対応報告」という。)の公表が承認されたことを受け、公表に至ったものである。

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<本実務対応報告の概要>

■範囲(本実務対応報告第2項)

本実務対応報告は、2020年3月27日に成立した改正法人税法の成立日の属する事業年度において連結納税制度を適用している企業及び改正法人税法の成立日より後に開始する事業年度から連結納税制度を適用する企業を対象とするとしている。

 

■改正法人税法の成立日以後に終了する事業年度の決算(四半期決算を含む。)に係る税効果会計の適用に関する取扱い(本実務対応報告第3項)

本実務対応報告は、改正法人税法の成立日以後に終了する事業年度の決算(四半期決算を含む。)についてグループ通算制度の適用を前提とした税効果会計における繰延税金資産及び繰延税金負債の額については、実務対応報告第5号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その1)」及び実務対応報告第7号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その2)」に関する必要な改廃をASBJが行うまでの間は、グループ通算制度への移行及びグループ通算制度への移行にあわせて単体納税制度の見直しが行われた項目について、企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」第44項の定めを適用せず、改正前の税法の規定に基づくことができるものとされている。

 

■適用時期(本実務対応報告第5項)

本実務対応報告は、公表日以後適用するものとされている。

 

■その他

詳細については、ASBJのウェブページ(https://www.asb.or.jp/jp/accounting_standards/practical_solution/y2020/2020-0331-04.html)を参照いただきたい。

以 上

本記事に関する留意事項

本記事は皆様への情報提供として一般的な情報を掲載するのみであり、その性質上、特定の個人や事業体に具体的に適用される個別の事情に対応するものではありません。また、本記事の作成または発行後に、関連する制度その他の適用の前提となる状況について、変動を生じる可能性もあります。個別の事案に適用するためには、当該時点で有効とされる内容により結論等を異にする可能性があることをご留意いただき、本記事の記載のみに依拠して意思決定・行動をされることなく、適用に関する具体的事案をもとに適切な専門家にご相談ください。

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