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新たなバイオバンクプレイヤー
地方発希少がんのリビングバイオバンクの挑戦
バイオバンクは今日の医学研究には必要不可欠です。しかし従来のバイオバンクに保管される試料は有限であることが多く、広範な研究への利用は難しい状況となっています。一方、その解決策となりうる医療機関併設型のバイオバンクが各地で誕生しています。本記事では国内のバイオバンクに関する状況を整理し、また地方発バイオバンクの一つである栃木キャンサーバイオバンクに対して実施したインタビューの結果を掲載します。
1.国内バイオバンクの動向と課題
バイオバンクとは生物学的研究や疾患研究のために、体液や組織等の生体試料とそれに関わる情報を収集・保管・頒布する事業や施設のことを指します。様々な生物種の組織を対象としたバイオバンクが存在しますが、本記事ではヒトを対象とするバイオバンクのみを対象とします。
バイオバンクには大きく分けて、健康な一般住民を対象とする一般集団バイオバンクと、疾患患者を対象とする疾患バイオバンクの二種類があります。前者は前向きコホート研究への利用等、生活習慣病を含む疾患の発症リスク研究などに活用されており、東北メディカル・メガバンク計画や久山コホート等が知られています。後者は疾患の基礎研究や治療法・検査法の開発に活用されており、バイオバンク・ジャパン(Biobank Japan)やナショナルセンター・バイオバンクネットワーク(National Center Biobank Network)が知られています。
日本国内のバイオバンクは、現在AMEDのバイオバンク情報一覧で確認できるだけでも50施設存在しますが、十分に活用されているとは言えない状況です。例えば、バイオバンク・ジャパンでは大規模ゲノム研究の研究成果が国際的に評価されていますが、中小規模のゲノム研究等への利用は未だ不十分です。この状況を受け、バイオバンクの利活用促進を目的としたバイオバンク・ネットワークの構築が進められており、国内の主要なバイオバンク(バイオバンク・ジャパン、東北メディカル・メガバンク計画、ナショナルセンター・バイオバンクネットワーク)や大学病院が設置するバイオバンク(京都大学医学部付属病院クリニカルバイオリソースセンター、東京医科歯科大学疾患バイオリソースセンター、筑波大学附属病院つくばヒト組織バイオバンクセンター、岡山大学病院バイオバンク)が参加しています。バイオバンク・ネットワークの構築により、各バイオバンクが保有する試料・情報を横断的に検索することが可能となり、アカデミアや企業の研究者がそれぞれのニーズに最も適合する試料を入手できるようになると期待されています。
しかし、バイオバンクの利用における課題は必要な試料の検索だけではありません。バイオバンクの試料を利用する研究については、利用者・バイオバンク間で共同研究を実施する場合と、研究は利用者が単独で実施しバイオバンクは試料・情報の頒布のみを行う場合がありますが、共同研究のみを認可しているバイオバンクが現在16施設存在します。共同研究ではバイオバンク側の研究ニーズと利用者の研究内容が合致している必要があるだけではなく、研究成果についても利用者が独占できないため、バイオバンクの試料を用いた自由な研究が一部の領域では難しい状態となっています。また、バイオバンク試料の利用にあたり必要となる手続きも煩雑であり、既に各バイオバンクとある程度の関係性が無ければ利用申請の提出自体が困難な場合も多くあります。申請が受理されるまでの所要時間も長く、場合によっては2カ月前後の期間が必要となります。
試料の採取・処理についても問題となり得ます。バイオバンクに保管される試料はヒト組織を対象とする研究全てに使用できるわけではなく、試料提供者から試料を採取する際の条件や処理によっては利用できない研究手法も少なくありません。将来の研究に活用可能な試料を保管することはバイオバンクの存在意義の一つですが、現時点では試料処理のプロトコル次第で利用可能な研究が限定されてしまいます。
一方で、バイオバンク自体の運営にも大きな課題があります。多くのバイオバンクは研究費を元に設立されていますが、運営のためには継続的に研究計画を作成し、運営資金を獲得し続ける必要があります。研究費に依存せずバイオバンクを運営するため、頒布や共同研究の際に利用料/手数料を徴収することで運営費に充てようと工夫しているバイオバンクも存在しますが、短期間に多数の頒布・共同研究の要請に応じることは難しく、利用料/手数料の徴収・利活用促進の両面で課題となっています。限りある試料を有効活用するため、ゲノムデータをはじめとするオミックスデータや各種検査データ等情報の頒布に力を入れるバイオバンクも存在しますが、試料を必要とする研究には対応できないため完璧な代替案とは言い難いです。
