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グローバルテクノロジーガバナンスレポート2021

COVID-19の世界における第四次産業革命テクノロジーの活用

人工知能、モビリティ、ブロックチェーン、ドローン、IoTなど、第四次産業革命(4IR)の新興技術は、社会の飛躍的な進歩と大規模な経済的価値をもたらす可能性を有すると同時に、意図しない有害な結果をもたらす可能性も秘めています。世界経済フォーラムとデロイトは、パンデミック後の世界で成功するために求められる4IRテクノロジーの最も重要な活用方法と、4IRテクノロジーの潜在能力を十分に発揮するために対処すべきガバナンスの課題を検討しました。

第四次産業革命の新興技術(4IRテクノロジー)とは

COVID-19からの回復に向けた取り組みは、日々の業務、社内外との連携、流通、サービス提供においてイノベーションの波を起こし、多くの顧客の行動、習慣、期待に変化をもたらしました。人工知能(AI)、モビリティ(自動運転車を含む)、ブロックチェーン、ドローン、IoT(Internet of Things)など、これまでイノベーションの中心的役割を担ってきた第四次産業革命(4IR)の新興技術の一部が、パンデミック後の世界でも非常に大きな役割を果たしていくと考えられます。

政府やその他の利害関係者による4IRテクノロジーのガバナンスへの取り組み方は、我々が社会、経済、ビジネス環境をリセットしていく上で重要です。官民が協力することで、非倫理的または悪意のある利用のリスクを軽減しながら4IRテクノロジーの開発を促進していくことが可能になるでしょう。

 

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分野横断的なテクノロジーガバナンスの課題

ドローンからIoTまで、個々のテクノロジーにはそれぞれ独自のガバナンスの課題があり、その多くはレポートの全文に詳述されています。デロイトの分析でも、我々が注目した5つの4IRテクノロジーに共通する多くの課題が明らかになりました。その多くはCOVID-19以前から存在しているものですが、パンデミックとその余波により、そうした課題に対応する緊急性が一層高まりました。

革新的なガバナンスの枠組み

以上で概観した課題やその他の難しい問題に対処するために、第四次産業革命のテクノロジーをサポートする革新的なガバナンスと規制の枠組みが生まれつつあります。さらに、デロイトの分析では、本レポートで取り上げた技術分野に共通する多くのテーマが明らかになりました。

  • 倫理的なガバナンス:ニュージーランド政府による、「Privacy, Human Rights, and Ethics(PHRaE)」(プライバシー・人権・倫理)の枠組み
  • 官民連携:日本暗号資産取引業協会(JVCEA)による、仮想通貨の自主規制
  • アジャイルで即応性のある規制:米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)による、自動運転技術の発展に伴うガイダンスの見直し
  • データ共有と相互運用性:米国電気通信産業ソリューション連合(ATIS)による、IoT向けのデータ共有の枠組み
  • 実験的な取り組み:サンドボックスとアクセラレーター:世界銀行による、貧困削減のためのブロックチェーン・イノベーション・ラボ
  • 規制に関する連携:国連欧州経済委員会(UNECE)による、自動運転車の規制を連携させるための枠組みを策定するフォーラムの開催

 

日本のエキスパートによる見解

4IRテクノロジーの活用に必要な「人財」と「信頼」

我が国では、「政府の変革」の観点において、2021年9月に「デジタル庁」を発足させることを盛り込んだ、デジタル改革の基本方針が閣議決定されました。また、総務省は、令和3年度に重点分野として積極的に取り組むべき施策を「デジタル変革を通じた新しい地域と社会の構築(総務省重点施策2021)」として発表し、自治体のデジタル化や社会変革などの「新しい日常」の構築を抜本的に進めるとしています。政府・公共サービスセクターには、自らの変革だけでなく、インパクトあるイノベーションを生み出していくための中心的な役割が求められているのです。

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攻めのガバナンスによる変革を

日本では4IRテクノロジーの活用はこれまで広くは進んでおらず、メリットである技術を起点とするデータの分析もなかなか進んでいないのが実態です。かかる状況の原因としては、本稿でも指摘されたガバナンスの複雑さが大きいと考えられます。例えば、ドローン物流の実現には各標準規格の制定が前提となります。機体の設計や安全性、損害賠償責任、管制システム等、これら標準化や規格制定を踏まえ、サンドボックスアプローチも含めて進めていかなければならないのです。

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