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金融機関に求められる経済安全保障対応

目次

経営上の問題として重要性が増している「経済安全保障リスク」の論点をわかりやすく解説。

経済安全保障推進法が金融機関に与える影響も含め、42問のQ&Aで紹介。

経済安全保障推進法の成立や、近時のウクライナ情勢等を受け、経済安全保障はかつてないほど関心が高まっています。2023年5月に開催されたG7広島サミットでは、経済的強靭性及び経済安全保障に関する首脳声明が初めて発出され、強靭なサプライチェーンや基幹インフラ構築の重要性が改めて強調されています。

金融業は、国民生活の安定や国民経済の健全な発展を究極的な目標とし、顧客資産の維持・増大や決済・送金等、基幹インフラとして重要な機能を担っています。これらの金融機能が外国により脅かされると、個人・法人の経済活動の自由が奪われるにとどまらず、金融機能がストップすることにより、国家・国民の安全が害される危険も高まっています。また、金融機関は、その業務の性質上、顧客資産や決済・送金に関する膨大なデータを保有しており、これらを外国に奪われることを通じて国家・国民の安全が害されるおそれもあります。

こうした事態を防ぐためには、政府のみならず、金融業のプレイヤーである金融機関自身が、経済安全保障推進法等に対する形式的な規制対応のみならず、自らの業務の経済安全保障上の重要性や、経済安全保障に関する判断を誤ることに伴う経営上・レピュテーション上の影響等も踏まえた上で、リスクを前広に把握・捕捉した自律的な対応が求められます。

本書は、経済安全保障推進法の基幹インフラに関する部分、その他関連する国内外の法規制の概要にとどまらず、経営上のリスクとしての「経済安全保障リスク」の内容及びこれに対する金融機関の対応等につき、できるだけ平易な形で説明すべく、Q&A形式で整理することを試みています。デロイト トーマツ リスクアドバイザリーの各領域の専門家が、各領域固有の論点のみならず、これらと金融機関の経済安全保障との関係等にも触れています。

本書が、こうした経済安全保障リスクに金融機関が対処していくための一助となり、金融機関の基幹インフラとしての安定的かつ継続的な業務の提供や社会からの信頼の維持に少しでも貢献できていたら幸いです。

目次

第1章 経済安全保障を巡る国内外の動向

経済安全保障とは/経済安全保障に関する日本の施策/経済安全保障に関する海外の施策/金融機関における経済安全保障対応の必要性/金融機関における経済安全保障対応

第2章 経済安全保障推進法の概要

経済安全保障推進法の概要/金融機関における経済安全保障推進法の重要性/基本指針の概要/基幹インフラに対する妨害行為/基本指針が適用される設備・委託/基本指針に基づく事前届出/「リスク管理措置」/クラウドサービスの利用/プログラムの変更・追加/再委託/審査に当たっての考慮要素/事前届出に対する勧告・命令等/事前届出に対する変更の届出・報告/導入後の勧告・命令等/遡及適用に関する考え方/施行に向けたスケジュール/経済安全保障推進法上の「特定社会基盤事業者」となる金融機関

第3章 金融機関における経済安全保障対応

金融機関に求められる経済安全保障推進法対応/経済安全保障推進法の適用対象とならない設備・委託/経済安全保障推進法の適用対象とならない金融機関に求められる対応/経営上の問題としての経済安全保障リスクへの対応/経済安全保障リスクに適切に対応しない場合の不利益/経済安全保障リスクに対するガバナンス/経済安全保障と投融資管理①/経済安全保障と投融資管理②/経済安全保障とAML/経済制裁①/経済安全保障とAML/経済制裁②/経済安全保障とサードパーティ・リスク管理①/経済安全保障とサードパーティ・リスク管理②/経済安全保障とサイバーセキュリティリスク①/経済安全保障とサイバーセキュリティリスク②/経済安全保障とデータプライバシー①/経済安全保障とデータプライバシー②/経済安全保障とオペレーショナル・レジリエンス/経済安全保障と人権/投融資先の経済安全保障リスク管理態勢のモニタリング/セキュリティ・クリアランス

書名 金融機関に求められる経済安全保障対応
出版 一般社団法人金融財政事情研究会
著者 デロイト トーマツ リスクアドバイザリー 編
価格 本体2,200円(税込)
出版 2023年10月
ISBN 978-4-322-14374-4
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