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文科省設置の「学校法人ガバナンス改革会議」
2021年7月に文科省により「学校法人ガバナンス改革会議」を設置
「学校法人ガバナンス改革会議」では、社会福祉法人や公益法人と同等のガバナンス機能を発揮する機関設計や会計監査人・内部統制システム等の義務付けや代替措置、さらに「ガバナンス・コード」の抜本改革の検討も予定されています。
執筆者: 公認会計士 奥谷恭子
はじめに
文部科学省にて「学校法人ガバナンス改革会議」が設置され、2021年7月19日に第1回が開催されました。
当会議が設置されるにあたっては、前身会議である「学校法人のガバナンスに関する有識者会議」が2021年3月まで開催され、2021年3月19日に提言「学校法人のガバナンスの発揮に向けた今後の取組の基本的な方向性について」を提出したことを受け、さらに、2021年6月18日「経済財政運営と改革の基本方針2021」(いわゆる「骨太の方針」)において、「手厚い税制優遇を受ける公益法人としての学校法人に相応しいガバナンスの抜本改革につき、年内に結論を得、法制化を行う。」と記載があったことが背景にあります。
当会議においては、社会福祉法人制度、公益社団・財団法人制度と同等のガバナンス機能が発揮できる学校法人の制度改正の検討が適切になされるよう、現役の学校法人理事長等は入れないこととし、専ら外部有識者を登用することとしています。ただし、現役の学校法人関係者からは十分ヒアリングを行うとともに、学校法人理事長経験者を構成員とすることは排除しない、とされています。
2021年3月提言の概要について
まずは、2021年3月に発出された提言「学校法人のガバナンスの発揮に向けた今後の取組の基本的な方向性について」の概要について触れたいと思います。
「ガバナンスとは、誠実かつ高潔で優れたリーダーを選任し、適正かつ効果的に組織目的が達成されるよう活動を監督・管理し、不適切な場合にはリーダーを解任することができる、内部機関の役割や相互関係の総合的な枠組み」と当有識者会議では定義しており、法的枠組みに加え、ガバナンス・コードの段階的な充実、各法人の自治の見直し・情報開示を徹底することを提言しています。
また、当有識者会議は大学を設置する法人の基本的な方向性を提示したものであり、制度・運用の詳細や学校種・規模等に応じた簡素な在り方の検討を文部科学省に提言しています。
2021年7月からの「学校法人ガバナンス改革会議」での議論のゆくえ
当会議での検討事項としては、社会福祉法人や公益法人と同等のガバナンス機能を発揮する機関設計の在り方、会計監査人・内部統制システム等の義務付けや代替措置の在り方、さらに「ガバナンス・コード」の抜本改革も予定されています。
今後の検討予定としては、2022年に私立学校法関連の改正法案に反映して提出することを目指されています。
今後のスケジュール
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