調査レポート

児童相談所における虐待による乳幼児頭部外傷事案における安全確保策に関する調査研究

虐待による乳幼児頭部外傷事案(AHT)のパターン別・児童相談所における対応のポイント集を作成

有限責任監査法人トーマツは、厚生労働省令和4年度 子ども・子育て支援推進調査研究事業の採択を受け「児童相談所における虐待による乳幼児頭部外傷事案における安全確保策に関する調査研究」を実施しました。この事業では、アンケート調査等の活動や有識者による委員会での検討を経て、「虐待による乳幼児頭部外傷事案(AHT)のパターン別・児童相談所における対応のポイント集」を作成しました。

調査研究事業の背景・目的

本事業は、児童相談所の職員が、虐待による乳幼児頭部外傷事案について有効な安全確保策を講ずることができるようにサポートすることを目的に、児童相談所における虐待による頭部外傷のケースの受理・対応状況の実際を把握しつつ、有効な安全確保策を講ずるために必要な事項やケースワークにおける工夫点等のノウハウを収集・分析し、検討して取りまとめたものです。

 

調査研究事業の内容

本事業においては、上記目的のもと、①検討委員会の設置・開催、②作業部会の設置・開催、③児童相談所へのアンケート調査作業部会の設置・開催、④児童相談所へのヒアリング調査、⑤成果物の完成・公開といった5つの活動を行いました。

アンケート調査では、成果物の作成に資する情報を得るために、①AHTケースの通告・対応状況や、②AHTケースについて有効な安全確保策を講ずるために必要な事項やケースワークにおける工夫点等を把握しました。また、ヒアリングt調査では、成果物に資する情報を得るため、AHTケースについて、終結に至るまでの一連の対応(ケースワーク)、児童相談所の体制や具体的な業務のフロー、困難場面への対応のノウハウ等を聴取しました。

 

まとめ

本事業のアンケート調査及びヒアリング調査では、AHTケースについて、通告受理時といったケースワークの入り口のみならず、終結に至ったケースについても回答を得て、AHTケースのケースワークの全体像を捉えました。そこから、一時保護を実施するか否かといった当面の対応方針について、その判断の背景にあるものや、最終的に元いた家庭への家庭復帰に至るか否か、その方針決定の背景にあるものの一端をうかがい知ることが出来ました。

児童相談所は、こどもの安全確保を第一の目的と置きつつ、同時にこどものウェルビーイングを保障することも志向しています。調査結果からも、こどもの安全確保を最優先とし、市区町村をはじめとする様々な関係機関との役割分担の中で工夫しながら、こどものウェルビーイングを保障することを目指していると考えられます。

執筆

有限責任監査法人トーマツ
リスクアドバイザリー事業本部  ヘルスケア 

※上記の部署・内容は、掲載日時点のものとなります。2023/04

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