2.新たな潮流、地方発バイオバンク
先述したバイオバンクの利活用・運営に関する課題を解決するため各々のバイオバンクで様々な施策が行われていますが、これらの課題の解決策となりうるバイオバンクが各地の医療機関から誕生しています。それらのバイオバンクは診療施設に併設されていることからクリニカルバイオバンクと呼ばれており、各地のがんセンターや各大学病院等特定の疾患患者が多く集まる医療機関に設置されています。
クリニカルバイオバンクでは、毎年一定数の患者が新規に受診し手術も定期的に行われることから、安定して試料を取得し続けられること、同一の患者から一定期間ごとに血液等の試料を採取できる場合があること、試料に関する情報も電子カルテ等の院内システムから詳細に取得できることが特徴として挙げられます。これにより試料の枯渇を心配することなく、またプライバシーの問題が無い範囲であれば利用者のニーズに合わせて必要な情報を漏れなく提供することができます。
また、安定した試料提供者のリクルートや定期的な試料採取が見込まれることから、オンデマンド型バンキングも可能となっています。オンデマンド型バンキングでは従来のように保管された試料を提供するのではなく、利用者が希望する試料を利用者が希望するプロトコルで処理し提供します。これにより試料の処理方法によって利用者の研究が制限されることがなくなるため、幅広い研究への利用が可能となります。
今回は地方発バイオバンクの一例として、栃木キャンサーバイオバンクを紹介します。
3.栃木キャンサーバイオバンク概要
栃木キャンサーバイオバンクは栃木県立がんセンターが設置した、主に希少がん・難治がんを対象とするバイオバンクです。栃木県立がんセンターは北関東~南東北のがん患者が受診する医療機関であり、特に希少がん・難治がんについては国内に類を見ないほどの患者数となっています。これまで希少がん・難治がんは症例・試料数の少なさから基礎研究や治療法・検査法の開発が進んでいませんでしたが、栃木キャンサーバイオバンクで収集された試料により腫瘍マーカーの探索や治療薬の開発が促進されることが期待されています。
クリニカルバイオバンクという強みを活かし、栃木キャンサーバイオバンクでは特にオンデマンド型バンキングに力を入れています。オンデマンド型バンキングでは利用者のニーズに合わせた試料の採取・処理が可能となります。一定期間に提供可能な試料数は栃木県立がんセンターの患者数に依存しますが、将来にわたって永続的に試料を提供することができます。そこで、栃木キャンサーバイオバンクでは利用者の研究目的を限定せず、幅広く利用を促進する方針を立てています。そのため共同研究・頒布申請の手続を簡便化しており、オンライン上でほとんどの手続きが可能で審査に要する期間も2週間程度となっています。情報についても、先述の通り電子カルテから臨床記録が入手可能であり、利用者のニーズに合わせて情報を抽出・匿名化加工し頒布することができます。これにより、患者間での治療成績の比較など、詳細な治療歴情報が必要な研究にも対応可能となっています。
希少がん・難治がんの研究という側面から栃木キャンサーバイオバンクの設立経緯を述べてきましたが、栃木県立がんセンターがバイオバンクを設立した経緯には院内状況も大きく影響しています。現在栃木県立がんセンターでは、研究所を活性化し研究活動を活発化させることや、臨床と基礎の両方を学ぶことができるがんセンターとして、その魅力を若手医師にアピールすることを計画しています。患者の臨床検体を保存し研究に役立てるバイオバンクはがん研究を加速することから、研究所とバイオバンクが有機的に結びついた研究体制を構築することを予定しています。また、バイオバンク試料を用いてがんパネル検査やコンパニオン診断等を行うことにより、個別化医療の実現にも役立てることで、病院とも連携した活動を計画しています。
栃木キャンサーバイオバンクは希少がんや難治がんに焦点を当てた収集を行っており、臨床検体を使用した研究から新しい治療法が開発されることが期待されます。試料の処理に関するプロトコルも院内で統一されるため、再現性という観点からも質の高い研究を実施することが可能となります。また、バイオバンクの運営が継続される限り臨床検体は保存されるため、長期間にわたる個別化医療の提供が可能になります。
