Real Estate Predictions 2022 日本版

本レポートのトピック

• 発刊に寄せて
• エグゼクティブサマリー

1. よりスマートな都市環境の創造
2. 不動産の未来に向けたドライブ
3. ステークホルダーからの期待とビジネスチャンスへの対応に向けたESGの導入
4. AIが高度化する都市計画、資産・投資管理
5. 持続可能な不動産業界を後押しするCSRD
6. これからの住宅事業のあり方について
7. モビリティハブは健全な都市化を実現するか
8. グリーンビルの価値
9. 持続可能な未来を共に創る
10. スマートビルの未来
11. デジタル化の進展
12. 不動産とCSR
13. デジタルトランスフォーメーション

• 日本のコンサルタントの見解

発刊に寄せて

デジタル・トランスフォーメーション(DX)という言葉が一般的に用いられるようになって数年が経ち、経済誌やWeb上の記事においても多くの先行事例が紹介される時世となった。わが国の不動産業界においても足並みをそろえるようにDXが盛んに取り組まれ始め、たとえばIT技術を活用して業務改善・効率化に取り組んだり、あるいはビジネスモデル刷新を実現する先進的な取り組みにチャレンジしたりと、各社のDX投資の意欲は今後も高まっていくことが予想される。

DXの議論として重要なのは、単なるデジタル化に留まらず、ビジネスを通じて得られる多種多様な情報をいかに収集・利用し付加価値に転換していくかという点に尽きる。スマートな都市環境の整備、ITを活用した顧客囲い込み戦略、高度な投資マネジメント、これらは不動産業界において語られる代表的なDXテーマであるが、単独の取り組みに終わってはいけない。自社の経営戦略とDXがうまく整合する文脈を見出したうえで、独自のビジネスモデルを確立できるかどうかが求められているのである。
また昨今ではこの議論にESGやSGDsの観点が加わることとなった。社会の要請、環境への対応、投資家からの期待といった多面的なステークホルダーへの応答も求められ、課題は複雑化するばかりである。

本稿 Real Estate Industry predictions 2022 日本版にはグローバルな潮流を踏まえた不動産業の展望が示されている。移り変わりが早く、そして複雑化していく事業環境のなか、わが国における不動産業はどうあるべきか、どんなビジネス転換が求められていくのか、Deloitteの提言が皆様の事業に変化をもたらすきっかけになることを心より願っている。