最新動向/市場予測

企業リスクに影響を与える昨今の事象について

2023年1月6日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)や、政治、経済、社会情勢などの企業活動に影響を与える事象に関して、北米、中南米、欧州、中東、アフリカ、アジア・オセアニアの各地域ごとに、最新状況を踏まえ考察します。

1 エグゼクティブサマリー

  • 中国において、「ゼロコロナ」政策の転換により感染が爆発的に拡大し、反政府的運動が頻発することが憂慮される。
  • イスラエルで2022年12月29日に建国以来最も右寄りとなるネタニヤフ政権が正式に発足したことから、イスラエルとパレスチナとの対立が益々激化し、中東情勢が流動化する懸念がある。

 

2 COVID-19

世界のCOVID-19感染者数の状況

  • 世界の新規感染者数は2022年1月にピークを迎え、その後増減を繰り返している。2022年12月26日~2023年1月1日の直近1週間の世界の新規感染者数は前週比で22%減少した。
  • 収束に向けた切り札とされる経口薬の開発が世界的に進んでおり、日本でも厚生労働省が2022年11月22日、日本の製薬メーカーが開発した飲み薬を緊急承認した。
  • 中国における実質的ロックダウンであるゼロコロナ政策を巡り、都市封鎖や交通規制といった国民の行動制限に対する抗議デモが各地で広がったことから、中国政府は2022年12月7日、これまでの規制を大幅に緩和した。海外のメディアは、緩和後中国国内では感染者が急増していると報じているが、中国政府は、2022年12月以降の死者数はわずか22人と発表している。中国政府の発表に対し、WHOは2023年1月4日、中国政府によるCOVID-19の死者の定義は「非常に狭く」、「真の影響を過小評価している」と警告した。これに対し中国政府は猛反発している。2023年1月21日~27日の春節で数多くの人が旅行に出かけることから、今後今以上の爆発的な感染拡大が危惧される。

※COVID-19の感染者数はWHOおよびジョンズホプキンス大学の資料に基づく

 

3 グローバル全体の動き

【経済】

エネルギー価格・穀物価格高騰の影響

  • 世界的なLNG価格の高騰と2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻により、2022年3月前半にNYの先物市場の代表的な原油(WTI)は125ドル/バーレルまで高騰したが、その後産油国の増産や中国における需要の減少予測から下落傾向となり、現状70ドル前後の水準となっている。その要因の一つに、2022年12月5日に、欧米諸国がロシア産原油の価格上限を60ドルとしたことがある。

 

4 北米

【政治】

中間選挙

  • 2022年11月8日に中間選挙が実施された。一般的に中間選挙は野党側が強い上に、最近のバイデン政権の支持率低迷並びに歴史的なインフレ状況から、選挙前は共和党の地滑り的勝利が予想されていたが実際は苦戦する結果となった。米国の有力紙はその理由として、人工妊娠中絶問題とトランプ氏のマイナスの影響を挙げており、トランプ氏との距離が近い候補ほど苦戦した。結局結果は、下院はかろうじて共和党が勝利したが、下院よりも権限が優越する上院は民主党が勝利した。トランプ氏は11月15日、2024年の大統領選挙への出馬を表明したが、共和党内部からも不支持表明が相次ぐなど「トランプ離れ」が加速している。もしトランプ氏が2024年の大統領選挙に出馬すれば、2020年の大統領選挙同様混乱が必至であり、2024年以降、米国の国内政治の混乱から世界の地政学リスクが多様化・流動化することが憂慮される。
  • 12月6日、最後に残っていたジョージア州の上院議員選挙の決選投票が行われ、与党民主党現職が当選した。これにより民主党は100議席のうち51議席を獲得し、上院議長を兼ねるハリス副大統領を含めると52票となることから、造反議員が少数出たとしても、与党の主張が通り易い状況となった。また、この決選投票で敗れた共和党候補は、トランプ前大統領が強力に推薦していたことから、前大統領の共和党内での影響力の低下は必至である。
  • 2023年1月3日に開会した議会下院では、共和党保守派の反対により、3日から5日まで10回にもわたる投票でも議長が選出できない異常な事態が続いていたが、15回目の投票で共和党のマカーシー議員が過半数票を獲得、就任した。このことが具体的に米国の内政にどのような影響を及ぼすかはわからないが、米国社会の分断が明確化するのは確実であり、今後の社会的な影響が危惧される。

 