上記の目的達成のためにも長期間の安定的なバイオバンク運用が必要となりますが、栃木キャンサーバイオバンクでは試料の利用料/手数料を収入源とする運営を予定しています。また、設立母体である栃木県立がんセンターも地方独立行政法人化により採算性を求められているため、バイオバンク単体での収益化が必要となります。設立資金についても限りがあることから、栃木県立がんセンターでは株式会社ビジコムジャパンと提携しバイオバンクを設立しました。バイオバンクの運営についても同社に委託されていますが、試料の保管や頒布だけでなく、高い需要が見込まれる試料を選定する等、これまで同社が培ってきた経験を活用し運営を行っています。その成果として、現時点で既に複数の企業・国内研究機関から利用の問い合わせがあり、今後も十分な需要が見込まれるとのことでした。
4.栃木キャンサーバイオバンク設立への思い
本記事の作成に当たり、栃木県立がんセンターの尾澤 巖院長、菊田 一貴センター長、国立研究開発法人国立がん研究センターの近藤 格希少がん研究分野長、株式会社ビジコムジャパンの仲谷 博安専務取締役にインタビューを実施しました。栃木キャンサーバイオバンク設立の経緯や希少がん研究における必要性、地方がんセンターの生き残り戦略におけるバイオバンクの重要性等について様々なお話を頂きましたが、本項ではそれらの一部を抜粋してご紹介します。
■尾澤 巖院長
栃木県立がんセンター 院長
栃木県立がんセンターは令和3年度に第2期中期計画を策定しましたが、今後の病院経営の方向性が課題として挙げられていました。個別化医療等の先進医療に対応するためには研究所の機能が必要になりますが、研究所単独では利益を生み出さないため難しい運営が求められます。また、研究所自体も十分に機能しているとは言えず、個別化治療等の先進的な医療への対応や院内研究が滞る状態となっていました。そのため若手医師にとって当院は魅力が乏しく、職員採用への悪影響も懸念されたため、研究所の再建についても検討されていました。そのような折に菊田センター長からバイオバンクの設立を必要とする研究計画の申請があり、栃木キャンサーバイオバンクを設立する運びとなりました。
栃木キャンサーバイオバンクの設立により院内研究を充実させ、大学病院と連携大学院を締結することで若手医師をリクルートし、また研究成果を臨床応用するためのトランスレーショナルリサーチを誘致したいと考えています。また患者検体の長期保管が可能となりますので、がんパネル検査や将来の個別化医療のための基盤としても活用する予定です。バイオバンクの存在が今後の病院運営における柱となりますので、バイオバンクの質の向上、安定した長期運営は必須となります。そのため、共同研究や試料頒布を積極的に行い、運営資金の獲得や収益化に繋げたいと考えています。
■菊田 一貴センター長
地方独立行政法人栃木県立がんセンター 骨軟部腫瘍・整形外科科
栃木キャンサーバイオバンク センター長
栃木県立がんセンター入職以前から希少がん研究に携わってきましたが、希少がんは患者数が10万人あたり6人未満しかいない非常に稀ながんであり、データや試料の蓄積が進まず、他のがんと比較すると研究が大きく遅れていました。そのため希少がんの試料・データを収集したいという思いがあり、栃木キャンサーバイオバンクの設立を提案いたしました。
当バイオバンクで提供する検体については、基礎研究や治療法・検査法の開発での利用を想定しています。希少がんは基礎研究が不十分であり、現在も分類や疾患名の更新が続いている状況です。当バイオバンクに保管された凍結検体を利用することで、今後様々な知見が得られると考えています。治療法の開発については、患者数が少なく市場規模が小さいことから新規薬剤の開発は期待できませんが、ドラッグリポジショニング研究により、既存の抗がん剤の中から希少がんにも効果のある薬剤を発見できると期待しています。さらなる研究への利用のため、将来的には「リビングバイオバンク」として培養可能な状態での試料保管や細胞株、マウスモデルの作成・頒布を行いたいと考えています。
研究の進展に貢献できるバイオバンクを運営するためには、試料の採取・処理や保管プロトコル、利用申請への対応などを適切にデザインする必要があります。そのため、バイオバンクに関するご知見のある近藤分野長にもご助力を頂いています。近藤分野長には国立がん研究センターに勤務していた頃からお世話になっており、その縁で当バイオバンクへの参加を依頼しました。
■近藤 格希少がん研究分野長
国立研究開発法人国立がん研究センター 希少がん研究分野分野長
バイオバンクアドバイザリースタッフ
