調査レポート

企業の不正リスク調査白書

Japan Fraud Survey 2018-2020

本レポートでは、上場企業3,653社を対象に「社内外コミュニケーションや不正の実態」、「不正への取り組み」という2つの側面からアンケート調査を行い、303社から得た回答より結果を分析。また調査結果に言及した有識者のインタビューや、不正リスク対策分野に詳しい第一人者による対談を収録しています。

デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社と有限責任監査法人トーマツは、全上場企業を対象に企業の不正リスク調査を行い、303社より回答を得ました。本調査では、不正リスクに対する社内外コミュニケーションの実態と不正の実態と、不正への取り組みに関する2つの側面からアンケートを行っています。調査は2006年より定期的に実施しており、今回で6回目の実施となります。

今回の調査は、隔年で実施してきたこれまでの調査を踏襲しつつ、大幅な刷新を行いました。意図したのは、アンケートにご協力いただいた各社の不正・不祥事に対する取り組みの強さの度合いを明らかにすることでした。不正・不祥事が報道される機会が増え、コンプライアンス経営が声高に叫ばれるようになった昨今、果たして、実際の企業経営にどこまで浸透しているのでしょうか。

本調査で判明した事項は以下のとおりです。

 

エグゼクティブサマリー

Chapter 1 
社内外コミュニケーションや不正の実態(P10〜18)
  1. 著名企業の不正が自社の経営にも影響するとの認識があり、不正発覚時のリスクを約7割が認識している。
  2. 法務・コンプライアンス部門や内部監査部門、経営者が不正リスク対策を主管し、情報交換や具体的案件ベースで相談を実施している。
  3. 内部監査や法務・コンプライアンス部門の理解や協力は十分であるが、営業・サービス、製造、研究開発部門への浸透が課題である。
  4. 不正につながる問題の指摘を奨励することが不十分である。対外的な情報発信も十分とはいえない。
  5. 「過去3年間で不正事例あり」は46.5% であり、親会社、国内・海外関係会社で幅広く発生している。
  6. 不正タイプで発生が多いのは横領、会計不正、情報漏洩、データ偽装である。
  7. 不正による損失は1000万円未満が大半である。不適切な会計処理の平均金額は3.81億円と高額である。
  8. 多くの不正事実は重要性を理由に公表されない。是正措置は懲戒、予防・発見措置が多い。
  9. 是正措置・再発防止策の実施率が高い属性は、「大企業」「不正事例の多い企業」「東証1部」である。

Chapter 2
不正への取り組み(P20〜32)
  1. 経営者が対峙すべき不正は、会計不正と情報漏洩と認識されており、自社での発生有無(横領が多い)とは異なる。
  2. 不正対策の最重点部門は財務・経理部門であり、協力度を高める必要があるのは営業・サービス部門である。
  3. 不正の発生に伴うコストは平均8.26億円であり、電気機器・情報通信業では18.72億円と高額である。
  4. 不正の防止に投じるべきコストは平均0.99億円であり、「東証1部」「製造業」「大企業」で相対的に高額である。
  5. 不正を発見・発覚させるべきルートの本流は、「内部通報」と「内部監査」である。
  6. 不正調査は、内部でインタビューやメールレビューを実施する。業務・ルールの変更・周知や懲戒処分で是正を図る。
  7. 不正の公表には顧問弁護士の助言の影響が大きい。懲戒時は処分内容と事案概要を社内に開示する。
  8. 不正が発覚した場合にはブランド・信用の毀損を懸念する。不正把握1カ月以内に9割が取締役会を招集する。
  9. 内部通報制度の設置や不正防止ポリシー制定の実施率は高いが、不正リスクを念頭においた人事、リスク評価、意識調査は不十分である。
  10. 不正リスク対策は企業風土とも関連しており、問題指摘を奨励する風土は重要である。
  11. 内部通報の年間平均回数は15.6回。ただし、制度が十分に機能しているとはいえない。
  12. 内部通報の課題は、周知、多言語対応、風土にある。内部監査の課題は、手口対応と兆候把握にある。
  13. 海外関係会社には相互けん制等で対応している。海外で大きな不正を起こした企業は、事業報告や方針のレビューが重要である。

 

調査概要

調査名称:企業の不正リスクに関する調査

調査方法:郵送法。別紙として「不正の分類」(本調査白書のP15に記載)を明示して「不正の実態や取り組み」にも回答を得た。

調査主体:デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社/有限責任監査法人トーマツ

調査機関:株式会社日経BPコンサルティング 調査部

調査対象:上場企業(今回の発送数は3653社。宛名は「法務・コンプライアンス責任者」様宛て)

回収数:303社(集計ベースが303社と異なる場合はこの白書の中で(n=xxx)と社数を明記)

調査時期:2018年6月5日(火)~ 7月9日(月)

 

調査レポート全文は添付のPDFをご覧下さい。
 
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あらゆる企業不祥事の調査を専門とするスペシャルチームである。不正・不祥事が発覚した企業に対しては、弁護士や企業担当者と連携し最短かつ効果的な事実解明や解決策を提供し、信頼性ある調査結果を提供するばかりでなく、再発防止策の策定や不正実行者の責任追及等、調査後も企業価値の回復に向けて継続的な支援を行っている。 

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