5 中南米

【政治】

ペルー大統領に対する弾劾の影響

  • ペルー議会が2022年12月7日、急進左派のカスティージョ大統領を弾劾する罷免決議案を可決し、同大統領が失職、副大統領が昇格した。ペルー議会は野党優位であり、与野党が鋭く対立していることから、国内政治の混乱がしばらく続く模様である。
  • メキシコ外務省は2022年12月20日、罷免されたカスティージョ大統領の家族の亡命を受け入れたと発表した。これに対しペルー外務省は、駐ペルーメキシコ大使を好まざる人物に認定し、72時間以内の出国を命じた。メキシコ、コロンビア、アルゼンチン、ボリビア等の左翼政権は、カスティージョ大統領の罷免を非難しており、今後南米諸国の内政混乱が憂慮される。
  • ペルー国内では、カスティージョ大統領の罷免に抗議するデモが広がっており、ペルー政府は2022年12月14日、非常事態宣言を発出した。混乱は現在でも続いており、日本人観光客も足止めされている状況である。今後も政治・経済両面の不安定化が憂慮される。

 

6 欧州

【政治】

ドイツにおける政府転覆計画

  • ドイツにおいて2022年12月7日、シュルツ政権に対するクーデターや連邦議会議事堂への突入を計画していたとして、極右組織のメンバー25人が逮捕された。逮捕者の中には政治家、裁判官、現役兵士等も含まれており、ドイツ国内では衝撃的なニュースとなっている。従来からドイツでは、ネオナチ党の極右勢力が活動しており、その動きが顕在化、露呈したものと言える。昨今欧州では、グローバル化の進展と格差の拡大を背景として、極右勢力が台頭しており、このような動きが欧州全体に波及することが憂慮される。

 

7 中東

【政治】

イスラエルにおける内政の混乱

  • 直近3年半で5回目となる総選挙が2022年11月1日に実施された。最終的な議席数はネタニヤフ氏の右派リクードが32議席で第一党、現与党の中道左派が24議席で第二党、第三党には14議席を獲得した極右の宗教シオニズムが入った。2022年12月21日、ネタニヤフ氏と極右政党や宗教政党との間で連立政権樹立が合意に達し、ネタニヤフ政権が12月29日に正式にスタートした。建国以来最も右寄りの政権であり、パレスチナ側に強硬姿勢をとるのは必定である。それを予想してか、2022年11月23日、最近ではほとんどなかった爆弾テロがエルサレムで2件発生し、少なくとも23人が死傷した。犯行声明は出ていないが、極めて右寄りの政権誕生が予想されていたことから、パレスチナ人武装組織の関与が疑われている。今後「テロ」と「強硬対応」の応酬・連鎖が危惧され、パレスチナとの共存による中東和平の停滞は必定である。また、対イラン政策の強硬化が進むことにより、偶発的な事態による軍事衝突の可能性も否定できない。イスラエルの右傾化は、周辺国との軋轢が増すこととなり、中東情勢と地政学リスクの流動化が必至である。ネタニヤフ政権の閣僚の一人が2023年1月3日、エルサレム旧市街にある神殿の丘を訪問した。神殿の丘は、ユダヤ教、キリスト教の聖地であるが、イスラム教で最も神聖とされるアルアクサモスクがあることからイスラム教にとっても重要な聖地であり、イスラム社会ではこの訪問に対する非難が広がっている。神殿の丘では過去に宗教間の対立から暴動に発展した事例は多い。今後このようなネタニヤフ政権の右寄りの言動がイスラム社会を刺激することの増加が懸念され、中東情勢の流動化が憂慮される。

トルコ・イスタンブールでの爆弾テロによる影響

  • トルコのイスタンブールで2022年11月13日、爆弾テロが発生し、少なくとも6人が死亡し、81人が負傷した。これに対しトルコ政府はクルド労働者党(PKK)の犯行と断定し、20日にはトルコ軍がPKKの拠点を空爆した。2023年6月18日には大統領選挙と総選挙が予定されていることから、今後エルドアン政権がクルド人武装勢力により強硬な姿勢をとることが予想される。この先PKKが反発・反撃するのは必至であり、「テロ」と「空爆等の強硬措置」の応酬・連鎖が危惧される。

 

8 アフリカ

【政治】

チュニジア総選挙における混乱

  • チュニジアでは2022年12月17日に総選挙が実施された。この選挙は昨年就任したサイード大統領の権限強化を目的としていたことから 多くの政党が選挙をボイコットした。そのため極端に投票率が低く、選挙の正当性に疑問符がついている状況にある。同国は、2010年以降のアラブ社会の民主化運動である「アラブの春」の唯一の成功例と言われたが、今は再び独裁国家に戻ろうとしている。この傾向はチュニジアに限らず、アラブの春で独裁体制が倒れた国々で多く見られており、今後この動きがエジプト等に波及することが危惧される。

 

9 アジア・オセアニア

【社会】

中国におけるCOVID-19感染拡大の影響

  • COVID-19の爆発的な感染拡大と、医療体制の逼迫から、市民の不安や不満が広がっている。このことが反政府的な運動に発展する可能性も否定できない。

北朝鮮によるミサイル発射の影響

  • 北朝鮮は2023年1月1日、弾道ミサイル1発を発射した。

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