国立がん研究センターからアドバイザリースタッフとして、栃木キャンサーバイオバンクの運営を支援しています。元々菊田センター長が国立がん研究センターに在籍されていた頃から共に希少がんを研究しており、栃木県立がんセンターに移られてからも共同研究を継続して行っていました。北関東・南東北では栃木県立がんセンター以外に希少がん・難治がん診療を行っている医療機関がなく患者が集中しており、バイオバンクに試料を保管することで希少がん・難治がんの研究に大きく資することができると考えています。
そのために、院内利用への偏重や利用者の限定を避け、幅広く利用してもらうための施策を行っています。例えば利用申請の手続きは簡便にし、研究内容についても大きな制限は設けていません。製薬企業等は研究内容を開示したくないと思われますが、共同研究だけでなく試料の頒布も可能なので利用しやすいと考えています。利用者全員に試料が行き渡るよう、オンデマンド型バンキングを行うことで保管試料の枯渇についても対策しています。
バイオバンクの果たすべき役割の一つは、将来の研究のために試料を保管することですが、そのためには長期に渡る安定したバイオバンク運営が必要になります。そこで、海外のバイオバンクから試料を輸入した経験を持ち、バイオバンク内外の状況に精通している株式会社ビジコムジャパンのお力も借りて運営を行っています。
■仲谷 博安専務取締役
株式会社ビジコムジャパン 専務取締役
バイオバンク事務局およびバイオバンクの運営管理
株式会社ビジコムジャパンは化学・バイオ系の商社であるとともに化学・バイオ・創薬研究の技術導入支援も行っており、海外のバイオバンクからの試料輸入にも携わってまいりました。その過程で、より日本人に合った治療薬・検査法を開発するために、国内企業からは日本人の試料が欲しいというニーズが強いことを認識していました。
近藤分野長から栃木キャンサーバイオバンク設立についてのお話を頂いた際も、上記の経験から十分なニーズがあることを把握しており、自律的な運営が見込めることからご支援させて頂くこととしました。長期間のバイオバンク運営には安定した収入が必要となるため、がん研究や医療の進歩に貢献するというバイオバンクの存在意義からも収益性が重要になっています。
バイオバンク運営に当たっては、当社の強みを活用していきたいと考えています。試料については経験上需要の高いものを保管しており、標準プロトコルについても、様々な企業の研究に利用できるよう複数社へのヒアリング結果を元に決定しています。
5.栃木キャンサーバイオバンクの展望と将来
栃木キャンサーバイオバンクはまだ設立から日が浅く、十分な量の試料は保管されていません。そのため現時点では即時に必要な試料を頒布することはできませんが、ゆくゆくは保管試料の在庫も確保し、対象とするがんもニーズに応じて拡大する予定となっています。しかし、保管設備に限りがあることや、保管試料では研究用途が限られることから、オンデマンド型バンキングにも注力する方針は継続されます。
将来的には、栃木キャンサーバイオバンクではクリニカルバイオバンクやオンデマンド型バンキングに留まらず、「生きた試料」を取り扱う「リビングバイオバンク」としての機能を充実させることを目標としています。凍結試料等の「死んだ試料」ではなく、特殊溶液中で凍結保管した解凍後の蘇生が可能な腫瘍組織・細胞を「生きた試料」として保管することで、広範な研究手法への対応や将来の個別化医療への対応が可能となり、研究・臨床双方の発展に大きく寄与することが期待されます。その次の段階として、がんのマウスモデルの作成及び作成プロトコルの統一等を目指しています。
受託解析についても拡充が予定されています。栃木県立がんセンターの研究所再建による院内解析能力の拡大だけでなく、ビジコムジャパンが持つネットワークを通じて解析企業へ業務委託することで、利用者が必要とする解析を栃木キャンサーバイオバンクとの契約のみで可能とする「バーチャルラボ」の構築が検討されています。
希少な試料の提供だけでなく、先進的なバイオバンク機能の獲得や利用者支援の施策により、次世代のバイオバンクとしての活躍が期待されています。
6.編集後記
栃木キャンサーバイオバンクの特徴は2つあります。
① 選択と集中
総花的にならないよう、自院の強みである希少がん・難治がんに的を絞っています。
② ベンチャービジネス
多額の設備投資ができないからとあきらめず、逆転の発想で民間企業の協業による運営形態や試料管理方法を考案した地方医療機関初のバイオバンクベンチャーです。
この戦略が奏功し、立ち上げ当初より複数の引き合いがきていますが、一方でこの地方発ベンチャーにはこれから克服しなければならない課題も多くあります。独立採算・自律運営のためには製薬企業・検査機器メーカー等からの利用を促進し、収益を確保し続ける必要があります。そのためのポイントは以下の通りと考えます。
