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AIと責任あるイノベーションの未来~なぜAIの利用を金融機関がためらうのか~

デロイト トーマツ金融ビジネスセミナー2020(2020年2月20日開催)講演報告

金融機関がAI活用のリスクを軽減しつつ、AIがもたらす機会を如何に活用するか、世界経済フォーラムとデロイトの最新共同レポートの解説を踏まえ、有限責任監査法人トーマツ パートナー 神谷精志が講演しました。

「AIと責任あるイノベーションの未来/Future of AI and Responsible Innovation」講演報告

講師:
有限責任監査法人トーマツ リスクアドバイザリー事業本部
ファイナンシャルインダストリー ユニット長 パートナー 神谷 精志

デロイトは2015年より世界経済フォーラム(WEF :World Economic Forum)と協力し、テクノロジーが金融業界に及ぼす影響を明らかにすべく、共同レポートを公開しています。2018年からはAIに着目しており、2018年は「金融業界向けレポート:人工知能(AI)が起こす金融エコシステムのトランスフォーメーション」を発表しました。レポートでは、AIは金融業界に根本的な転換をもたらす可能性のあるテクノロジーである一方で、金融機関におけるAIの導入はそれほど進んでいない、と結論付けています。

※詳細のレポート内容はこちらをご参照ください。
「金融業界向けレポート:人工知能(AI)が起こす金融エコシステムのトランスフォーメーション」

2018年の結果を受けて2019年は、金融機関はなぜAIの利用をためらうのかを明らかにし、金融機関でAIの利用が進まない理由が大きく分けて「データ共有に関する懸念」と「AIの説明可能性に関する懸念」の二つに集約されると分析しました。そこで、2019年はそれぞれの懸念についてレポートを作成し、近い将来金融機関が中長期的な改革に取り組むための新たな枠組みを提案しています。
本セッションでは、2019年に提示した2本の共同レポートを解説します。

   

金融サービスにおける次世代のデータ共有:プライバシー強化技術を活用した新たな価値創造

多くの場合、データの価値は、個々データの総和以上の価値を有します。特に金融サービスにおいては、データの利用により顧客へより付加価値のあるパーソナライズされたサービスの提供が可能となり、詐欺などのビジネス課題にも対応することができます。しかし同時に、データの利用は、顧客、金融機関、規制当局においてプライバシーとセキュリティの懸念を引き起こします。こうした懸念により、これまで金融機関は、データの価値を最大限に引き出すことができませんでした。

しかし、新たに登場したプライバシー強化技術(PETs)は、データ利用から派生するプライバシー、およびセキュリティのリスクを軽減(または排除)し、新たな価値創出の機会を拡大することで、限定的にしかデータを利用できない状況を根本的に変える可能性を秘めています。

•差分プライバシー:データセットにノイズを付加し 、第三者が元データへ復元することを不可能とする
•フェデレーテッド分析:データ自体は共有せず分析モデルを生成し、データの分析から得られたインサイトを共有する
•準同型暗号:復号せず分析できる形でデータを暗号化する
•ゼロ知識証明:データを秘匿したまま、当該データが条件を満たすことを証明する
•セキュアマルチパーティ計算:データ分析を複数の当事者に分散し、1人がデータ全体を見られないようにする

※詳細のレポート内容はこちらをご参照ください。
「金融サービスにおける次世代のデータ共有:プライバシー強化技術を活用した新たな価値創造」

  

未知の領域の舵取り:金融サービスにおける人工知能の戦略上・規制上のリスクを理解する

AIの導入が進まない要因の一つは、AIの活用を巡るリスクや不確実性は「説明可能性」の影響を大きく受けており、自らの決定を説明できるAIがいないということです。AIの判断を信じることができるか、AIが行った判断に誰がどう担保し責任を持つのかを明確にし、金融サービスにおいてAIを用いて責任あるイノベーションを起こさなければなりません。

本レポートでは、金融機関へのAI導入に伴うリスクを調査し、以下の5つの視点から、リスクを軽減するための戦略を提示しています。

・AIの説明可能性
・システミックリスクとAI
・バイアスと公平性
・アルゴリズムによるフィデューシャリー
・アルゴリズムによる談合

※詳細のレポート内容はこちらをご参照ください。
「未知の領域の舵取り:金融サービスにおける人工知能の戦略上・規制上のリスクを理解する」

イベント概要

・タイトル
デロイト トーマツ金融ビジネスセミナー2020

・開催日
2020年2月20日(木)14:00-17:45

・主催
デロイト トーマツ グループ

・会場
デロイト トーマツ グループ内会場よりライブ配信

・対象者
金融機関、金融市場関係者、事業会社における責任者の皆様
 

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