最新動向/市場予測

Real Estate Predictions 2020

Prepare to adapt to the changing market(和訳版)

Real Estate Predictions 2020では、デロイト グローバルの不動産セクターチームが中心となり、気候変動、会話型AI、不動産テック等、2020年の不動産業界に影響を与える重要なトピックスについてレポートをまとめています。

本レポートのトピック

1.気候変動と不動産セクター

不動産および建設セクターの企業の大半は、かなり以前から気候変動に及ぼす影響について自らの責任を認めていましたが、問題への対処をほとんど講じていませんでした。

一方、欧州では2019年の時点で小売スペースの19%およびオフィスの16%が洪水や海面上昇のリスクにさらされており、明らかにこれらの企業が気候変動に関する具体的な行動を起こすときが訪れています。
 

2.物理的スペースにデジタルを適用してテナント体験を高める

近年、テナントとエンドユーザーの多くは物理的スペースをより有効に利用することを望み、テクノロジーによって革新的でパーソナライズされた体験に関心を持つ傾向が強まっていることから、企業不動産(CRE)業界はデジタルトランスフォーメーションの真っただ中にあります。

これからの10年は、「兎にも角にも立地が重要」とする伝統的な考え方は薄れ、「立地、体験、分析が重要」とする企業が最も成功すると考えられます。
 

3.会話型AI:不動産顧客サービスの潜在的なゲームチェンジャー

新しいテクノロジーや様々なデジタルサービスが人々の生活や働き方を変え、リアルタイムの高品質なサービス提供に対する顧客の期待が高まる一方で、これらの取り組みは不動産セクター全体において一般的になっていません。

今後の不動産セクターにおいては、デジタル化された顧客サービスを持続可能で利便性の高いものにする必要があり、そのためには適切な会話型AIプラットフォームとインテリジェントサービスが必要不可欠です。
 

4.キャンパス:不動産を最大限活用することに対して積極的な企業のための職場環境

知識集約的であり、イノベーションに大きく依存している現代において、企業はますます専門性を高め、バリューチェーンは複雑化しています。イノベーションはもはや、産学が別々に取り組む閉鎖的なプロセスではありません。

このような背景から、企業が当事者間および当事者内の協業と共同イノベーションを促進するキャンパス的な環境の中でより多くの業務に取り組み、成功させることがトレンドとなっています。
 

5.進化する不動産テック

不動産テックは比較的歴史の浅い分野ですが、2013年当時のフィンテックの新規調達規模や年平均成長率と比較しても不動産テックの将来は有望と言えます。

破壊的テクノロジーのリーダーであるイスラエルの状況を鑑みると、不動産テックで成功を収めるカギは、不動産管理と業務運営に的を絞ることにあります。
 

6. 不動産業界におけるダイバーシティ&インクルージョン

ダイバーシティ&インクルージョンがビジネス成果および人材の誘引と繋ぎとめにプラスの効果をもたらすことが実証されています。

不動産業界は伝統的に男性が支配しており、特に主要な管理職においてその傾向が強いです。よりインクルーシブな環境をつくるために様々な取り組みが行われているところではありますが、埋めるべきギャップが現在も残っています。
 

7. 2020年の不動産:気候変動が投資の費用対効果に重くのしかかる年

不動産の世界では、これまで持続可能性に関する取り組みに対して積極的ではなく、気候変動情報に基づく投資は、一部のいわゆる「責任ある」投資家によるものと考えられてきました。しかし、最近では持続可能な行動に関与しないこと自体がビジネスリスクとみなされています。

そのため、当然ながら、気候変動に対応できない資産は、価値が目減りするリスクにますますさらされることになります。
 

8.私たちは2040年にどこでどのように暮らすのか?

ブラジルは、急速な都市化から人口動態の変化に至るまで、世界中の不動産セクターに影響を与えている一連のトレンドに直面しています。例えば、物件選択の際に重要視される要素はセキュリティ、プライバシー、スペース、および利便性であることや、スペースの可用性が都市部でますます不足することが課題となっていることが挙げられます。

ブラジル市場のトレンドから得た教訓は、2040年に向けた全世界の不動産セクターへのソリューションに生かすことができます。
 

9. スマートプレイスのスマートな開発

最先端のテクノロジーを組み合わせて実現されるスマートプレイスは、スマートホームから進化し、今ではオフィス、工業地域、ショッピングセンター等にも広がろうとしています。

スマートプレイスにより、利用者体験と生産性を向上させながら最高のテナントや人材を引き付け、さらには全体的な売上高を改善し、運用コストを削減することも可能となります。これらのメリットは無視できないものであり、デベロッパーは対応を迫られています。
 

10. 職場から「生活環境」へ

スマートビルディング・テクノロジーは実用段階に達しており、健康や効率性等、未来の働き方に大きな影響を与えようとしています。しかし、これらのテクノロジーは実用化されているにも関わらず、政府や専門機関による厳しい規制、建築物の持つ長期的な性質、変化に対する恐れにより、不動産セクターはデジタル応用の成熟度の点で他の業界に遅れを取っています。

不動産セクターは、プラットフォーム、テクノロジー、ベストプラクティスの標準化に向けて結集し、コンセンサスを形成することによって、飛躍的な成長への道を切り開くことができます。

Real Estate Predictions 2020〔PDF,1.5MB〕
お役に立ちましたか?