(1) 広報活動
先述の通り、国内企業は利用申請の困難さや、共同研究が前提となる利用条件等により、国内のバイオバンクを十分に利用できない問題がありますが、栃木キャンサーバイオバンクは利用申請が簡便であり利用条件にも制限はほとんどないメリットがあります。しかしこうしたメリットを利用者に的確に周知する広報活動やマーケティング活動は、診療最優先の医療機関において片手間にやれることではありません。
(2) スムーズな試料採取
多数の利用者へタイムリーに試料を提供するためには、スムーズな試料採取が不可欠であり、院内医師や患者への丁寧な説明・同意取得など効率的な推進体制の構築が求められます。
(3) 院内研究体制の強化
トランスレーショナルリサーチの促進や連携大学院との協定締結のためには、院内研究を充実させ、提携するだけの能力を持つことを外部に示す必要があります。そのため、院内の強固な連携体制を構築することも重要となります。
(4) 人材の強化
安定した試料提供体制の構築や様々な課題解決に向け、バイオバンクスタッフの増員、体制強化は不可欠となります。
(5) 経営能力
栃木キャンサーバイオバンクは診療報酬外の収益で運営されるベンチャービジネスです。公立医療機関であるからといって運営費負担金で充当されず、現時点においては原則自主財源で賄われ、あとは医師の熱意と発想で支えられる紛れもない新規事業です。ヒトモノカネのかじ取りがあって存続可能となります。
2021年4月の設立から間もない状況ですが、早期から外部利用を促進し収益化することができれば長期運営に有利なだけでなく、栃木県立がんセンターの第二期中期計画から第三期中期計画にかけての中心的な事業とすることが可能になります。地方がんセンターの存在意義を示す有望な戦略として、今後も注視していきます。
出所
1. 実験医学増刊Vol39-No.7(羊土社) 2021年4月20日発行 ISBN 978-4-7581-0394-7
2. 栃木キャンサーバイオバンク
(http://tochigi-cc.jp/biobank/index.html)
(https://cancerbiobank.jp/)
3. バイオバンク・ジャパン
(https://biobankjp.org/index.html)
4. 東北メディカル・メガバンク機構
(https://www.megabank.tohoku.ac.jp/)
5. ナショナルセンター・バイオバンクネットワーク
(https://ncbiobank.org/)
6. 京都大学医学部附属病院クリニカルバイオリソースセンター
(https://www.kyotocbrc.kuhp.kyoto-u.ac.jp/)
7. 筑波大学附属病院つくばヒト組織バイオバンクセンター
(http://www.hosp.tsukuba.ac.jp/outpatient/facility/biobank.html)
8. 東京医科歯科大学疾患バイオリソースセンター
(https://www.tmd.ac.jp/cmn/brc/)
9. 岡山大学病院バイオバンク
(http://biobank.ccsv.okayama-u.ac.jp/)
10. 一般社団法人クリニカルバイオバンク学会HP
(http://www.clinicalbiobank.org/)
11. キャンサーバイオバンク愛知
(https://www.pref.aichi.jp/cancer-center/cbba/index.html)
12. 東京大学医学部附属病院組織バンクHP
(http://uttb.umin.ac.jp/)
本件に関するお問合せ先
有限責任監査法人トーマツ
リスクアドバイザリー事業本部 ヘルスケア
柚木 大介|シニアマネジャー
湯澤 あや、中村 篤大
E-mail : dthc_surveyinfo@tohmatsu.co.jp
※上記の社名・役職は 2021/11時点のものとなります。
デロイト トーマツ ヘルスケア
今後のゲノム領域、バイオバンク市場における戦略
渡辺典之|パートナー
今後の医学研究・治療薬開発にバイオバンクは欠かせない存在となっていますが、利用促進にはまだ課題がある状況です。解決策の一つとして、バイオバンク・ネットワークの機能強化により、一つの窓口から国内全てのバイオバンクに対して利用申請が行える体制を構築することが考えられます。また、希少がんの様に、十分な試料が保管されていない疾患領域のバイオバンク設立も急務となります。更なる医療の発展のために、デロイト トーマツ ヘルスケアとしてバイオバンクの立上や連携体制構築に貢献していきたいと考えます。