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水際対策強化に係る新たな措置(20)について

グローバルモビリティ~イミグレーション~ 2021年12月6日 アップデート

はじめに

令和3年11月29日の午後、岸田首相が緊急的に30日午後0時から全世界から新規の外国人の入国を停止すると発表しました。海外で感染が広がりつつあるオミクロン株の国内流入を防ぐためとはいえ、令和3年11月8日から外国人の新規入国を認めることとしてから、わずか21日後です。その後すぐに、水際対策強化に係る新たな措置(20)(オミクロン株に対する水際措置の強化)が11月30日に発表されました。

今回の措置の内容は、(1)外国人の新規入国停止(2)有効なワクチン接種証明書保持者に対する行動制限緩和措置の見直し(3)入国者及び帰国者の自宅待機期間を10日に短縮する措置等の停止(4)モニタリングの強化等(5)入国者総数の引下げとなっています。前回及び前々回に発表された水際対策の段階的緩和をすべて停止した形となりました。

 

外国人の新規入国停止について

令和3年11月5日に発表された「水際対策強化に係る新たな措置(19)」2.に基づいて業所管省庁が交付する「審査済証」の、受入責任者からの申請の受付及び審査が、本年 12月31日まで停止され、新たな審査済証の交付が行われないことになりました。さらに発行済みの審査済証の効力も停止され、本年12月31日までの間、この仕組みによる外国人の新規入国を拒否することとなりました。この措置により、新規入国する外国人は査証(ビザ)の申請ができなくなり、特段の事情として「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」又は「外交」の在留資格を取得する者以外については、すでに発給されている査証の効力も一時停止されています。また、特段の事情も厳格化され、人道上の緊急を要する事態以外では、日本人の配偶者又は子、永住者の配偶者又は子、そして外交官等の入国のみ認められることとなりました。

 

有効なワクチン接種証明書保持者に対する行動制限緩和措置の見直しについて

同じく「水際対策強化に係る新たな措置(19)」1.に基づいて、有効なワクチン接種証明書保持者(外務省及び厚生労働省において有効と確認したもの)に対する入国後待機期間中の3日目以降に活動するために必要な「審査済証」の申請の受付及び審査を、本年12月31日まで停止し、業所管省庁から受入責任者に対する審査済証の交付が行われなくなりました。これにより、日本人の帰国者又は在留資格を有する再入国者は、入国後14日まで待機施設等での待機が必要となります。

 

入国者及び帰国者の自宅待機期間を10日に短縮する措置等の停止について

「水際対策強化に係る新たな措置(18)」(令和3年9月27日)1.により、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種証明書を保持している者については、入国後 10日目以降に改めて自主的に受けた検査(PCR 検査又は抗原定量検査)の陰性の結果を厚生労働省に届け出た場合、入国後 14日目以前であっても、自宅等での残余の待機の継続を求めないこととなっていましたが、本年 12月31日までこの措置が停止されました。また同措置の2.変異株等に対する指定国・地域から入国するワクチン接種証明書の保持者について、検疫所が確保する宿泊施設での待機及び入国後3日目の検査を求めないこととする措置も停止となっています。

 

モニタリングの強化等

オミクロン株に対する指定国・地域からの帰国者・入国者について、入国者健康確認センターの健康フォローアップの強化とともに、変異株サーベイランス体制の強化、具体的には都道府県、保健所設置市等によるオミクロン株の発生や変異株の動向の監視をするための自治体主体のゲノム解析件数の拡大等となります。

 

入国者総数の引下げ

令和3年11月29日、国土交通省はオミクロン株に対する水際対策強化のため、日本に到着する全ての国際線について12月末まで新規予約を停止するように国内外の航空会社に要請しました。しかしながら、12月2日にはこの要請を取り下げて日本人の帰国需要に十分配慮するよう航空会社に改めて通知をしています。こちらは、1日あたりの入国者数の上限を3500人程度にするための措置となります。

 

まとめ

今回は緊急避難的な措置として、かなり迅速で厳しい内容の発表でありました。今までは「特段の事情」として、人道上の理由や公益性があるとき、例外として特別に入国が認められていました。東京オリンピック・パラリンピックの選手や関係者も公益性の理由で入国が可能となり、スポーツ以外でも音楽等の芸術の興行関係者で入国を認められることもありました。この特段の事情も厳格化され、特に人道上,真に配慮すべき事情があるときや,高い公益性があるときといった,個別の事情に応じて特段の事情が認められる場合のみ査証が発給されます。例え、家族と離れて日本に一人で就労している外国人が、本国の家族を呼び寄せる場合も、特段の事情として認められなくなりました。オミクロン株の感染が確認された国・地域も日々拡大していますが、早期の収束を願うばかりです。

 

※本記事は、掲載日時点で有効な日本国あるいは当該国の税法令等に基づくものです。掲載日以降に法令等が変更される可能性がありますが、これに対応して本記事が更新されるものではない点につきご留意ください。

 

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